NEWS
【2025年版】中途採用バックグラウンドチェック完全ガイド|管理職・専門職の“採用リスク”を防ぐ第三者照会(リファレンスチェック)
2025/11/17

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)
1.はじめに|「専門職・管理職の採用ミス」は企業にとって重大リスク
中途採用において、面接や履歴書の一次情報だけを信用して採用した結果、
・聞いていたスキルが無かった
・管理職経験が不十分だった
・態度・協調性の問題が入社後に露呈した
・高額な報酬で採用したのに成果が出ない
・入社後に開き直って対応困難となった
こうした“採用後の後悔”は多くの企業で発生しています。
特に、管理職・専門職・技術職・高度技能職などは、採用コストや影響範囲が大きく、面接と書類だけでは「実像」がつかみにくいことが実務上の課題です。
そこで、前職上司・同僚・取引先など第三者からの評価を照会するバックグラウンドチェック(リファレンスチェック)を導入する企業が増えています。
2.バックグラウンドチェックとは
バックグラウンドチェックとは、応募者の同意を前提に、次のような事実確認を行う手続きです。
✅前職での役割・評価
✅業務遂行力・マネジメント力
✅協調性・問題行動の有無
✅勤務期間・離職理由の確認
✅専門スキルの実務レベル
欧米諸国では一般職まで広く普及している採用手法であり、日本でも「本人の明確な承諾」があれば適法な範囲で実施可能とされています。
※個人情報保護法上、第三者照会は「本人の同意」が必須(同法23条等)。
※照会内容は採否判断の“補助資料”として慎重に取り扱う必要があります。
3.導入メリット|一次情報だけでは見抜けない点が分かる
(1)履歴書・面接との齟齬を防ぐ
・実際の担当業務
・実働のスキルレベル
・評価されていた点/懸念点
これらを第三者視点で把握でき、書類との不一致を防ぎます。
▶中小企業が採用してはいけない人物の見抜き方|履歴書・面接でわかる「ミスマッチのサイン」
(2)管理職の“行動特性”を事前に把握
・部下指導のスタイル
・トラブル時の対応
・周囲との摩擦の有無
面接では分からない再現性の高い行動特性をつかめます。
▶SPIは中小企業に必要か? 導入で失敗しないための実務ガイド|「適性検査の正しい使い方」
(3)採用ミスマッチによる“損失”を軽減
管理職や専門職の場合、採用ミスによる損害は大きく、採用コスト・教育コスト・生産性損失・風土悪化など企業リスクが甚大です。
外部チェックを導入するだけで、「採用してよいか」の判断基準が1つ増えることになり、実務上のメリットは大きいといえます。一般論として、企業のカルチャーとのギャップによる早期離職を防ぐことは、応募者本人にとってもメリットがあります。
4.どのような人材に有効か
・管理職(部長・課長・リーダー)
・専門職/技術職
・士業・コンサルタント・医療専門職
・営業責任者
・高度技能人材
・自律性が強く求められるポジション
特に、年収レンジの高いポジションでは、導入が「当たり前」になりつつあります。
5.実施の流れ(標準)
1.応募者へ「実施の目的」「照会先」「範囲」を明示
2.応募者本人から同意書を取得
3.照会先を確定(前職上司が原則)
4.当事務所から照会
5.事実内容・所感を整理しレポート提出
6.法令上の留意点(重要)
・本人の明確な承諾が必要(個人情報保護法)
・照会内容は「必要最小限」
・誹謗目的は厳禁
・虚偽情報を採否の主要因として扱わない
・不採用理由としての使用は扱い方に注意
企業側には、情報取扱規定の整備や取得目的の明示が求められます。
バックグラウンドチェック支援サービス
当社ではバックグラウンドチェック制度を導入したい企業に向けてサポートを行っております。
✅ひな形販売【承諾書+照会先質問票】:16,500円(税込)
✅文書カスタマイズ(作成代行):33,000円(税込)
✅バックグラウンドチェック実施代行サービス:66,000円(税込)~
ひな形販売【承諾書+照会先質問票/Word】(16,500円)
企業が候補者から取得する際に必要な以下の文言を網羅しています。
・照会の目的
・照会先(前職上司・企業等)の範囲
・取得する情報の種類
・第三者提供に関する本人同意
・個人情報の取扱い方針
