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キャリアアップ助成金は7つのコースから申請できます【令和最新】

2019/10/31

全ての事業主に使いやすい大人気の助成金

会社を創業して社員が増えていく実感は起業家にとって成長を感じる一方で、給与計算などの人事関連業務が増え雇用する責任の重さを同時に感じる瞬間でもあります。事業が順調に成長していく中で雇用を増やしていくことは自然なことですが、私たちが中小企業の採用業務をお手伝いしている中、助成金についてご案内させていただくと、意外にも受給額の多さに驚かれることもまだまだ多くあります。特に、2013年から開始された『キャリアアップ助成金』は金額も大きく幅広い事業主が利用できる助成金であり、現在も続く助成金の中で最もメジャーな助成金といえますが、忙しい創業ベンチャーにとって手続きの煩雑さや計画から受給(入金)まで1年以上の期間がかかることから活用していない事業主もまだまだ多く、小規模事業者にはまだまだ認知度は十分ではないと感じる時があります。今回はキャリアアップ助成金の概要や受給要件、受給までの手順を初めての人にもわかりやすいように解説していきます。

助成金とは、国や自治体が雇用に関する目的を推進するために用意しているお金のことで、使途自由で返済義務の無い「もらえるお金」を言います。借り入れたお金は返済する義務がありますが、返済義務の無い使途自由のお金は「雑収入」であり、経費をかけた売上と違って、そのままの額が利益になる強力な資金調達方法といえます。

補助金とどう違う?

助成金は厚生労働省が管轄しており雇用に関する取り組みに対して支給される資金であり、厚生労働省以外の行政官庁(経済産業省など)や自治体が支給するものは「補助金」と呼ぶことが一般的です。補助金はIT化や技術開発など、産業自体の発展に効果のある取り組みに対して支給されます。助成金は要件を満たせば受給できますが、補助金は取り組み内容に加点方式による採択率があるため、申請しても受給できないことがあります。

(主な補助金)

●IT導入補助金

業務効率化や自動化を行うためのITツールの導入を支援

●ものづくり補助金

ものづくりやサービスの新事業を創出するための革新的な設備投資や開発・試作品の支援

●小規模事業者持続化補助金

小規模事業者の経営計画に基づいて実施する販路開拓等の取組を支援

キャリアアップ助成金の目的

企業が正社員を採用する場合には、労働契約法等が定める解雇制限によって雇用の保障があり、一度正社員を採用すると企業は簡単に解雇することはできません。また、人件費を抑制することを主な目的として非正規による雇用を増やす企業が多くあり、正社員との賃金格差は日本郵便のような超大企業でも平然と行われていたことが明らかとなり社会問題となりました。責任や出世を望まない自由な働き方のように「自ら望んで非正規雇用を選ぶ」場合は別として、正社員になりたくてもなれないため非正規社員(不本意非正規雇用労働者)を選び、賃金格差や雇止めによって不安な生活を送る労働者は2018年の総務省調査では年々減少傾向にあるものの13.1%に上り、未来を支える25~34歳の若年層が最も多いとされています。それら不本意非正規雇用労働者を減らすための施策として、企業に対して派遣社員や契約社員を安定した無期正社員雇用へ転換するなどすれば一定額を支給する「キャリアアップ助成金」が誕生しました。マクロの施策としては成功を収めているキャリアアップ助成金ですが、こと小規模事業者になるほど利用率が低く、最も雇用に不安定な小規模事業者にまで浸透している状態とは言えないことは先にも述べた通りです。

キャリアアップ助成金の受給要件

【対象となる事業主】

✅雇用保険適用事業所の事業主

✅不正受給・労働基準法等違反の無い事業主

✅就業規則や出勤簿等の労務管理に必要な書類を作成・保管している事業主

✅期限内に申請を行った事業主

キャリアアップ助成金の7つのコース

①正社員化コース

②賃金規定等改定コース

③健康診断制度コース

④賃金規定等共通化コース

⑤諸手当制度共通化コース

⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース

⑦短時間労働者労働時間延長コース

上記7つのコースによって条件や受給額が変わり、『どれか一つ』ではなく該当すれば複数のコースで受給することも可能なことがあります。ひとつづつ概要を確認していきましょう。

【中小企業の区分(受給額の異なる範囲)】

産業分類 資本金・出資の総額 または 常時雇用する労働者数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

☑キャリアアップ助成金①正社員化コース

正社員化コースは、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成されるコースで、キャリアアップ助成金といえば正社員化コースを指すことも多いほどもっとも使いやすくポピュラーな制度のため、非正規労働者を雇用する事業主ならば検討すべき助成金です。

