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部下の褒め方は難しい?褒め上手になって尊敬されたい!(例文付き)
2023/06/10
企業で人事コンプライアンス関係の研修を行っていますと、「部下をうまく褒めることができない」という管理職者のお悩みをいただくことがあります。
褒めることは部下や後輩のやる気を引き出すためのひとつの方法にすぎませんが、組織のモチベーションを高めることは生産性だけでなく、パワハラやセクハラと言われないリスク対策にも大きな効果があります。うっかり不適切なモラル違反発言をしてしまったときも、お互いの人間関係によっては白にも黒にも評価されます。
ところで、褒める技術というものは普遍的なものがあるようで無い、本当に難しいスキルだと感じます。職場だけでなく良好な人間関係を築くことはあらゆる場面で必要であり、また人生を豊かにするために必要な「人として」大切なスキルであるものの、多くの人が人間関係に悩んでおり、その亀裂は精神を不安にさせ、疾患となることもあります。逆に良い人間関係は人生の財産でもあり、本当に大切な人に出会えることは何にも代えがたいことです。
ということで書店を覗きますと、ノウハウ本として「褒め」をキーワードにしているものもあり、著名なタレントや学者がその人間関係を良好にするためのテクニックを披露してくれています。
ある有名なタレントは、「ありがとう」の感謝の言葉をわざわざ「エクセレント!」など横文字に転換するテクニックを披露したり、身振り手振りのジェスチャーを交えて盛大に褒めることを勧めたりしています。
確かに論理的に裏打ちされており正しいことばかりのように思えますが、実際に使うシーンを想像すると、受け手とのそもそもの関係性や、発信者のキャラ度合いに大きく印象が影響され、わざとらしいだけでシラケてしまうのではないかと不安なものもあります。他人を褒めることは社会生活を営むうえでのコミュニケーションに欠かせない必須スキルのはずなのに、なぜ神様は等しくそのスキルを与えなかったのか疑問に思うほどです。たくさん研修を受けてこられた大企業出身の方によると、人事コンサルタントの中には褒めても無駄、めったに部下は褒めず、ここぞというときだけにしろと指導する方もいるそうですが、やっぱり頑張っているからには褒めたり褒められたりされたいものです。しかも、たまにではなく、毎日嫌というほど褒められたいと私などは思います。
ところで最近はあまり聞かなくなった従業員のエンゲージメント調査(通称、「ES調査」)ですが、以前に大企業のES調査実施時に、「職場で言われて記憶に残っている褒められ言葉はありますか?あればご記入ください」としたアンケートを実施したことがあります。通常任意の記入事項については空欄のままが多く回収できないことが一般的ですが、その際はトップダウンだったこともあり、顧客や取引先、上司や部下から発信されたものなど、多くの言葉が回収できました。容姿など仕事に関係ないことで褒められたことや昇進試験で合格した時におごってもらってうれしかったなど、その人物でしか使えないネタも多かったのですが、最近は研修時に「具体的に褒める言葉を教えてほしい」と言われることもあり、そういえばアンケートの中にとても良いと思えるものがありましたので、ぜひ(自己責任で)使ってくださいと披露しています。好みもあると思いますが、例えば、
「あの難しい担当者相手によく商談をまとめたね。」
「前見た資料と比べても格段に良くなっているよ。」
「視野が広くて皆助かっていると思うよ。」
「私を参考にせず、あなたの良いところを伸ばせばよいと思うよ。」
「僕はあなたが頑張っているのを近くで見ていますからね。」
などは、上司や先輩の人柄までよくわかる褒め言葉でとても素敵だと思いませんか?私もいつか使いたいと思っていますが、後で思い出して「あーチャンスだったのに!」と悔しい思いをすることもよくあります。他にも、
「仕事を覚えるスピードは自信を持ってよいと思うよ。」
「前言った指導をよく理解しているね。」
「私はこの仕事ができるまでもっと時間がかかったよ。」
「私にも君のような上司がいたらよかったのに。(部下の部下への対応を褒めるとき?)」
「できないことより、できることの方が上回っているよ。(ミスをねぎらっている?)」
など、多少発信者側のプライドの高さをにおわせる嫌味とも取れそうなセリフもありましたが、悪くありません。
「今度こっそりそのコツ教えてほしい。」
「その能力を得るまでに相当苦労しただろうね。」
「遅くまでご苦労様、よく頑張ったね。」
なんかは、光るワードセンスは無いものの、人間同士の素直な感想が感じられます。部下にどのように自己主張を行わせるか、「アサーティブ・コミュニケーション」の面からみても、上司のやわらかい言い方は重要です。
「残業中に無言で肩をポンとたたかれた」、「髪型変えた?似合ってるね!」のように、とにかく、褒めるという行為は一つ間違えれば諸刃の剣ともなりますが、SNSやテレワークなど、対面で会話する機会が減り人間関係が希薄になっている今、やはり素直に思ったことは思った通りに評価し、『恐れず自己主張にする』ということが現代の人間関係には必要であり、また相手も求めているのだと思います。いわれて腹が立ったことは案外忘れますが、褒められたことは永く覚えているものです。褒めることもそうですが、人間関係は質ではなく繰り返した回数で築かれるものです。マキャベリも君主論で「恩恵は長く味わわせるためにも小出しにすべき」と言っています。「ありがとうも言い過ぎると逆効果」という人もいますが、少なくとも職場では当てはまらないと思います。
さて当社では働く人達が職場環境で力を発揮するための人事労務コンプライアンス研修を行っています。なんでもハラスメントと言われそうな現代社会で、上司と部下、同僚たちとどのように関係性を作り付き合っていくか。人間関係は何時の時代でも皆が悩んでいます。職場内での人間関係を円滑にするため、労務関連の基本法律や実務事例を学べるコンプライアンス研修を実施しませんか?企業など団体だけでなく個人や少人数を対象としたレクチャーも行っております。
オンラインでも行っておりますので、ご要望がございましたら是非ご相談ください。