・不利益取扱いを行わない旨
・本人署名欄/日付/照会先同意に関する記載
日本の個人情報保護法に適合する内容で作成しています。
文書作成代行【承諾書カスタマイズ・選考フロー導入支援】(33,000円)
・雇用区分(管理職/専門職/業種別)
・照会範囲の設定
・選考フロー・照会先への質問票作成
・採用通知書との整合性
・社内規程(採用規程)との整合チェック
を含めて法人向けにカスタムします(ヒアリング1回・修正1回)。
バックグラウンドチェック実施代行サービス(66,000円~)
前職上司などへの第三者ヒアリングを当事務所が代行し、採用判断の補助となる「事実ベースのレポート」を作成します。※本人同意・第三者委託の承諾が必須(無断照会は不可)
■実施方法
・基本は電話ヒアリング(回答率が最も高い)
・必要に応じてメール質問票も送付可
・前職上司が退職・不在・音信不通などで照会できない場合も着手金は発生します
■料金(わかりやすい2段階)
① 着手金 22,000円(税込)~
(連絡・調整・質問設定。照会不可でも発生)
② ヒアリング+レポート 44,000円(税込)~
(ヒアリングできた場合のみ)
➡合計66,000円~(照会1名あたり)
※照会内容・人数・レイヤーに応じて変動します。詳細はお問い合わせください。
\今すぐお問い合わせする/
初回相談無料・お見積もり無料
免責事項(法令遵守事項)
本サービスは、応募者本人の承諾に基づき、企業の採用判断に必要な範囲で第三者照会を行うものです。照会内容は参考情報であり、採用可否の最終判断は企業が行います。また、照会内容の正確性・完全性を保証するものではありません。採用に関する法的判断・調査業務(興信所業務等)は取り扱っておりません。
【FAQ(よくある質問)|バックグラウンドチェック(リファレンスチェック)】
Q1.バックグラウンドチェックは日本では違法ではありませんか?
A.本人の明確な同意を得た上で、必要最小限の情報を第三者に照会する場合は違法ではありません。個人情報保護法23条(第三者提供)に基づき、候補者が自由意思で同意した場合に限り実施可能です。ただし、過度な質問・差別につながる質問は法令上問題となるため、照会内容は慎重に設定する必要があります。
Q2.候補者が同意しなかった場合はどうなりますか?
A.同意しない候補者に対して無断で照会することはできません。また、同意しないことを理由に不採用とすることは、応募者差別と評価されるリスクがあるため慎重な運用が必要です。(※業務の特性上、安全性の確保が必須となる職種を除き、原則は不利益取扱いを避けることが推奨されます。)
Q3.照会先はどのように選定すればよいですか?
A.原則として 前職の直属上司 が最も適切です。ただし、状況に応じて次のような照会先も設定できます。
・前職の部門責任者
・同僚、プロジェクトメンバー
・主要取引先(営業職など)
・人事担当者(評価制度上の情報が必要な場合)
※候補者の承諾を得た範囲内で設定します。
Q4.どんな項目を質問するのですか?
A.以下のような「事実に基づく項目」が中心です。
・担当していた業務内容
・スキルの実務レベル
・マネジメント力、コミュニケーション力
・勤務態度、勤務実績
・協調性、問題行動の有無
・成果・役割レベル
・離職理由(回答可能な範囲に限る)
※価値観、家族構成、思想信条などは照会不可(法令上明確に禁止)。
Q5.照会結果はどのように使えばよいですか?
A.照会結果はあくまで採用判断の補助資料として活用します。
・書類、面接、適性検査
など他の評価項目と併せて総合判断に利用します。
Q6.照会先から否定的な情報が得られた場合は?
A.情報の信憑性を慎重に評価する必要があります。
・感情的な評価
・誤解に基づく評価
・派閥や関係性に起因する評価
など、偏った意見が含まれる可能性があるため、単独で採否の決定的理由にしないことが重要です。
Q7.候補者に事後報告する必要はありますか?
A.法令上の義務はありませんが、以下の透明性確保のために実施ポリシーを明示しておく企業も増えています。
・照会の目的
・照会範囲
・照会先
・取得する情報の種類
※ただし照会内容そのもの(第三者の発言)は企業判断に基づき非開示とすることが一般的です。
Q8.照会できない項目はありますか?
