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【2025年対応版】職場のメンタルヘルス低下サインの見抜き方と初期対応ガイド
2025/11/09

はじめに|「気づけなかった」が企業リスクになる時代
近年、ハラスメント、過重労働、人手不足、コミュニケーション不全など、職場のストレス要因は複雑化しています。
その結果、職場のメンタル不調は中小企業でも増加傾向にあり、初期段階でのサインを見逃したことで、以下のような事態に発展するケースも珍しくありません。
・突然の欠勤・休職により部署が機能停止
・退職につながり、人員不足がさらに深刻化
・管理職の対応ミスが「パワハラ」と受け取られる
・不調者のフォローが不十分で労使紛争化
・第三者機関への通報やSNS投稿による「評判リスク(レピュテーションリスク)」
厚生労働省が示す「心の健康保持増進のための指針」でも、“早期発見” と “適切な初期対応” が極めて重要とされています。
本ページでは、一次情報(厚労省・産業医制度・衛生委員会等)に基づき、メンタルヘルス低下のサイン/声のかけ方/初期対応手順/会社のリスク管理/再発防止策 を体系的にまとめました。管理職研修や人事担当者の教育資料としてもそのまま活用いただけます。
第1章|メンタルヘルス不調の“初期サイン”を見抜くポイント
行動の変化(最も分かりやすいシグナル)
行動の変化は、厚労省のガイドラインでも「発見しやすい初期兆候」と整理されています。以下の変化が複数重なっている場合、注意が必要です。
・遅刻・早退・欠勤が目立つようになる
・業務スピードの低下
・ミスが増える(凡ミス・確認漏れなど)
・会議や打合せで集中できていない
・突然休むことが増える
・作業の優先順位をつけられなくなる
ポイントは「いつもと違う」という変化。
ただし、これらが必ずしも疾病や精神疾患と直結するわけではありません。
感情・態度の変化
感情面の変化は本人も気づいていない場合があります。
・イライラしやすくなる
・突然怒る/泣く
・不安を強く感じている様子がある
・ストレス耐性が急に低くなる
・自信喪失や自己否定の言動
・些細な注意で落ち込む
感情の変化は「上司の指導」と混同されやすい領域のため、観察→事実で声かけ→状況把握 のプロセスが重要です。
コミュニケーションの変化
近年はテレワーク・オンライン会議の普及により、コミュニケーションの変化が見えにくくなっています。
・報告・相談が急に減った
・必要以上に謝る/萎縮する
・同僚との交流を避ける
・オンライン会議で発言しない
・逆に攻撃的・批判的になる
コミュニケーションの極端な変化は、職場ストレスの典型です。
身体的サイン
上司が気づきづらいですが、意外と多いサインです。
・頭痛や腹痛の訴えが増える
・食欲が著しく落ちる/増える
・眠れない、朝起きられない
・めまい、倦怠感、疲労感
医学的判断は会社が行うべきではありません。本人が体調で悩んでいる場合、業務量・労働時間の見直しが必要となることがあります。
第2章|初期対応の基本(“事故らない”上司対応)
声のかけ方は「事実ベース」が原則
避けるべきNG例
・「最近元気ないけど大丈夫?」
・「気持ちの問題じゃない?」
・「もっと頑張らないと」
・「みんなも大変だから」
これらは本人に“責められている”と受け取られやすく、場合によっては「精神的圧迫」→ハラスメントとして訴えられるリスクがあります。
安全な声のかけ方
・「最近、遅刻が続いているようですが、業務で困っていることはありますか?」
・「作業量が急に増えていますが、負担になっていませんか?」
ポイントは、事実 → 業務負荷 → 支援提案 の順で話すことです。
雑談で探るのは危険、短時間の個別面談へ
・職場での雑談で状態を探る
・飲み会や食事で聞き出す
・無理に話させようとする
これらは全部NGです。
適切なのは 10〜20分の短時間面談 を設定し、本人が話せる範囲で状況を聞くこと。
上司が踏み込んではいけない領域
以下は会社側が“判断しないほうが安全”な領域です。
・診断名の推測
・医療的判断
・私生活の深い詮索
・異動・配置換えが万能解決という決めつけ
・「治るまで頑張ろう」など励ましの強要
・受診の強制
必要に応じて、人事・産業医・衛生管理者・外部相談窓口に連携し、会社としての対応方針を決めます。
第3章|会社としての対応とリスク管理
一時対応でよくある失敗
実務上、特に多いのは次の4つです。
1.励ましが逆効果になり、ハラスメントと受け取られる
