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【2025年版】中小企業が採用してはいけない人物の見抜き方|履歴書・面接でわかる「ミスマッチのサイン」

2025/10/31

中小企業が「採用してはいけない人材」を見抜く方法|履歴書・面接でわかる危険サイン

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)


はじめに|「良い人」を採るより「危険な人」を避ける

中小企業の採用は、限られた人員・時間・予算の中で行われます。
そのため「良い人を採ること」よりも、「採ってはいけない人を避けること」の方が、はるかに重要です。

実際に、早期退職や職場トラブルの多くは、採用段階で“予兆”が見えていたケースがほとんどです。人手不足に焦って採用してしまう。「稀に見る人材だ」と浮足立って採用してしまう。
本ページでは、履歴書や面接で確認できる「危険人物のサイン」を、社労士の実務経験から整理して解説します。


第1章|履歴書で見抜く「ミスマッチの片りん」

1. 経歴が華やかすぎる人は要注意

中小企業の業務内容や給与水準と大きく乖離する、超高学歴・難関資格保持者・大企業出身者は、短期離職リスクが高い傾向にあります。
特に以下のようなケースは要注意です。

  • 一流企業からの転職希望(環境ギャップに耐えられない)

  • 有名資格を持つが実務経験が薄い(現場適応が困難)

  • 複数業界を転々としている(目的意識が曖昧)

いずれも「キャリアの仮置き場」として応募している可能性があります。


2. 転職理由が抽象的・前向きすぎる

「成長したい」「幅広く経験したい」など、聞こえは良いものの、具体的な行動・成果が伴わない転職理由は、再現性が低い傾向です。
面接で掘り下げると、「何に不満があったのか」「なぜ当社なのか」が曖昧な場合、定着しにくい可能性が高まります。


3. 空白期間・短期離職の繰り返し

履歴書上で空白期間が多い、短期離職が連続している場合は、「環境適応力が低い」「対人トラブルの再発傾向」を疑う必要があります。

特に同じ理由(人間関係・体調不良・家庭の事情など)が複数回繰り返されている場合は要注意です。説明が曖昧な場合、「再現リスク」を想定したうえで選考を進めましょう。


第2章|面接で見抜く「採ってはいけない人物」

1. 退職理由で他責傾向が出る人

面接時に「上司のパワハラがひどかった」「職場の人間関係が悪かった」など、過去の環境を強く非難する発言が多い人は、組織適応力が低い傾向があります。

質問例(社労士推奨)

  • 「どんな職場が自分に合っていると感じますか?」
    →理想像が極端な場合は要注意。柔軟性欠如のサイン。

  • 「どんな時にやりがいを感じますか?」
    →“自分中心”な発言(評価・賞賛ばかり求める)は危険信号。


2. 自己アピールが強すぎる・口が達者すぎる

「自分は○○が得意」「リーダータイプ」「前職では改善提案を行った」など、表面上は頼もしく見えても、実際には指導・注意を受け入れられないケースが多く見られます。

また、過剰に弁が立つ人は、面接時に印象が良くても、入社後に周囲との摩擦を起こす傾向があります。


3. 「過ぎる」は危険

採用現場では次のような「過ぎるタイプ」がトラブルの火種になるケースがあります。

特徴 リスク傾向
容姿端麗すぎる 周囲との距離感・嫉妬・依存関係
自己主張が強すぎる 上司との摩擦・チーム不和
完璧主義すぎる ストレス耐性・柔軟性欠如
言葉巧みすぎる 真意の不明確化・責任回避

面接では「控えめ」「誠実」「観察力のある人」の方が長期定着する傾向にあります。接客業など職務上の要請がある場合を除き、外見的な要素を採用基準の中心に置くことはおすすめしません。業務に直接関係しない要素が注目されると、職場内で不要な感情のぶつかり合いや誤解が生まれやすくなるためです。採用基準はあくまで「業務適性」「協調性」「定着性」を中心に置いてください。