A.次のような質問は 法令・採用差別の観点から照会不可 です。
・家族構成、結婚、出産等のプライバシー
・思想・信条
・宗教
・出身地、出身校の特定
・病歴・障害の有無
・労働組合への加入の有無
厚生労働省の「公正な採用選考の基準」に抵触します。
Q9.照会先が回答を拒否した場合は?
A.回答拒否は珍しくありません。その場合は、候補者の経歴書・面接記録・適性検査などをもとに総合判断します。
※回答拒否そのものを候補者不利益に結びつけるのは不適切。
Q10.レポートの形式はどのようなものですか?
A.当事務所では以下の形式で納品します。
・照会項目ごとの事実整理
・照会先のコメント(必要最小限)
・当方による所感(一般化可能な範囲)
・採用判断の際の注意点
※評価・採点は行わず、あくまで事実整理を中心に構成します。
Q11.バックグラウンドチェックを実施するべき職種は?
A.特に導入効果が高いのは次の領域です。
・管理職(課長以上)
・営業責任者
・専門職/技術職
・高度技能人材
・士業、コンサルタント
・自律性が強く求められるポジション
年収帯が高いポジションほど導入メリットが大きいです。
Q12.承諾書の記載には何が必要ですか?
A.必須項目は以下です。
・照会目的
・照会範囲と照会先
・取得する情報の種類
・第三者提供への同意
・不利益取扱いの禁止
・個人情報の取扱い方針
・署名欄、日付
・保存期間の記載(望ましい)
当事務所のひな形はこれらを網羅しています。
Q13.スタートアップや小規模企業でも導入すべきですか?
A.特に「最初の管理職」や「幹部採用」では、導入の優先度が極めて高い施策です。採用ミスによる影響が組織全体に及ぶため、この層だけは第三者チェックを入れる企業が確実に増えています。ただし、一律に導入することは推奨しません。バックグラウンドチェックは応募者にとってメリットが薄く、前職への照会が適切に行えないケースも多いため、中小企業・小規模企業では“逆効果”になる事例もあります。そのため、導入は次のような限定的なポジションに絞るのが現実的です。
-
年収600~1,000万円以上の採用
-
執行責任・裁量が大きいポジション
-
組織への影響が大きい「初代管理職」
これらのケースであれば、企業側のリスクヘッジとしての合理性が確保され、候補者側の納得も得やすくなります。慎重かつ限定的な導入をお勧めします。
Q14.費用はいくらですか?
A.当事務所の標準料金は以下のとおりです。
・承諾書ひな形+照会先質問票ひな形:16,500円(税込)
・承諾書の作成代行:33,000円(税込)
・バックグラウンドチェック実施(照会代行/レポート作成):
着手金 22,000円(税込)+ヒアリング・レポート 44,000円(税込)=合計66,000円~(照会1名あたり)
Q15.どのタイミングで依頼すればよいですか?
A.通常は『最終面接後~内定までの間』に実施します。内定後に実施する場合は、承諾の取り方に十分配慮が必要になります。
Q16.興信所の調査と何が違いますか?
A.バックグラウンドチェックは本人同意が前提で行う、採用判断のための事実照会 です。一方、興信所業務は本人同意を前提としない調査も含み、法的性質も異なります。当事務所では興信所業務は行っていません。
Q17.外国人スタッフの採用でも利用できますか?
A.可能ですが、照会先(海外企業)によっては
・回答までの時間
・回答範囲の制限
が生じるため、早めの実施が必要です。
Q18.レファレンスが「良すぎる場合」は逆に注意すべきですか?
A.すべてが肯定的すぎる場合は、
・役割が実際より誇張されている
・照会先と候補者の関係が強すぎる
・人事評価が甘い組織だった
等の可能性もあるため、他の評価手段と併せて総合判断します。
Q19.企業側で準備しておくべきものはありますか?
A.最低限、次の整備が推奨されます。
・採用規程に「第三者照会の実施可能性」を明記
・取得目的と照会範囲の文書化
・情報の保管期間と管理方法の設定
・承諾書の整備
法令遵守・トラブル防止の観点で重要です。
Q20.照会結果が良い場合のメリットは?
A.次のようなプラスの効果があります。
・期待度に「裏付け」が得られる
・配属部署とのマッチングが精緻になる
・入社後のオンボーディングがしやすい
・採用後の不安要素が減る
ミスマッチ予防だけでなく、“採用を成功させるための情報” としても価値があります。