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【2025年対応版】事例でわかる|えるぼし・くるみん・ユースエール認定の成功パターンと失敗パターン

2025/10/31

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)


はじめに|「認定を取った企業」と「取れなかった企業」の違いとは?

厚生労働省の公的認定制度(えるぼし・くるみん・ユースエール)は、いずれも企業の「職場環境整備」と「取組実績」を総合的に評価する制度です。
しかし、同じ業種・同じ規模の企業でも――

  • すぐに認定を取得できる企業

  • 何年経っても要件を満たせない企業

に分かれるのが現実です。

ここでは、実際に認定を取得できた企業の成功パターンと、申請でつまずいた失敗パターンを整理し、BCP認証・くるみん・えるぼしなど数多くの公的認定を支援してきたコンサルタントが、これから申請を検討する企業が「最短ルートで通過」するためのポイントを解説します。


成功パターン①|「行動計画」を“義務”ではなく“経営計画”として運用

成功事例:製造業(社員40名)/えるぼし認定取得

  • 女性比率の低さに悩み、採用方針を見直し

  • 行動計画書を“社内経営目標”として位置づけ

  • 「採用・登用・働き方・管理職比率」などをKPI化

→ 認定後、求人応募数が2倍に増加し、離職率も低下。
→ 「計画書を作る」ではなく、「計画を動かす」姿勢が成功の鍵。

ポイント

  • 計画書は“書類”ではなく“経営宣言”。

  • 実行できる内容を具体的に設定する。

  • 「女性登用・時短・残業削減」はセットで整備。


成功パターン②|制度整備と運用を同時進行

成功事例:医療法人(社員120名)/くるみん認定取得

  • 育児休業制度を整備していたが、利用実績ゼロ

  • 利用促進キャンペーン・復職支援制度を同時導入

  • 男性育休も取りやすい雰囲気を作り、実績を積む

→ 「制度があるだけ」から「制度を使える職場」に転換。
→ 実績報告時に高評価を得てスムーズに認定取得。

ポイント

  • 制度整備と利用促進を同時に進める。

  • 育休復帰率・男性育休率など“実績データ”が決め手。

  • 就業規則・社内周知文の整合性にも注意。


成功パターン③|若手社員の定着に“研修と評価”を組み込む

成功事例:IT企業(社員25名)/ユースエール認定取得

  • 離職率が高く認定要件を満たせず

  • OJTマニュアル・メンター制度を導入

  • 半年ごとに定着率を見直し、改善報告を実施

→ 「3年離職率」指標をクリアし、ユースエール認定を取得。
→ 求人票のPR文に「ユースエール認定企業」を掲載し応募率が向上。

ポイント

  • 研修・評価・面談制度の整備が実績を支える。

  • 離職率の改善は“1年継続のデータ”が鍵。

  • 求人票・採用サイトでの広報活用も重要。


失敗パターン①|「形式だけの行動計画」で実績が伴わない

失敗例:小売業(社員30名)/えるぼし認定未達

  • 行動計画書は作成・届出済み

  • しかし内部で共有されず、運用も評価も実施なし

  • 結果、報告段階で「計画の実行実績」が証明できず認定申請を断念

回避策

  • 計画は“社内でのPDCA”を伴う必要あり。

  • 実績報告時には「実施証跡(会議記録・通知文)」が求められる。


失敗パターン②|「制度はあるが使われていない」状態

失敗例:医療・介護業(社員80名)/くるみん認定未達

  • 育児休業制度・短時間勤務制度は整備済み

  • しかし実際の利用者ゼロ・社内周知不足

  • 「利用実績がない=両立支援が形骸化」と判断され、審査通過せず

回避策

  • 利用実績を意図的に積み上げる期間を設ける(半年〜1年)。

  • 男性社員への周知・ポスター掲示など“利用しやすい環境”を整備。


失敗パターン③|離職率・残業時間のデータが整っていない

失敗例:サービス業(社員20名)/ユースエール認定未達

  • 離職率や残業時間のデータを正確に算出できず

  • 3年分の勤怠・雇用データが整理されていなかった

  • 提出書類不備のため再提出を求められ、途中で申請断念

回避策

  • 離職率は「過去3年間の常用労働者ベース」で算出。

  • 勤怠データ・賃金台帳・雇用契約台帳をあらかじめ整理。

  • 書類作成前に“数値証跡”をそろえる。


まとめ|認定は「人事制度の完成」ではなく「改善プロセスの認定」

えるぼし・くるみん・ユースエール認定は、完璧な人事制度を持つ企業だけの制度ではありません。

  • “これから整備したい”企業

  • “改善途中”の企業
    でも、計画性・実行力・報告体制があれば十分に認定可能です。

社労士による点検・書類整備支援を受けながら、“認定をゴールではなく改善のきっかけ”として活用することが、最も効果的です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 失敗した場合、再申請は可能ですか?
→ はい、可能です。要件を満たせば何度でも再申請できます。再提出に期限はありません。

Q2. 認定を取ると何が変わりますか?
→ 採用広報・求人票・入札・補助金など、企業の信頼度が可視化されます。何よりも、公的認証の取得で企業としての格が上がります。ハローワーク求人や自治体の入札案件で加点評価が得られるケースも多く、企業ブランディングにも直結します。

Q3. どの認定から始めるのが良いですか?
→ 制度整備が進んでいる企業は「えるぼし」から、育児支援重視なら「くるみん」、若手採用強化なら「ユースエール」がおすすめです。

Q4. 認定の有効期間はありますか?
→ いずれの制度も原則「5年間」が有効期間です。期間満了後は実績に基づく再申請(更新)が可能です。


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