第3章|非言語サインを観察する

  • 話し方:一呼吸おいて答える冷静さがあるか

  • 聴き方:相づち・質問・姿勢に誠意があるか

  • マナー:服装・入室・退出・敬語に乱れがないか

  • 時間感覚:遅刻や連絡ミスを軽視していないか

  • 共感力:「相手の立場を想像できる」言葉があるか

これらはすべて、“人間関係トラブルの予防指標”です。
面接官は、話す内容だけでなく「態度」「間」「反応速度」を観察しましょう。


第4章|SPIや性格診断に頼りすぎない理由

SPIや性格検査はあくまで「参考資料」にすぎません。
大企業では選考の公平性や説明責任の裏付けとして有効ですが、中小企業では“観察力と直感の裏付け”こそが重要です。中小企業が大企業の選考方式を模倣しても、得られる結果は期待と異なります。自社の規模・文化に合った評価軸を持つことが重要です。

  • 数字よりも「カルチャー共鳴度」「誠実さ」を評価する

  • 面接官同士で印象を共有し、主観的判断を防ぐ

  • 「点数で決めない採用」を行うことで定着率が上がる

▶SPIは中小企業に必要か? 導入で失敗しないための実務ガイド|社労士が解説する「適性検査の正しい使い方」


第5章|採用してはいけない人物チェックリスト(10項目)

No 見抜きポイント 危険サイン
1 前職の悪口を言う 被害者意識・再発リスク
2 経歴が華やかすぎる ミスマッチ離職の典型
3 自己評価が高すぎる 承認欲求過多・衝突傾向
4 他人のせいにする発言 責任感の欠如
5 話が長く結論が出ない 思考整理力に課題
6 面接で指摘に反論する 改善受容力の欠如
7 面接マナーが雑 敬意・誠実さの不足
8 短期離職を繰り返す 再現リスクあり
9 協調性が感じられない チーム不適合
10 謙虚さがない 学習意欲が低下しやすい

第6章|まとめ|「辞めさせない採用」は観察と対話で決まる

採用面接は「口がうまい人を選ぶ場」ではなく、“価値観と耐性を観察する場”です。

履歴書の違和感、会話中の“間”、そして他者への敬意。
それらを丁寧に見つめることが、中小企業における「辞めさせない採用」の最重要ポイントです。


FAQ(よくある質問)

Q1. 面接で「前職の悪口」を言う人は即NGですか?
A. 即不採用とする必要はありませんが、感情的な語り方長々と話す場合は危険です。冷静に「事実を説明」できる人は例外的に誠実なケースもあります。

Q2. 学歴・資格が高すぎる人を採用してはいけないのでしょうか?
A. 一概には言えませんが、「なぜ当社を選んだのか」を具体的に語れない場合はミスマッチの可能性があります。動機の明確さを重点的に確認しましょう。

Q3. 短期離職が続く人を採用しても問題ない場合は?
A. 一時的な事情(家族介護・体調不良など)が明確に説明でき、再発防止策を本人が語れる場合は、採用の余地があります。ただし再現性を見極める質問が必須です。

Q4. 面接で人柄を見抜く一番の質問は?
A. 「どんなときに他人に感謝しますか?」「困難に直面すると誰を頼りますか?」「仕事でうまくいかなかったときは、どのように発散しますか?」という質問などはとても有効です。
自己中心的な人は答えられず、誠実な人は自然に具体例を話します。質問が教科書的ではないので、考える時間、答え、態度に個性が自然に現れます。

Q5. 見抜く自信がない場合はどうすればよいですか?
A. 面接官を2名以上にする、社外の専門家(社労士など)と一緒に採用評価基準を作ることで、主観の偏りを防ぐことができます。


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本ページは、中小企業が採用後の早期離職や職場トラブルを防止するための実務的な観点をまとめたものであり、性別・年齢・国籍など、法令により不適切とされる差別的な取り扱いを推奨するものではありません。採用にあたっては関係法令・公正な採用選考の基本を必ずご確認ください。


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