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【2025年対応版】副業と税務・住民税リスクの実務ガイド|企業が抱える負担と回避策(社労士監修)
2025/10/04
はじめに|副業リスクは「税務と住民税」で会社に跳ね返る
副業を認める企業が増える中で、最も見落とされやすいのが 税務と住民税に関するリスク です。
「従業員が勝手に副業をしても、税務申告は本人責任だから会社に関係ない」と思っていませんか?
実際には、会社は住民税の特別徴収義務者であり、税務処理や従業員対応を誤れば企業自身が行政指導やトラブルに巻き込まれる可能性があります。
本記事では、企業目線で副業に伴う 税務・住民税リスクの仕組みと回避策 を詳しく解説します。
企業が直面する税務・住民税リスク
1. 住民税で副業が発覚する
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副業収入は翌年度の住民税に反映され、本業会社に通知される。
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経理担当が「なぜ住民税が高いのか?」と疑問を持ち、副業発覚につながる。
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就業規則に禁止条項がなければ、懲戒処分が無効となるリスクあり。
企業リスク: 「副業禁止なのに隠れて副業していた従業員を処分したら、裁判で無効」とされるケース(東京地裁平成7年3月15日判決)が実際に存在。
2. 特別徴収義務者としての会社責任
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日本では住民税は原則 会社が特別徴収する義務 を負う。
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副業を理由に住民税の算定や徴収が誤ると、会社が 納付遅延のペナルティ対象 となる可能性がある。
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従業員が副業申告を怠った場合も、結果として会社の事務負担が増す。
企業リスク: 税務署や自治体から「住民税額の確認」「徴収誤りの是正」を求められる。小規模企業ほど事務負担が直撃。
3. 扶養控除・社会保険の連動リスク
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副業収入により、従業員の配偶者や子どもが扶養控除の条件から外れるケースが発生。
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健康保険の扶養(年収130万円基準)から外れ、社会保険加入が必要になると、事務手続きは本業会社が対応することに。
企業リスク: 「従業員の扶養認定を誤っていた」として年金事務所から是正指導を受けるケース。
4. 税務申告漏れによる会社への波及
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従業員が副業の確定申告を怠ると、税務調査で会社に照会が入る可能性。
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特に「副業報酬の支払調書」と「従業員の住民税データ」が突合されると、会社も調査対象になることがある。
企業リスク: 「従業員の副業管理が甘い会社」と評価され、行政調査や社会的信用低下のリスクに発展。
企業が取るべき実務対応
1. 就業規則に「税務・住民税リスクは本人責任」と明記
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「副業に関する税務申告・住民税の増加は本人の責任」と規定。
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会社はあくまで特別徴収義務者の範囲で対応する立場を明確化。
2. 誓約書でリスク負担を本人に移転
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副業により発生した税務リスクは自己責任で処理することを誓約させる。
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トラブルが発生した場合の会社責任を限定。
3. 社内周知とリスク説明書の配布
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従業員に対し「住民税で必ず会社に知られる仕組み」を明示。
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知らなかった従業員からの苦情や不満を未然に防ぐ。
4. 顧問税理士・社労士との連携
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副業制度を導入する際は、税務リスクを踏まえた制度設計が不可欠。
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確定申告の説明資料や社員向けQ&Aを外部専門家に作成依頼すると効果的。
トラブル回避に成功した企業の事例
IT企業F社(従業員30名)
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背景:副業希望者が増え、住民税での発覚リスクを懸念。
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対応:就業規則に「副業の税務・住民税は自己責任」と明記し、誓約書を導入。
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結果:従業員からのクレームがなくなり、会社の事務負担も最小限で運用可能に。
製造業G社(従業員50名)
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背景:過去に副業申告漏れで市区町村から問い合わせを受けた経験あり。
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対応:顧問税理士の協力を得て「副業リスク説明書」を全社員に配布。
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結果:副業解禁後も税務関連のトラブルゼロ。採用時にも「透明性のある制度」として評価され、人材定着率が改善。
FAQ|企業が直面する副業と税務・住民税リスク
Q1. 副業禁止にしても住民税で発覚しますか?
A. はい。禁止しても翌年度の住民税に副業収入が反映され、会社に通知されます。規程がなければ懲戒処分は無効になるリスクがあります。
Q2. 会社が副業の確定申告を代行する必要はありますか?
A. ありません。確定申告は従業員本人の責任です。ただし誓約書で「本人責任」を明示しておくことが重要です。
Q3. 副業収入で扶養から外れた場合、会社に影響は?
A. 健康保険の扶養認定を取り消し、手続きを行うのは会社の事務負担となります。未対応は年金事務所から是正指導の対象となります。
Q4. 副業に関する住民税の徴収を拒否できるか?
A. 原則できません。会社は特別徴収義務者であり、徴収・納付を怠ると行政処分の対象となります。
まとめ|副業リスクは「税務と住民税」で会社に直撃する
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住民税の仕組みで副業は会社に必ず露見する
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従業員が申告漏れをすれば、会社も巻き込まれる
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扶養・社会保険に連動して事務負担が増す
結論:
副業リスクは「税務・住民税」を通じて必ず会社に跳ね返ります。中小企業は「就業規則+誓約書+リスク説明」の三点セットで仕組みを整え、リスクを本人責任に移転しつつ、会社の事務負担を最小化することが不可欠です。
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サービス料金表
項目 | 内容 | 料金(税込) |
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新規副業制度の作成 | 就業規則点検+副業リスク説明書+副業誓約書 | 33,000円 |
就業規則新規作成 | 就業規則+労働条件通知書+NDA | 30,800円 |
就業規則一式新規作成 | ③+パート規則+育児介護休業規定 | 55,000円 |
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