中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
有期→正規 1人当たり57万円〈72万円〉 42万7,500円〈54万円〉
有期→無期 1人当たり28万5,000円〈36万円〉 21万3,750円〈27万円〉
無期→正規 1人当たり28万5,000円〈36万円〉 21万3,750円〈27万円〉

対象となる労働者

・有期雇用労働者、雇用期間6カ月以上の無期雇用労働者など10の所定項目すべてに該当する労働者

・1年度1事業所当たり申請上限は20人まで

正社員化コースの受給手順

1.キャリアアップ計画の作成・提出(対象労働者を転換・直接雇用する日まで)

雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意見を聞いて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の認定を受けます。

2.就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規程

試験等の手続き、対象者の要件、転換実施時期などを規程し労働基準監督署へ届出ます。

3.規程した転換要件(試験等)を実施

4.正規雇用等への転換・直接雇用の実施

『転換等前後で5%以上増額』した雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付します。

(規定している労働条件・待遇にする必要があります)

5.転換後6カ月分の賃金を支給後申請

転換等後6カ月分の賃金を『支給した日』の翌日から起算して2カ月以内に申請します。

6.助成金の受給

支給申請書類の審査後支給決定されます。(審査や通知までに相当の時間を要します)

☑キャリアアップ助成金②賃金規定等改定コース

賃金規定等改定コースは、有期契約労働者などの基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合に対象となるコースです。

全ての有期労働者等を2%以上増額改定 中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
対象労働者数が1~3人 1事業所当たり95,000円〈12万円〉 71,250円〈9万円〉
対象労働者数が4~6人 1事業所当たり19万円〈24万円〉 14万2,500円〈18万円〉
対象労働者数が7~10人 1事業所当たり28万5,000円〈36万円〉 19万円〈24万円〉
対象労働者数が11~100人 1人当たり28,500円〈36,000円〉 19,000円〈24,000円〉

 

一部の有期労働者等を2%以上増額改定 中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
対象労働者数が1~3人 1事業所当たり47,500円〈6万円〉 33,250円〈42,000円〉
対象労働者数が4~6人 1事業所当たり95,000円〈12万円〉 71,250円〈9万円〉
対象労働者数が7~10人 1事業所当たり14万2,500円〈18万円〉 95,000円〈12万円〉
対象労働者数が11~100人 1人当たり14,250円〈18,000円〉 9,500円〈12,000円〉

対象となる労働者

・賃金テーブルを増額改定した日の前日から起算して3カ月以上前の日から改定後6カ月以上の期間継続して対象事業主に雇用されている有期雇用労働者など

・増額改定前と比較して2%以上(3%以上は1人当たり14,250円〈18,000円〉加算有)昇給している労働者

・合理的な理由なく基本給や諸手当を減額(調整)されていないこと

賃金規定等改定コースの受給手順

1.キャリアアップ計画の作成・提出(増額改定する日までに提出)

2.賃金規定等の増額改定の実施

3.増悪改定後の賃金に基づき6カ月分の賃金を支給・申請

4.助成金の受給

☑キャリアアップ助成金③健康診断制度コース

健康診断制度コースは、有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、4人以上実施した場合に対象になります。

中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
受給金額 1事業所当たり38万円〈48万円〉 28万5,000円〈36万円〉

対象となる労働者

・有期雇用労働者などで受診日に適用事業所において雇用保険被保険者であること

・1事業所あたり1回のみ

健康診断制度コースの受給手順

1.キャリアアップ計画の作成・提出(健康診断制度を規程する日までに提出)

2.就業規則または労働協約に健康診断制度を規定

3.健康診断等を述べ4人以上に実施

4.支給申請

5.助成金の受給

☑キャリアアップ助成金④賃金規定等共通化コース

賃金規定等共通化コースは、有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者との共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成されるコースです。同一労働同一賃金に向けた取組を支援する助成金です。

中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
受給金額 1事業所当たり57万円〈72万円〉 42万7,500円〈54万円〉
加算(2人目以降上限20人まで) 1人当たり20,000円〈24,000円〉 15,000円〈18,000円〉

対象となる労働者

・正規雇用労働者と同一の区分(等級)に格付けされている有期契約労働者等

賃金規定等共通化コースの受給手順

1.キャリアアップ計画の作成・提出(賃金規定等を共通化する日までに提出)

2.賃金規定等の共通化の実施

3.賃金規定等共通化後の賃金に基づき6カ月分の賃金を支給・申請

4.助成金の受給

☑キャリアアップ助成金⑤諸手当制度共通化コース

諸手当制度共通化コースは、有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合に助成されるコースです。賃金規定共通化コース同様に、同一労働同一賃金の実現を推進する助成金です。

中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
受給金額 1事業所当たり38万円〈48万円〉 28万5,000円〈36万円〉
加算(2人目以降上限20人まで) 1人当たり15,000円〈18,000円〉 12,000円〈14,000円〉
加算(2つ目以降10手当まで) 1つあたり16万円〈19.2万円〉 12万円〈14.4万円〉

