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【2025年版】若手が辞める会社・辞めない会社の違い|離職率を左右する“職場の5要素”
2025/11/13

監修:RESUS社会保険労務士事務所(社会保険労務士 山田雅人)
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はじめに|若手離職は“会社の未来の指標”
若手社員の離職は、単なる人手不足の問題ではありません。
・教育投資の損失
・採用単価の増大
・職場の疲弊
など、企業の将来に直結する課題です。
近年は、Z世代・ミレニアル世代といった若手層の価値観変化により、「辞める理由」「残る理由」が大きく変化しています。
本ガイドでは、実務と心理の両面から、若手が辞める会社・辞めない会社の違いを整理し、今日からできる改善策をわかりやすく紹介します。
1.若手が辞める会社に共通する“5つの問題”
離職率の高い会社には、驚くほど共通点があります。
(1)コミュニケーションが“断片的・曖昧”
・指示が「とりあえず」で伝わる
・背景説明がない
・感情的な指摘
・人によって言っていることが違う
若手は、「目的がわからない」「怒られた理由がわからない」ことに大きなストレスを感じます。
(2)オンボーディング(初期教育)が弱い
・入社後の流れが決まっていない
・OJTが属人的
・聞きにくい雰囲気がある
・ミスした際のフォローがない
入社1〜3か月は“離職の最も危険な時期”ですが、その期間のフォローが不足している企業が多いのが実情です。
(3)心理的安全性が低い
・質問しづらい
・失敗すると責められる
・人前で叱責される
・冗談のつもりがパワハラと受け取られる
若手は「人間関係」を理由に辞める割合が最も高い世代です。
(4)評価基準が曖昧
・何をすれば評価されるかわからない
・努力が見えにくい
・上司の主観による差が大きい
若手にとって、評価は“成長のフィードバック”。
曖昧な評価は、「この会社にいていいのか?」という不安を生みます。
(5)仕事量・役割が偏っている
・優秀な人に仕事が集中
・明確な役割分担がない
・忙しい人が固定化している
若手は「公平感」「納得感」を強く重視します。偏りがある職場は、離職につながりやすい特徴があります。
2.若手が辞めない会社に共通する“5つの強み”
逆に、定着率が高い企業には次の共通点があります。
(1)上司が“理由”と“背景”を丁寧に伝える
若手は「なぜそれをするのか」を理解すると、一気に行動が安定します。
・背景説明
・目的
・優先順位
・期待値
これらがあるだけで、ミスや誤解が激減します。
(2)初期3か月のフォローが丁寧
・チェックリスト
・教育担当者の明確化
・1on1ミーティング
・小さな成功体験を積ませる
新人が“孤独にならない”職場は離職が極端に少ない傾向があります。
(3)心理的安全性が高い
・質問しても怒らない
・失敗は学びと捉える
・上司が丁寧に言語化する
・社員同士の助け合いがある
心理的安全性は、生産性よりも“定着率”に直結します。
(4)評価基準が明確で、努力を見てくれる
・行動指標が明確
・日常的にフィードバック
・良いところを具体的に褒める
若手は「見られている感」「成長を実感できる環境」に強く安心します。
(5)役割と分担が明確
・属人化が少ない
・タスクの偏りがない
・職場全体でフォローする文化がある
「公平感」が担保されることで、若手は長期的に残りやすくなります。
3.若手離職を引き起こす“3つの危険サイン”
以下のような兆候が見られたら、早期対応が必要です。
サイン1:小さなミスが増える・遅刻が増える
心理的な負荷が高まっている可能性があります。
サイン2:上司・同僚との会話が減る
助けを求められない状況は危険です。
サイン3:表情が暗い・ため息が多い
疲労や不安のシグナルです。
4.初動対応|「辞めたい」と言われたときにまずやること
若手から退職の意向を受けた際は、次の3ステップが重要です。
(1)まずは否定しない
「そんなこと言うな」「考え直せ」は逆効果。
(2)“安全に話せる場”を用意する
立ち話・オープンスペースでは本音が出ません。
(3)話を整理し、本人の感情を確認する
・不安
・不公平感
・成長実感の不足
など、辞めたい背景には複合的な要因があります。
ここを丁寧に整理すると、離職を防げるケースは少なくありません。
5.離職率を改善するための“5つの実務対策”
対策1:上司の伝え方・指導法の統一
ミス指摘のフレーズ、褒め方、背景説明の方法など、“言い方”を標準化するとトラブルが激減します。
対策2:オンボーディング制度の整備
入社〜3か月までの工程表・チェックリストが非常に有効。
対策3:1on1ミーティングの定期化
感情・不安・進捗を早期に把握できます。
対策4:役割分担と業務の見える化
属人化を防ぎ、公平感を高めます。
対策5:相談しやすい環境づくり
外部相談窓口も有効です。
“社内で言えない悩み”を早期に解消できます。
6.自己診断チェックリスト(簡易版)
□ 上司の伝え方・フィードバックが統一されている
□ 新人フォローの工程表・チェックリストがある
□ 1on1面談が月1回以上ある
□ 若手の不満が早期に拾える仕組みがある
□ 心理的安全性が高い(質問しやすい)
□ 役割・業務分担が明確
□ 外部相談窓口を設置している
7.まとめ|若手離職は“職場文化の鏡”
若手が辞めるかどうかは、会社のシステム・コミュニケーション・上司の言動に大きく左右されます。
小さな改善の積み重ねが、安定した採用・定着につながります。
RESUS社会保険労務士事務所では、若手教育・管理職研修・外部相談窓口など、人材定着に関する実務支援を一貫して提供しています。
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定着率改善の組織点検・定着率改善の支援はお任せください。
8.FAQ(よくある質問)
■ Q1. 若手の離職が多い企業はどこから改善すべきですか?
まずは「上司の伝え方」と「初期3か月のフォロー」を整えることが最も効果的です。
多くの企業で、この2点の改善だけで離職が大幅に減ります。
■ Q2. 若手社員の“価値観の違い”に対応するには?
背景説明・目的共有・丁寧なフィードバックが特に重要です。
Z世代は「理由」がわかると行動が安定します。
■ Q3. 研修とマニュアル、どちらが効果的?
併用が最も効果的です。
研修=言動の標準化、
マニュアル=職場での“再現性”につながります。
■ Q4. 外部相談窓口は若手離職の抑制に有効ですか?
有効です。
「社内で言いにくい悩み」を外部で受けることで、
SNS等に発信される前に適切に解消できるケースがあります。
Q5. 若手が辞めるのは“甘え”ではないのですか?
個人の問題として片付けるのではなく、職場の仕組みやコミュニケーションの改善点を整理することが効果的です。若手本人の課題があっても、組織側に改善余地があることが多く、“環境要因”と“個人要因”を分けて考えることが重要です。