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【2025年対応版】初めて役員になる人のための専門研修|新任役員が知るべき税務・労務・法務のリスクと心得

2025/11/05

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)


はじめに|「役員になる」ということは、“経営の一翼を担う”ということ

会社員から取締役・監査役・理事・理事長などに任命されることは、非常に名誉なことです。
しかし同時に、労働法上の「労働者」から、会社法上の「経営責任者」へと立場が変わり、法律上の保護と責任の範囲が大きく変わります。

知らなかった、一方的に任せられた、前任者がやっていた――
そうした事情では済まされないのが「役員責任」です。

本研修では、役員就任時に必ず理解しておくべき「税務・労務・法務上の基礎知識」と、実際の経営判断における留意点を、専門家がわかりやすく解説します。


第1章|役員と労働者の違い ― “法的立場の転換”を正しく理解する

● 労働者から「経営者」へ

  • 労働基準法・労働契約法の保護対象外となる範囲

  • 残業代・労働時間・休業補償などの取扱い

  • 解雇権の適用除外と「任期途中の解任」リスク

  • 退職の自由が制限される「委任契約」の性質

● 社会保険・雇用保険の取扱い

  • 社会保険上の「役員報酬」と「給与」の違い

  • 雇用保険の加入除外要件

  • 産休・育休・傷病手当金の取扱いの変化


第2章|役員として負う法的責任と義務

● 会社法上の基本義務

  • 善管注意義務(第330条・第355条)

  • 忠実義務・競業避止義務・利益相反取引の禁止

  • 監査役・理事・評議員など法人種別ごとの義務の違い

  • 任期満了・再任・辞任・解任の法的手続き

● 労働関係法令上の連帯責任

  • 安全配慮義務違反・未払賃金・ハラスメント対応など

  • 「使用者責任」概念と代表取締役・人事担当役員の責任範囲

  • 刑事罰・行政指導・損害賠償請求の実例

● 消費者・利用者・取引先への責任

  • 消費者契約法・個人情報保護法・景表法との関係

  • コンプライアンス違反による企業・役員個人の信用毀損リスク


第3章|就任前に必ず確認すべき「会社の実態チェック」

就任を打診されると名誉な気持ちが先立ちがちですが、就任後に発覚した法令違反や債務問題は「知らなかった」では済まされません。役員になる前に、会社の現状を客観的に点検しておくことが重要です。

● 簿外債務・税務リスク

  • 未計上の賞与・退職金・リース債務の有無

  • 未払い残業・社会保険料の滞納確認

  • 税務調査・行政指導・訴訟案件の有無確認

● 労務コンプライアンス

  • 違法残業・未払い賃金・ハラスメント対応状況

  • 就業規則・36協定・労使協定の整備状況

  • 労働局・年金事務所・労基署からの是正歴

● 反社会的勢力・取引先リスク

  • 取引先・代表者の反社チェック

  • 反社排除条項の契約書記載有無

  • 個人保証・代表者連帯保証の有無

これら会社員では知り得ない事項は文面で確認しておくことが大切です。
※就任時の確認項目を整理した「役員就任前チェックリスト(Word版)」もご用意しています。▶【書式セットはこちら


第4章|役員の権利と防衛策 ―「責任」だけでなく「権限」も知る

● 役員の正当な権利

  • 決議権・報告請求権・議事録閲覧権

  • 不当な解任・損害賠償請求への防御方法

  • 任期途中の退任に関する自己防衛策

● 責任限定の制度活用

  • 責任限定契約(会社法第423条第3項)

  • D&O保険(役員賠償責任保険)の導入・範囲

  • 議事録・承認印の「証跡管理」ルール


第5章|トラブル事例と防止策 ― 実務で起こりやすい“落とし穴”

事例 よくある誤解・リスク 取るべき対応策
就任後に労基署是正勧告 「自分は知らなかった」では免責されない 就任前に労務点検報告を求める
税務調査で過年度の不正計上 元役員の不正でも新役員に説明義務 引継ぎ時の確認書を残す
解任トラブル 任期途中でも株主総会決議で解任可能 定款・議事録を確認、就任承諾書控えを保管
利益相反取引 関係会社との取引で違法認定 取締役会決議・第三者承認の手続を取る

このようなリスクを未然に防ぐためには、就任前・就任直後の段階で正しい法務・労務・税務知識を身につけることが不可欠です。

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第6章|研修プログラム(例)

回次 テーマ 時間 主な内容
第1回 役員と労働者の法的違い 60分 立場の変化・責任範囲・社会保険の違い
第2回 就任時チェックリスト 90分 会社法・税務・労務リスクの確認項目
第3回 役員の義務と防衛策 60分 善管注意義務・責任限定制度・議事録管理
第4回 ケーススタディ・模擬審議 90分 実際のトラブル事例を用いた意思決定演習

(オンライン・対面いずれも対応可)

研修プログラムは簡易研修(90分×1回)~上級役員向け(120分×4回)まで、ご要望に合わせて構成いたします。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 社員から昇格したばかりの取締役にも必要ですか?
→ はい。社内昇格であっても「法的立場」が変わります。労基法や雇用保険の適用範囲も変わるため、労務・税務上の初期対応を誤ると後から是正が難しくなります。

Q2. 無報酬役員・名義上の役員にも責任がありますか?
→ あります。報酬の有無にかかわらず、取締役として登記されている以上、法的には経営責任者とみなされます。

Q3. 家族会社・同族企業でも対象になりますか?
→ むしろそのような企業ほど重要です。親族間の口約束や形式的な議事録が原因でトラブルになるケースが多く、第三者的な法的整理が有効です。

Q4. 研修はオンラインでも受講できますか?
→ はい。Zoom・Teamsなどのオンライン形式にも対応しています。
役員候補者・管理職・経営幹部向けにカスタマイズしたプログラムをご用意します。

Q5. 弁護士・税理士・公認会計士・社会保険労務士・司法書士による合同研修も可能ですか?
→ 可能です。複数専門士業による「経営法務・税務・労務統合研修」として、実際の契約書・議事録・登記事例を用いた実践型にも対応しています。

Q6. 就任時に「引継ぎ書」や「責任限定契約書」は必ず必要ですか?
→ 推奨されます。就任時に前任者からの引継ぎ確認書や、会社との責任限定契約を締結しておくことで、将来のトラブル防止に大きく役立ちます。

Q7. 研修の料金はいくらですか?
→ 内容や回数により異なりますが、目安として1回(90分)約11万円、全4回で約44万円前後です。詳細は無料相談にてお見積りいたします。【出張費別途】


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まとめ|「知らなかった」では済まされない立場になる前に

役員就任は“高い栄誉”であると同時に“重い責任”を伴います。
事前に法務・労務・税務のリスクを理解し、正しい手順と防衛策を取ることが、結果として組織と自分を守る最善の備えになります。

RESUS社会保険労務士事務所では、新任役員・役員候補者・理事会向けに、実務に直結する専門研修プログラムを全国対応で実施しています。


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