NEWS

【2025年版】東京都カスハラ対策奨励金・助成金のよくある質問FAQ|不交付回避の実務ポイント

2025/09/26

東京都のカスタマーハラスメント対策奨励金(定額40万円支給)は申請手続きも難易度が高くなく、また幅広い中小企業が対象となるため中小企業にとって大きなチャンスです。しかし、制度の要件や申請手続きは複雑で、ちょっとした不備で「不交付」となる事例も少なくありません。

このページでは、助成金・補助金申請に詳しい社会保険労務士が 「よくある質問(FAQ)」形式で制度の疑問を徹底解説。さらに、当事務所の研修・マニュアル点検・申請書最終チェックサービスも少しだけご紹介させていただいています。


※記載したFAQは本ページ掲載日時点での要項を参照しています。申請時は最新の東京都公式「募集要項/FAQ」および jGrants 掲載ページをご参照ください。内容は予告なく更新されます。

1. 制度の概要に関するFAQ

Q1. 奨励金はいくら支給されますか?
A. 1社あたり 定額40万円 が支給されます。定額のため、経費が40万円を超えても上限は40万円、経費が少なくても40万円が支給される仕組みです。

Q2. 対象となる事業者の条件は?
A. 都内で事業を営む中小企業等・個人事業主で、常時雇用300人以下が対象です。都内に本店または支店の事業所があり、1年以上継続して事業を行い、税の滞納がない等の要件も必要です。詳細は公式要件をご確認ください。

Q3. 受付はいつまでですか?
A. 第2回は2025年9月25日(木)9:00に予定件数1,000件に到達したため受付終了。第3回の申請受付は決まり次第、公式特設サイトで案内されます。前倒し準備を推奨します。


2. 要件に関するFAQ

Q4. カスハラマニュアルは新規作成でないとダメですか?
A. 新規作成または2025年4月1日以降の改定であれば対象となります。必須項目(※章立てだけのマニュアルは不可/条例への言及や従業員対応ルールなど)が含まれていること、周知証跡があることが条件です。

Q5. 実践的取組はどんな内容ですか?
A. 以下のいずれか1つを実施する必要があります。

  • 録音・録画環境の整備:※契約の場合は6か月以上。購入は契約期間要件なし。

  • AI活用システムの導入:※契約の場合は6か月以上。購入は契約期間要件なし。

  • 外部人材の活用(研修委託契約や外部相談窓口契約など):継続契約は6か月以上研修スポットは6か月要件なし(申請日時点で実施済・他社主催セミナーは対象外)。

▶東京都カスハラ奨励金の対象経費と認められる取組一覧・具体例はこちらへ

Q6. 外部人材の範囲に社労士は含まれますか?
A. 含まれます。募集要項で「弁護士・社会保険労務士・中小企業診断士」が例示されています。

Q7. 研修はオンライン実施でも対象になりますか?
A. 対象です。Zoom等のオンライン研修でも、受講証跡(出席名簿やログ)を残すことで実施証憑として認められます。他社主催セミナー参加は対象外です。


3. 申請手続きに関するFAQ

Q8. 申請は紙でも提出できますか?
A. できません。申請は 電子申請(jGrants) のみで、GビズID(gBizIDプライム)が必須です。

Q9. 申請書類には何が必要ですか?
A. 主に以下が必要です。

  • 契約書(外部人材・研修会社との契約)

  • 見積書 → 請求書 → 領収書(整合性必須)

  • 研修実施証跡(写真・Zoomログ・出席名簿など)

  • マニュアル本体と周知証跡(掲示・メール・ポータル画面スクショ)

  • AIや録音設備を導入した場合は仕様資料・運用ルール

Q10. 審査や入金までどのくらいかかりますか?
A. 目安は「審査約3か月 → 請求後1か月」。ただし申請数や審査状況により変動します。


4. 不交付リスクに関するFAQ

Q11. 不交付(いわゆる「不支給」)になる典型的な理由は何ですか?
A. 次のような不備が多いです。修正不可のものが多いので一発不交付決定もあり得ます。

  • マニュアル作成日や契約日の日付不一致

  • 必須項目の欠落・不記載(条例への言及なし)

  • 契約書と請求書の金額不一致

  • 研修や設備導入の周知証跡不足

  • 自己契約(関連会社・知人先への形式委託)
  • 電子申請ファイル形式やセルフチェック漏れ

  • 申請期限超過

Q12. 研修の時間や内容に要件はありますか?
A. 東京都の募集要項には明確な時間要件は記載されていません。ただし「実効性がない」と判断されると不交付リスクがあるため、60〜90分程度の実効性ある研修を推奨します。

二重計上NGの具体例(よくある失敗パターン)