2.「指導」と「支援」を混同してしまう
3.機微情報を不適切に扱ってしまう
4.対応が部署内に共有され、二次被害が生じる
どれも労務トラブルにつながりやすく注意が必要です。
産業医・衛生委員会の役割
労働安全衛生法・労基則に基づき、次のような整理が一般的です。
・産業医:労働者の健康管理について意見を述べる
・衛生委員会:職場の安全衛生に関する調査・審議を行う
・情報共有は“必要最小限”
会社が判断できない領域(就業可否・負荷低減措置など)は、産業医に意見を求めるのが適切です。
ハラスメント案件との関係
メンタル不調の背景に
・パワハラ
・カスハラ
・人間関係トラブル
が潜んでいるケースは多くあります。
そのため、安全な対応順序は『事実把握 → 安全確保 → 本人支援 → 組織改善』となります。
第4章|再発防止策(組織側の改善ポイント)
業務量・人員配置の調整
人員不足の中小企業では、特定の従業員に負荷が集中しやすく、メンタル不調の大きな原因となっています。
・業務の棚卸し
・属人化の解消
・業務フロー見直し
・協力体制の整備
コミュニケーション不全の改善
・定例1on1
・報告ルールの明確化
・“怒らない指導”を徹底
・チーム内の相互フォロー
相談窓口の整備(社外窓口も有効)
メンタル不調は「社内に相談できない」ことがトラブルの火種になります。
相談窓口を外部の第三者に設置することで、初期のヒアリングが安全に行えます。社内だけでは拾えない“初期の声”を吸い上げ、早期対応を可能にします。
勤怠データのモニタリング
・深夜残業の常態化
・休日出勤の増加
・時間外労働の急増
勤怠データは「一番ウソをつかない情報」です。
管理職研修(ラインケア)
初期対応の成否は、ほぼ管理職のスキル次第。
短時間でも「ラインケア研修」を実施する企業が増えています。
→ 「詳しくはこちら」
第5章|RESUSが提供する実務サポート
・外部ハラスメント・メンタル相談窓口(月額5,500円)
・メンタルヘルス/ラインケア研修(60分/90分/120分)
・初期対応マニュアル(SOP)整備
・管理職面談トレーニング
・就業規則(休職制度、安全配慮義務)点検
・業務量・人員配置の整理支援
初期対応を誤ると、企業リスクや紛争リスクが増大します。
必要なときは早めにご相談ください。
FAQ(企業からよくある質問)
Q1.メンタル不調かどうか会社が判断してはいけないのですか?
A. はい。医学的判断は会社・上司では行わないほうが安全です。会社が行うのは「業務上の支援」や「負荷調整」にとどめ、必要に応じて産業医・医療機関につなぐ流れが適切です。
Q2.本人が相談を拒否した場合、どうすれば良いですか?
A. 無理に話させようとすると逆効果になります。まずは業務量・労働時間の調整など、「できる範囲の支援」を提示し、継続的な観察や定期的な声かけを行う方法が現実的です。
Q3.メンタル不調とハラスメントはどう区別すればいいですか?
A. 区別しないほうが安全です。多くのケースで両者は重なっており、“どちらが先か”を早期に決めつけると誤対応のリスクがあります。事実把握と安全確保を優先してください。
Q4.休職に入れるべきかどうかの判断は誰がしますか?
A. 医師の意見(診断書)や産業医の見解を参考にしつつ、最終的には会社(人事)が労務管理上の判断を行うことが一般的です。上司のみで決定するのは避けるべきです。
Q5.テレワークの場合、サインが分かりづらいのですが?
A. 声のトーン、会議での発言量、返信スピードなど、オンライン特有のサインが手がかりになります。また、定例の1on1面談がより重要になります。
Q6.第三者に相談したい従業員がいるのですが?
A. 社内で話しづらい場合は、外部の相談窓口(当事務所)をご利用いただくことで、初期の状況整理や事実確認がスムーズになります。
職場の初期対応でお困りの際は、専門家にご相談ください
メンタル不調・ハラスメント・カスハラなど、社内だけで判断が難しいケースが増えています。
当事務所では、外部相談窓口・ラインケア研修・初期対応SOP整備など、企業様の状況に応じた支援をご提供しています。
・どのように声をかければ良いか分からない
・不調者への配慮と業務運営の両立に悩んでいる
・管理職の対応にばらつきがある
・社内窓口が機能していない
このような場合は、お気軽にお問い合わせください。
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