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緊急事態宣言と中小企業の労務管理《新型コロナウイルス関連対策》

2020/04/06

(2020.4.7追記)
安倍首相は7日、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき初の「緊急事態宣言」を発令。対象地域は感染が拡大している東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は大型連休の終わる5月6日までとされました。

新型コロナウイルスの感染拡大を考えるといずれかの時点で緊急事態宣言が発動されることはやむをえませんが、さて、緊急事態宣言が出された場合には企業はどのような義務があり、また取るべき対応とはどのようなものでしょうか。

 

①.会社は休業にする必要がある?

現在の法律では民間の会社に対して国や自治体が休業することを命じることはできません。緊急事態宣言に基づき制限を求められた施設等についても協力要請にすぎないため、基本的には会社の判断で休業を判断し、会社を休業させたことに伴い従業員を休業させた場合には休業手当(労働基準法第26条)の支払い義務があるはずと思っていましたが、どうやら休業手当の支払い義務が消滅するとの専門家や諸団体の意見もあり、やむをえず休業させる特別な事情に該当するかどうかは個々の事業所によって慎重に判断することが必要です。しかし、厚生労働省及び監督庁の解釈によると、緊急事態宣言下での施設・企業の休業は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」とは言えなくなり、休業手当を支払わなくとも直ちに違法ではないとされており、日本労働弁護団でも「最終的には裁判所の判断にゆだねられる」と認識しているようです。マネジメントの観点からすると、企業の責任ではないとはいえ、蔓延が終息した際に素早く復旧できるよう、従業員をつなぎとめるための戦略として幾何かの支払いは実施したいところです(できればの話ですが。。。)

 

【東京新聞2020.4.3記事引用】緊急事態宣言が出されると、都道府県知事は学校など公共施設に加えライブハウス、野球場、映画館、寄席、劇場など多数の人が集まる営業施設には営業停止を要請・指示できる。労働基準法を所管する厚労省によると、施設・企業での休業は「企業の自己都合」とはいえなくなり、「休業手当を払わなくても違法ではなくなる」(同省監督課)としている。

 

②.公共交通機関の停止によって出社できない社員の扱い

緊急事態宣言が発せられた場合でも日常生活に必要なインフラ(医療・交通・水道・電気など)が完全に停止されることはありませんが、一部では電車の本数を間引きするとの報道もあり、あくまでも民間である市電など交通機関が自主的に運休することもあり得ます。電車の本数が減少したため定刻に出社できない従業員の労務不提供分の賃金控除を超えて処分することはできませんが、休業手当の支払い義務については個別ケースを考慮する必要がありそうですが、先の厚労省等の見解からすると出社できない社員は無給となりそうです。

 

③.出社を強制することはできる?

都市部のホテルでは従業員の通勤時間短縮、ラッシュの回避のために企業が借りて従業員を一時的にホテル住まいさせている会社もあるといいます。すべての従業員がテレワーク可能であれば必要ありませんが、どうしても出勤してもらわなければならない従業員もいるということです。

通常時には労働契約上、従業員は労務提供義務があり、就業規則や法律の範囲内であれば業務命令に従う義務、つまりは、出社義務があると解されますが、今回の新型コロナウイルスの感染力、重症化や死亡のニュースを毎日いやでも浴びていると、「感染するのが怖いので出社したくない」という従業員の言い分は単なるわがままとは言えない時期に来ています。出社することに自身の生命を脅かすリスクがあるというのも一理あり、安全配慮義務との板挟みで事業主は悩みどころです。なお、自主的に出社を拒否する従業員に出社を強制することはできませんが、賃金の支払い義務はノーワークノーペイの原則通り不要とされます。なお、新型コロナウイルスが怖いと言って休んでいる若い社員が実はクラブでウェヘーイしていたり、感染時の調査でずる休みがばれてしまうこともあるでしょう。ずる休みはそもそも懲戒の対象にもなりえますので、減給や解雇などあまり厳しいものでなければ処分されますのでご注意ください。

 

おわりに

緊急事態宣言を待ち望む声がある一方で、首相が緊急事態宣言を発令した場合には休業手当の支払い拒否、雇い止めや解雇など、「危機に乗じて法解釈を拡大する」事業主が多く発生することは確実であり、結果として非正規雇用など弱い立場の労働者へのしわ寄せ、失業者を増加させる危険な副作用を伴う側面があります。

低金利の融資や休業させる場合の雇用調整助成金など、様々な政策が実施されているとはいえ、売上の激減で明日の資金繰りにも窮している小規模事業者、フリーランス、中小企業では他人の足を踏んででも生き残ることに必死であり、十分な補償の無い中モラルばかりを求められても難しい一面があります。

それでも無給休業、整理解雇に踏み切らないといけない場合には、レイオフ(一時解雇)や失業給付との組み合わせ、社会保険料や借入返済の猶予制度利用など、通常では考える必要のないスピード感のある独自の生き残り策も必要になります。何とか解雇しない方向で知恵を絞りつくしてほしいと願うばかりです。

 

しかし、雇用調整助成金は相変わらず申請させたくないのではないかと思うほど手続きの書類が膨大で、不正受給防止のためとはいえ事業主が自分でもできるレベルにもう少し緩和してほしいなぁ・・・。社労士でも嫌がる人めちゃめちゃ多いし。。。

 

新型コロナウイルスに関する労務管理は当事務所までご相談ください。

 

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