パターン 内容(例) リスク
① 同じ研修費用を複数助成金に申請 東京都カスハラ奨励金で外部研修を申請し、同じ領収書を「人材開発支援助成金」にも提出 同一経費の二重申請 → 即不交付
② 同一契約を分割して複数区分に計上 外部相談窓口契約費用を「外部人材活用」と「システム導入」の両方に計上 経費の水増し扱い
③ 同じ設備投資を別名目で計上 録音機器の購入を「カスハラ対応設備」として申請し、同じ領収書を「BCP補助金」にも提出 二重計上で即アウト
④ 人件費を複数事業で申請 社内担当者の作業工数を「奨励金対象経費」に含め、同時に国の補助金にも人件費として計上 虚偽申請とみなされやすい
⑤ 関連会社を使った自己契約で複数申請 グループ会社に外部相談窓口を形式的に委託し、同じ契約で複数事業所から申請 二重計上+自己契約 → 不交付確実

5. 実務サポートに関するFAQ

Q13. 奨励金申請の代行はお願いできますか?
A. 書類提出そのものは事業主様にお願いしております。当事務所は研修実施の証憑類整備や申請書類の最終チェックでご支援します。

Q14. 不交付を避けるためにどんなサポートがありますか?
A. 当事務所では以下のサポートを提供しています。

Q15. 東京都以外の補助金もチェックしてもらえますか?
A. はい。ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金などの点検実績も豊富です。

Q16. 外部相談窓口や研修の契約期間に要件はありますか?
A. はい。外部相談窓口の委託契約は6か月以上であることが条件です。短期契約(3か月など)は対象外となるため注意が必要です。

Q17. 奨励金交付後に契約を途中解約したらどうなりますか?
A. 実態が伴わないと判断されれば返還命令が出る場合があります。特にAIシステム等の導入や外部相談窓口を6か月未満で解約すると「最初から要件を満たしていない」とみなされ、不交付や返還のリスクが高まります。

Q18. グループ会社や知人の会社に委託しても対象になりますか?
A. なりません。形式的な契約や自己取引と判断され、不交付の典型例となります。必ず第三者専門家との契約が必要です。

Q19. 他の補助金・助成金と併用できますか?
A. 原則として同一経費の二重申請は不可です。ただし、異なる経費区分であれば併用可能な場合もあるため、事前確認が必要です。

Q20. 不正申請が発覚した場合のペナルティは?
A. 即不交付・返還命令だけでなく、行政処分や社名公表の対象となる可能性があります。将来の補助金申請にも不利になります。

追加FAQ(2025.9.26追加)

Q. 外部相談窓口は契約期間の要件がありますか?
A. はい。継続契約は6か月以上が必須です。スポット研修は6か月要件はありません(ただし申請時までに実施済み)。

Q. サブスク型AI/録音機器は月極で3か月だけ契約すれば足りますか?
A. いいえ。契約の場合は6か月以上が必要です(購入なら期間要件はありません)。

Q. 6か月未満で途中解約したら?
A. 契約要件を満たさず不交付・返還のリスクが高まります。原則6か月は継続運用してください。

Q. 顧問先にカスハラ対策の外部相談窓口を追加しても対象になりますか?
A. 「カスハラ相談対応」を明記した新規の継続契約(6か月以上)として位置付けるのが安全です。顧問契約に内包する場合も、業務範囲と期間が要件に合致することを明示しましょう。

6か月要件の早見表(PC閲覧推奨)

区分 代表例 6か月以上の契約 補足
取組1:録音・録画環境の整備 リース/サブスク機器 必要 「契約の場合は6か月以上」。購入は期間要件なし。
取組2:AI活用システム導入 AI機能付きSaaS 必要 「契約の場合は6か月以上」。買切りは期間要件なし。
取組3:外部人材・継続契約 外部相談窓口(社労士・弁護士 等) 必要 「相談対応等の継続契約は6か月以上」。
取組3:外部人材・スポット契約 研修講師(単発) 不要 申請日時点で実施済みが条件。他社主催セミナー参加は対象外。
取組3:警備会社との法人契約 常駐/駆付け警備 必要 「契約期間が6か月以上」。

※各回の要項・FAQで指定や解釈が更新されることがあります。申請前に最新要項で必ず再確認してください。


まとめ|FAQを確認して不安を解消

東京都のカスハラ奨励金は、制度要件を満たせば40万円が支給される大きなチャンスです。
一方で、「ほんの小さな不備で不交付」 となるリスクが高いため、事前のチェックが不可欠です。

▶ 提出直前の不安を解消したい方は、当事務所の 最終チェックサービス をご活用ください。


関連ページ