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【2025年対応版】SNS広報担当者の人事労務管理マニュアル|就業規則・契約・同意書・個人情報(社労士監修)

2025/10/15

― SNS担当配置時の「就業規則・契約・同意書・個人情報」総合ガイド ―
(監修:RESUS社会保険労務士事務所)


はじめに|「企業アカウントを任せる」というリスクと責任

企業の公式SNSや採用広報アカウントを社員に任せるケースが増えています。
しかし、担当者が個人アカウントで投稿したり、情報漏洩・誤投稿が発生した場合、企業の信用失墜や法的責任を問われるリスクがあります。

SNS運用は「業務の一部」であり、同時に「法的管理対象」です。
本ページでは、SNS担当者を配置する際に必要な雇用契約・就業規則・報酬・同意書・個人情報保護の実務ポイントを社労士の視点で整理します。


1. 業務範囲の明確化と雇用契約書の記載例

(1)業務命令としての位置づけ

SNS運用は、業務命令の一環として明確に位置づけることが重要です。
雇用契約書または職務記述書(ジョブディスクリプション)に以下のように記載します。

<雇用契約書への記載例>

第○条(職務内容)
従業員は、会社の広報・採用・顧客対応等の一環として、
会社が指定するSNS(X、Instagram、YouTube、TikTok等)に関する投稿・運用・分析等の業務を行う。
なお、会社の承認を得ずに個人の判断で発信してはならない。

<職務内容欄の例>

  • SNSコンテンツの企画・投稿・モニタリング

  • コメント・DMへの対応(方針に基づく)

  • 社内情報・写真・顧客情報の取扱遵守

  • 広報資料・写真素材の承認手続き


2. SNS業務に対する報酬・手当の設定

(1)担当手当(広報手当)の支給例

SNS担当は「追加業務」「責任業務」として位置づけられるため、定額手当を支給するケースが望ましいです。

<手当例>

区分 名称 金額目安 支給条件
広報担当手当 SNS広報業務を兼任する者 月額3,000~10,000円 責任者・運用担当として指定された場合
投稿成果手当 フォロワー数・投稿数などKPI達成時 任意 成果連動制とする場合、労基法第24条(全額払いの原則)に留意

※KPI=フォロワー数・投稿反応数などの目標指数

(2)残業時間との関係

SNS投稿が「勤務時間外」に行われる場合、
実質的な業務指示があると労働時間として扱われる可能性があります。
投稿時間のルールを明確化し、「勤務時間内での作業」または「予約投稿システムの活用」を推奨します。


3. 就業規則・附則への記載例

(1)SNS運用に関する基本規定(本則)

第○条(SNSの利用及び情報発信)
従業員は、業務に関連してSNS等を利用する場合、
会社の定める方針および上長の指示に従わなければならない。
個人のSNS上で、会社・取引先・顧客に関する情報を発信する際には、
機密保持義務及び信用保持義務に反しないよう十分に注意すること。

会社の名義又は業務用アカウントを使用して発信する場合は、
事前に上長の承認を得るものとし、別紙「SNS投稿ポリシー」に定めるルールを遵守すること。

(2)附則・運用ルール例

附則○条(SNS担当者の指定及び管理)

  1. 会社は広報活動の一環として、従業員の中からSNS担当者を任命することができる。

  2. SNS担当者は、業務用アカウント及び投稿内容を会社の承認を得て運用する。

  3. 担当者の交代・停止・削除等は会社の判断で行うことができる。

  4. 担当者は、退職または異動時にすみやかにログイン情報を返還するものとする。


4. SNS担当者への同意書(兼任時)

<SNS担当業務 同意書(サンプル)>

私は、会社の指示によりSNS広報業務を担当するにあたり、
以下の事項を遵守することに同意します。

  1. 投稿・コメント対応は会社の方針及びマニュアルに従って行います。

  2. 個人情報・社内情報・顧客情報等を漏洩しません。

  3. 業務用アカウント及びパスワードは会社管理下で使用します。

  4. 退職・異動時には速やかに運用権限を返還します。

  5. 個人のSNSで会社情報を発信する際には、会社の信用を損なわないよう注意します。

令和○年○月○日
氏名:__________________
署名:__________________


5. 個人情報保護の留意点(本人・他者含む)

(1)SNS担当者自身の個人情報

  • アカウント名・顔写真・氏名を公表する場合は、本人の同意書が必要。

  • 勤務先・役職を開示する場合も、労働契約上の「指示命令」として扱う場合は明確な文書化を。

(2)顧客・職員等の個人情報

  • 写真・動画・コメント等に他者が映り込む場合、『同意取得または加工処理(ぼかし)』を必須化。

  • SNS上のDMで顧客情報をやり取りすることは禁止(業務メールで対応)。

(3)退職・異動時の対応

  • パスワードの返還・アカウント引継ぎ記録(サインオフシート)を保存。

  • 投稿データ・アクセス履歴の削除責任を明確化。


6. トラブル防止のための運用体制

区分 内容
投稿ルール 文責者・確認者のダブルチェック体制
承認プロセス 投稿前に上長承認 or Googleフォームで記録
ログ管理 投稿・削除・コメント対応を社内記録
教育 SNSリスク研修(著作権・炎上対応・守秘義務)を年1回実施
緊急時対応 不適切投稿・炎上時の報告経路(上長→広報責任者→社長)を明文化

7. 社労士からの実務アドバイス

SNS担当業務は「広報業務」ではなく「労務管理対象業務」です。
指揮命令・承認・記録・同意の4点を明文化しておくことで、労働時間管理・安全配慮・個人情報保護の観点からトラブルを防止できます。
雇用契約書・就業規則(SNSポリシー)・同意書を「三位一体」で整備するのが理想です。


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