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求人票と異なる条件で採用したいけど「求人詐欺」と言われたくない!【2025年最新】

2020/02/06

(最終更新日:2025/09/12)

求人票と実際の労働条件が違うと“求人詐欺”と呼ばれることも。本記事では2025年最新法令・判例に基づき、安全な条件変更の方法を解説します。

はじめに|求人票と実際の条件が違うとトラブルに?

「求人票に記載した条件と違う内容で採用したい」「応募者が条件を下げても入社したいと言っている」
採用現場では珍しくない相談です。

しかし、求人票と労働契約の内容が大きく異なると「求人詐欺」と指摘される恐れがあり、労働紛争や口コミサイトでの悪評につながるリスクがあります。

この記事では、社会保険労務士が2025年最新の法令・判例・厚労省指針をもとに、

  • 求人票と異なる条件で採用する際の法的考え方

  • 違法・不適切と見なされやすい事例

  • 安全な手続きのポイント
    を実務的に解説します。


求人票と契約条件が食い違った場合のリスク

  • 労働基準法第15条:契約締結時に労働条件を書面等で明示する義務

  • 職業安定法第5条:求人票での労働条件明示義務

  • 2023年以降、ハローワークや労基署の監督強化が進み、
    求人票の誇大表示や虚偽記載は行政指導・企業名公表の対象になる可能性あり

判例の傾向

  • 福祉事業者A苑事件(京都地裁H29.3.30)
    無期雇用で募集→契約社員として雇用→雇止め
    → 裁判所は「求人票の内容が契約条件になる」と判断

  • 裁判所は「自由な合意・十分な説明」がない限り、求人票を契約内容と認める傾向が強まっています。


「求人詐欺」と見なされやすいケース

  • 求人票に月給20万円と書きながら、実際は固定残業込みで基本給14万円

  • 「完全週休2日制」と記載しておきながら週1日休み

  • 「正社員採用」と記載したのに契約社員

  • 勤務地・職種・勤務時間が異なる

  • 社会保険未加入なのに「社会保険完備」と記載

  • 始業時刻前のサービス出勤が当たり前
    → 苦情や口コミで会社の信用を大きく損なうリスクがあります。


厚労省の基本スタンス(整理)

  • 求人票は「応募を誘引する資料」であり、応募者と企業の契約交渉の出発点

  • ただし、特段の合意がない限り、求人票の条件=契約条件とみなす(裁判例多数)

  • よって、契約内容を変更する場合は
    「自由な意思による合意」「十分な検討時間」「書面での履歴管理」が必須です。


安全に求人票と異なる条件で採用するための手順

  1. 差分を明確化

    • 求人票と異なる項目を一覧表にまとめる

    • 変更理由を客観的に説明(例:本人希望、試用期間の適用など)

  2. 書面で説明・交付

    • 雇用契約書・労働条件通知書に明確に記載

    • 求人票との差分をわかりやすく提示

  3. 本人が判断できる時間を確保

    • 即日契約は避け、24時間以上の検討期間を推奨

  4. 合意過程を記録に残す

    • 電子メール・説明資料・署名日付などを保存


実務Tips|採用現場でありがちな誤解

  • 「求人票は参考資料だから契約時に書き換えOK」
    時代遅れの解釈。裁判所・行政は求職者保護を重視。

  • 「試用期間だから条件を下げても問題ない」
    → 試用期間中の条件変更も合理的な理由と明示が必要。

  • 「応募者の希望で条件を下げた」
    → 本人の自由意思を証明できなければ無効のリスク。


採用戦略の観点から

  • 求人票の“盛りすぎ”や後出し条件は、
    採用難時代では逆に悪評リスクが高く、応募減少につながる

  • 誠実な求人票+早いフィードバック+透明な評価制度は、
    中小企業でも採用ブランドを高める最も有効な方法です。


まとめ

  • 求人票の内容は「単なる広告」ではなく契約の基礎資料

  • 条件を変更する際は

    1. 差分明確化

    2. 書面交付・時間確保

    3. 合意過程の記録
      を徹底すればトラブルを防げます。

◎採用活動では「誠実さ」が最終的な採用力につながります。


FAQ|求人票・雇用条件に関するよくある質問

Q1. 求人票と実際の労働条件が違っても、本人が合意すれば問題ないですか?
A. 合意があっても「自由な意思に基づくもの」と証明できなければ無効の可能性があります。書面で差分を明示し、検討時間を設けたうえで合意履歴を残すことが重要です。


Q2. 試用期間中なら条件を下げても大丈夫でしょうか?
A. 試用期間中の条件も「合理的な理由」と「事前明示」が必要です。事後通知や曖昧な契約はトラブルの原因になります。


Q3. 求人票の条件を少し盛って書いても大丈夫ですか?
A. 誇大表示や虚偽記載は行政指導・企業名公表の対象となる可能性があります。SNSや口コミサイトでも悪評が広がり、採用ブランドを傷つけるリスクが高いため避けましょう。


Q4. ハローワークの求人票と民間サイトの求人内容が違っても問題ありませんか?
A. 違いがあるとトラブルにつながりやすいため、どちらも同じ内容に統一してください。情報が異なると応募者は不信感を抱きます。


Q5. 労働条件通知書は必ず発行しなければならないですか?
A. はい。労働基準法第15条に基づき、賃金・労働時間・休日などの条件は書面(または電子化対応可)で明示する義務があります。


Q6. 内定後に条件を変更してもいいですか?
A. 合意を得られれば可能ですが、内定辞退や訴訟リスクが高まります。条件変更は内定前の面接段階で十分に説明し、書面で合意を得ることが推奨されます。


Q7. 労働条件の差異をどうやって証明すればいいですか?
A. 契約書・メール・説明資料・面談議事録などの履歴を残してください。
電子署名サービスを活用すると証拠性が高まります。


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