対象となる労働者

・諸手当制度を共通した日の前日から起算して3カ月以上前の日から共通化後6カ月以上の期間継続して雇用されている有期雇用労働者等

諸手当制度共通化コースの受給手順

1.キャリアアップ計画の作成・提出(諸手当制度を共通化する日までに提出)

2.諸手当制度の共通化の実施

3.諸手当制度共通化後の賃金に基づき6カ月分の賃金を支給・申請

4.助成金の受給

☑キャリアアップ助成金⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース

選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、社会保険の適用拡大措置を実施する事業主が有期雇用労働者等について新たに被保険者とし、対象者の基本給を増額した場合に対象となるコースです。

基本給の増額割合 中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
3%以上5%未満 1人当たり29,000円〈36,000円〉 22,000円〈27,000円〉
5%以上7%未満 1人当たり47,000円〈6万円〉 36,000円〈45,000円〉
7%以上10%未満 1人当たり66,000円〈83,000円〉 5万円〈63,000円〉
10%以上14%未満 1人当たり94,000円〈119,000円〉 71,000円〈89,000円〉
14%以上 1人当たり132,000円〈166,000円〉 99,000円〈125,000円〉

対象となる労働者

・措置該当日の前日から起算して過去3カ月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった有期契約労働者等

・1事業所当たり1回のみ45人まで

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの受給手順

1.キャリアアップ計画の作成・提出

2.労使合意に基づく社会保険の適用拡大措置により、有期契約労働者等を新たに被保険者とし、基本給の増額を実施

3.増額後6カ月分の賃金を支給・申請

4.助成金の受給

☑キャリアアップ助成金⑦短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者労働時間延長コースは、短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに社会保険の被保険者とした場合に適用されるコースとなります。

週所定労働時間を5時間以上延長した場合 中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
受給金額 1人当たり22万5,000円〈28万4,000円〉 16万9,000円〈21万3,000円〉

 

賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを併せて実施した場合 中小企業〈生産性要件を満たした場合〉 中小企業以外
週所定延長時間が1時間以上2時間未満 1人当たり45,000円〈57,000円〉 34,000円〈43,000円〉
週所定延長時間が2時間以上3時間未満 1人当たり90,000円〈114,000円〉 68,000円〈86,000円〉
週所定延長時間が3時間以上4時間未満 1人当たり135,000円〈17万円〉 101,000円〈128,000円〉
週所定延長時間が4時間以上5時間未満 1人当たり18万円〈227,000円〉 135,000円〈17万円〉

対象となる労働者

・延長した日の前日から過去6カ月以上継続して社会保険の適用外だった有期契約労働者

・1年度1事業所当たり上限45人まで(令和2年3月31日までの緩和措置)

短時間労働者労働時間延長コースの受給手順

1.キャリアアップ計画の作成・提出

2.所定労働時間延長を実施

3.延長後6カ月分の賃金を支給・申請

4.助成金の受給

生産性要件による加算

3年前の会計年度の初日から直近会計年度の末日までに事業主都合による離職者(解雇等)を発生していない事業主に限り、所定の方法によって算出された率に改善がある場合には助成金額が上乗せして加算されます。

【生産性の算出】

生産性=「付加価値」÷「雇用保険被保険者数

※付加価値とは、「営業利益」「人件費(役員報酬除く)」「減価償却費」「動産・不動産借賃料」「租税公課」の全てを加算したものです。

【生産性要件】

①生産性が申請時の3年度前と比較して6%以上伸びていること

②金融機関から事業性評価を受けた場合は申請時の3年度前と比較して1%以上(6%未満)伸びていること

おわりに

雇用関連の助成金は昨今の働き方改革や不安定な雇用の安定化等、従業員の待遇を改善してより良い会社になるために国が用意している企業への褒美のようなものです。使途自由とはいえ、計画してから受給するまでに相当な時間がかかるため、資金繰り面で過度に期待せずに、受給できれば儲けもの程度で考えておくことが経営者の心構えといえます。助成金は期限が厳しく、計画書の提出や申請に期限があり、過ぎれば1円も受給できないため管理が大変です。それなりの規模があれば総務部門等で専門に行うことも十分に可能ですが、人員に余裕の無い中小・小規模事業者は社会保険労務士に計画や申請代行を委託するなど費用は掛かりますが面倒な手続きを任せるなどすることが「取りこぼし」しない方法の一つとも言えます。助成金は国も莫大な予算を組んで企業を支援しているため、今後も経営にとって重要な資金調達方法の一つです。今後新たに雇用の増加を考えている事業主は是非活用して従業員の皆様へ還元してください。

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