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部下は褒めて伸ばすのが効果的!?褒める研修を実施する企業が増加中!!

2023/08/18

部下を褒めるのは効果的?褒める社内研修が人気?

ほんの数年前まで「部下は褒めて伸ばす」について人事コンサルタントの間でも様々な意見があり賛否両論、褒めたほうが良いのか、褒めないほうが良いのか、意見が分かれるところでした。

【褒める=甘やかす】イメージが根強く、子育てのような教育論と同じように語られていたこともあります。有名なスポーツ選手が幼少のころから両親から厳しく育てられていたことが語られたり、また貧しくて思うような生活ができない不遇の環境があったことで反骨精神が磨かれ、タフな精神力を身に着けるに至ったなど、確かに納得のいく成功者の理屈で、また話題性もありました。近年ではビジネスのグローバル化に伴い、多様な職場で自己主張をどのように行うか、「アサーティブ・コミュニケーション」の手法も注目され始めています。

一方企業では、「定時になると業務を放り出してさっさと帰る」とか、「ペットが病気だからと言って有給休暇を申請する」、「口の利き方がなっていない(敬語もまともに使えない)」など上司の地位にある人々の若年層への不満はいつも『部下を甘やかした結果こんなことになる(だから部下は甘やかしてはいけない)』と語られることが多くありました。しかし新型コロナによって物理的な制限が強制され、在宅勤務(テレワーク)が多くの企業で実施された中では、生まれた時からデジタル機器に触れて育った若年層のPCスキルやITリテラシーの高さが発揮されるのは当然として、「テレワーク環境でもオンオフが上手い」、「就業時間内のタスク処理が完璧」、「メール(社内SNS)の作文が上手い」など、若年層の能力が一気に開花した企業も多く、そして昨今の物価高、採用難と相まって、『あれ、若年層に辞められると困るんじゃね???』の意識が高まり、なんとか引き留めるための策を慌てて講じている企業が爆発的に増えた印象です。完全テレワークを廃止し、事務所への出勤に多くの企業が戻している事実も、若年層とうまくコミュニケーションをとれないため、物理的に近くに置いておく意図が見えます。

コミュニケーションを円滑にすることは組織運営上でも今昔普遍の重要なテーマですが、コロナ以降、『褒める』ことの効用について企業内でも大方、有用であるとの理解がマジョリティを占め、実際に人事研修でも褒める研修を行ってほしいという依頼が増えています。

 

どうやって褒めればよいかわからない!?

ところが褒めるという行為は大変難しく、また簡単に思っている人からすると驚くほど、「人は人を褒めることができない(=他人を承認することができない)」ことに気が付きます。

特に中高年の男性に多い傾向にあると言われていますが、その原因はバブル世代、バブル次世代の男性社員は他人を蹴落とし、他人の屍を超えて出世する「競争社会」を生き抜いてきたマッチョな世代であり、他人にスキを見せると寝首を掻かれること、もしくは自分が成長したのと同じようなハードな経験を積ませて、何とか成長させてあげたいという固定観念から抜け出せないのだと言います。

ところが、実務の現場で話をきいていると、確かに昭和はそんな時代だったが、今は新幹線でタバコを吸いたいとも思わないし、部下や後輩からも愛されたいし、なにより若者とバチバチに争って勝とうなどというプライドも無く、そんな昭和の固定観念に縛られている人は実はほとんどいません。そもそも社会を形成することで淘汰を免れた人間は他人と協力する本能があり、他人を蹴落としたり殺したりするのは大変なストレスです。当たり前のように平和を享受している若者を恨んでいる人などいませんし、若者は若者なりの苦悩を抱えていることも知っています。

それではなぜ、おじさんたちは部下を褒めることができないのでしょうか。

それは口下手、自己肯定感の低さ(精神的な序列が低い)、本当に部下が無能で褒めるところが無いなど、様々な要因が考えられますが、最も単純なのは、『世代や性別、思想の異なる多様な部下をどう褒めればよいのかわからない』、という技術的な引き出しの少なさにありそうです。ちなみに、自分が褒められた経験が無いから他人を褒められないというのは、論理として成立していませんし、人間観察が不十分です。

しかし残念ながら繰り返しになりますが、他人を褒めるほど難しいことはなく、労務管理の分野でも研究途上であり最大の難題です。近年の行動心理学など発展的な研究分野では、やはり『褒めないより褒めたほうがマシ』がエビデンスとして有用になりつつありますが、企業としてもいつまでも研究結果を待つわけにはいきません。

ボーっと働いているとなかなか気が付きませんが、社会は激動の渦中にあり、物価高、破壊的なテクノロジーの進歩、超人出不足社会にできることの最も簡単なこと(今日から始められること)は、他人を認め、協力しながら変化に対応していくことです。他人を認めるってどうすればいいの?の答えは、褒めることの中にあります。企業でも積極的に、「褒める文化」を育てていく必要がありそうです。もちろん、秩序維持や個々のキャリア形成において褒めるだけでは足りず、また営利を追求する企業である以上は厳しい義務も教えなければなりませんので、働くうえでの義務や権利など、社会と会社の一員が守らなければならない法令や就業規則の義務についても同時に学ばせるとより効果的と考えられます。

褒める研修カリキュラムの例

①組織におけるコミュニケーションの重要性

②褒めることのメリット

③褒め方のNG例

④褒め上手になるためのポイント

⑤具体的な褒め方の文例

⑥実際に褒めあってみる(チームビルディング研修)

他人をうまく褒められない人や褒める行為について否定的な人も、実践研修で「褒め言葉」をシャワーのように浴び、また自らも強制的に絞り出してみると、模擬とはいえ気分がよくなりますし、『コツ』のようなものがつかめて褒めることに前向きな意識に変化することがよくあります。ばかばかしいようで照れくさいですが、ANAなど超大企業からベンチャー企業まで「わざわざ時間を割いて」研修をしているくらい重要なコミュニケーション技術の分野ですので、皆さまの会社でもぜひ実施してみてはいかがでしょうか。

部下の褒め方は難しい?褒め上手になって尊敬されたい!(例文付き)