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中小企業のための面接官トレーニング講座|見抜く力と惹きつける力を同時に高める方法

2025/11/04

はじめに|「面接」は選ぶ場ではなく“選ばれる場”

採用面接は「応募者を選ぶ場」と思われがちですが、本質的には「応募者から選ばれる場」です。
いくら良い人材を見極めても、企業側の印象や説明次第で辞退されてしまう――。
中小企業が採用で苦戦する背景には、面接官のスキルよりも“面接設計の欠如”があることが多く、面接官トレーニングこそが採用成功のカギです。


第1章|中小企業が直面する面接の課題

  • 応募者が面接後に辞退してしまう

  • 面接官によって評価基準がバラバラ

  • 会話が雑談になり、適性がわからない

  • 応募者に“惹きつけ”ができていない

こうした課題は、「評価基準の不在」と「面接官教育の不足」が原因です。
履歴書や印象に頼らず、“職務適性・人柄・価値観”を見極めるには、面接官自身が「質問の意図」「判断基準」「伝える力」を明確に持つことが重要です。


第2章|見抜く力を高める:質問設計の3原則

1. 「行動事実」を尋ねる(BEI:行動面接法)

応募者の「実際の行動」を掘り下げる質問リストとして、面接官教育に利用できます。

×「ストレスに強い方ですか?」
○「これまでに仕事で大きなプレッシャーを感じたとき、どのように対処しましたか?」

過去の“行動事実”こそ、将来の行動を予測する最大の材料です。

2. 「成果」ではなく「過程」を深掘りする

×「結果的に成功した理由は?」
○「成功するまでに、どんな工夫をしましたか?」「失敗した時はどうしましたか?」

3. 「価値観」を引き出す

「理想の上司像を一言で言うと?」
「仕事でやりがいを感じる瞬間は?」
「チームで働くときに大切にしていることは?」


第3章|惹きつける力を高める:面接官の印象と伝え方

(1)第一印象は“10秒”で決まる

  • 表情:笑顔+相づちで安心感を

  • 姿勢:相手の話を受け止める前傾姿勢を意識し、関心を示す。

  • 話し方:最初の3分は「企業説明」ではなく「対話」から始める

(2)説明責任を果たす

「このポジションで求める成果」
「入社後の育成体制」
「残業・休日のリアルな実態」

面接時の説明不足は「入社後のミスマッチ」や「早期離職」を招きます。中小企業こそ、誠実な情報開示が採用力を高める最大のポイントです。

(3)応募者に“体験価値”を感じさせる

「もしこの職場に入ったら…」をイメージできるように語ること。
現場の雰囲気・上司の人柄・成長のイメージを言葉で具体化します。


第4章|面接NG質問と法的注意点(厚労省ガイドライン対応)

面接では、応募者の適性と能力に関係のない質問は避ける必要があります。面接時にしてはならない質問は、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」でも明確に定められています。特に以下のような質問は避けましょう。

質問例 理由
出身地・家族構成・結婚予定 社会的身分・プライバシーに関する事項
宗教・思想・支持政党 信条に関する事項
健康状態・既往症 差別的扱いの可能性
住宅・通勤手段 生活環境に関する事項(原則NG)

なお、採用段階でのハラスメント防止や個人情報取扱いに関する詳細は、以下▼の記事でも詳しく解説しています。

▶【2025年対応版】就活ハラスメント防止法改正対応ガイド|採用・インターン段階の防止措置義務化と企業実務


第5章|面接官の「バイアス」を自覚する

面接官教育の一環として、評価バイアスの自覚と共有は不可欠です。

  • 初頭効果:最初の印象で全体を判断してしまう

  • ハロー効果:1つの特徴で全体評価をゆがめる

  • 同類親近効果:「自分と似ている」応募者を高く評価しがち

客観的な評価を保つためには、複数面接官制+記録フォーマットの活用が有効です。


第6章|面接後の評価と振り返り

  • 面接官同士で“理由の説明”を求め合うことで、評価の一貫性を維持

  • 「結果通知の言葉」も応募者への印象を左右する

面接直後に「5段階評価」+「コメント」を記録し、面接官同士で評価理由を共有することで、採用判断の一貫性が保たれます。また、結果通知時の言葉選びも応募者の企業印象を大きく左右します。


まとめ|見抜く力と惹きつける力は両輪

中小企業が採用を成功させるには、面接官のスキルよりも姿勢と誠実さが問われます。
応募者を一人の“パートナー候補”として尊重し、誠実なコミュニケーションを行うことこそが、採用成功・定着・企業ブランド向上の第一歩です。

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