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【最新版】最低賃金×助成金に頼らない吸収策|人件費上昇を乗り切る実務対応(社労士監修)
2025/09/17
はじめに|「一時しのぎ」からの脱却を
最低賃金は毎年引き上げが続き、2025年度は全国平均で 1,050円(前年比+43円、上昇率4.3%) に達しました。最低賃金は原則「毎年引き上げ」されており、2020年の902円から2025年の1,050円まで5年間で148円(約16%)上昇しています。
主要都市では東京1,226円・大阪1,177円・愛知1,090円・福岡960円・札幌961円と高水準です。政府(厚労省・審議会)は今後も「毎年30〜40円程度の引き上げ」を続け、将来的には全国平均を1,500円程度に近づける方針が示されています。
中小企業の多くは、
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助成金で一時的にしのぐ
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自己資金を取り崩してつなぐ
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上級職員や役員の報酬を減額して耐える
といった 短期的な対応策 を組み合わせて何とか日々をしのいでいます。
しかし、これらは恒常的な賃上げには不十分であり、持続的な経営のためには構造的な改善 が求められます。
図表1:最低賃金の推移(全国平均と主要都市部・見込み含む)
年度 | 全国平均 | 東京 | 大阪 | 愛知 | 福岡 | 北海道(札幌) | 上昇率(全国) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 902円 | 1,013円 | 964円 | 955円 | 842円 | 861円 | ― |
2022 | 961円 | 1,072円 | 1,023円 | 986円 | 853円 | 889円 | +6.5% |
2024 | 1,007円 | 1,138円 | 1,088円 | 1,002円 | 899円 | 930円 | +4.8% |
2025 | 1,050円 | 1,226円 | 1,177円 | 1,090円 | 960円 | 961円 | +4.3% |
2026(見込) | 1,090円超 | 1,260円前後 | 1,210円前後 | 1,120円前後 | 990円前後 | 990円前後 | +3〜4% |
➡ この10年で全国平均は150円以上上昇。今後も「毎年30〜40円ペース」の上昇が想定されます。(※2026年は過去の上昇率を基にした見込み値)
共通の5本柱|助成金に頼らない人件費吸収策
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AI・DX導入による業務効率化
経理・勤怠・在庫管理などの定型業務は、クラウドシステムやAIツールで大幅に効率化できます。
特に会計処理や記帳業務は、ITに強い税理士やDX専門家と連携して導入することで初期コストを抑え、運用の不安も解消できます。 -
外注・シェアリング人材の活用
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顧問契約・取引先コストの見直し
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福利厚生・働き方改革による定着率改善
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価格転嫁と付加価値向上
業種別の課題と解決策
製造業の最低賃金対応とコスト吸収策
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課題:検品・品質管理など人手依存業務が多く、残業時間増加
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解決策:AI検品、自動化ライン、労務管理DX
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効果:残業代削減+採用コスト抑制
飲食業の人件費削減と定着率改善
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課題:アルバイトの定着率低下、求人広告費増大
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解決策:食事補助・柔軟シフト、キャリア面談、口コミ改善
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効果:離職率20%改善 → 採用広告費150万円削減
介護業の処遇改善加算と賃上げ対応
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課題:最低賃金上昇+介護職員処遇改善加算・BCP義務化対応
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解決策:勤怠クラウド化、資格取得補助、マニュアル標準化
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効果:離職率改善+加算収入確保
建設業の最低賃金対応とコスト吸収策
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課題:技能労働者不足と人件費上昇
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解決策:シェアリング人材、安全管理DX、外注最適化
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効果:外注費削減+労務リスク低減
物流業の最低賃金対応とコスト吸収策
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課題:ドライバー不足、2024年問題による労働時間規制
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解決策:配送管理システム、積載効率化、契約ドライバーのシェア活用
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効果:輸送効率向上で人件費・燃料費を吸収
小売業の最低賃金対応とコスト吸収策
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課題:売価転嫁の難しさ、レジ人材不足
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解決策:セルフレジ、キャッシュレス、シフト管理クラウド
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効果:レジ人件費削減+顧客満足度向上
医療業の最低賃金対応とコスト吸収策
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課題:最低賃金上昇に加え、医師・看護師の確保競争
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解決策:勤怠・シフト自動化、外部相談窓口、教育投資
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効果:離職率改善 → 採用コスト・医療安全リスク軽減
ケーススタディ
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製造業A社(30名):AI検品導入で残業代500万円削減+採用コスト300万円抑制
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飲食業B社(15名):福利厚生見直しで離職率20%改善、採用広告費150万円削減
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介護業C法人(40名):勤怠クラウド+資格補助で離職率15%改善、加算収入800万円増
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建設業D社(25名):現場管理アプリ導入で労務費300万円圧縮、外注費15%削減
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物流業E社(50名):配送管理DXで輸送効率15%改善、人件費400万円吸収
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小売業F店(20名):セルフレジ導入でレジ人件費200万円削減
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医療法人G(80名):シフト自動化+外部相談窓口導入で離職率改善、採用費用400万円削減
※実務を参考にした架空事例です
チェックリスト ✔(経営者用)
□ 助成金・自己資金に頼らない恒常策を検討しているか
□ AI・DXの導入効果を試算したか
□ 顧問契約・外注コストを見直したか
□ 福利厚生を「離職防止」につながる内容に再設計したか
□ 価格転嫁の根拠を整理しているか
FAQ
Q1:小規模企業でもAI導入は必要ですか?
→ 月額数千円のクラウド会計や勤怠システムでも効果が出ます。
Q2:助成金は使わないほうがいいですか?
→ 一時補助として活用は可能ですが、依存は危険。恒常的な仕組みが必要です。
Q3:価格転嫁できない場合はどうすればよいですか?
→ 効率化と離職防止で吸収。それでも難しい場合は付加価値強化を前提に価格改定を。
Q4:業種による対応の違いは?
→ 製造=自動化、飲食=人材定着、介護=制度対応、建設=外注最適化、物流=輸送効率、小売=セルフレジ、医療=人材確保が主眼です。
Q5:税理士や専門家の協力は必要ですか?
→ 導入効果を最大化するため、当社での支援のほか、IT・DXに詳しい税理士をご紹介できる体制 を整えています。
まとめ|「一時しのぎ」から「業界別の構造改善」へ
最低賃金の上昇は今後も続きます。
助成金・自己資金・役員報酬削減は短期対応に過ぎません。
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製造業:自動化・DX
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飲食業:人材定着・福利厚生
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介護業:制度対応+加算活用
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建設業:外注最適化・労務リスク低減
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物流業:配送効率化・2024年問題対応
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小売業:セルフレジ・効率化
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医療業:人材流出防止・シフト自動化
➡ 業界ごとの特性に応じた構造改善 こそ、人件費上昇を乗り切る唯一の道です。
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