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【2026年版】目標設定(MBO)とOKRの実務ガイド|部下が動く“良い目標”のつくり方
2025/11/21

(監修:RESUS社会保険労務士事務所 社会保険労務士 山田雅人)
1.はじめに|2026年は「目標設定の質」が組織を分ける年
2026年は、働き方関連法の見直しにより、評価の透明性・説明責任・育成と評価の連動がますます求められる年です。
その鍵となるのが 目標設定(MBO/OKR)。
● 「目標が曖昧すぎて評価根拠が説明できない」
● 「部下が動き出さない」
● 「頑張っても評価されないと感じ離職につながる」
● 「1on1の質が低いのは“目標の悪さ”が原因」
といった “目標設定の失敗” に関する相談が急増しています。
目標設定は“紙の記述”ではなく、部下が動き、成果につながる設計技術です。本ガイドでは、MBOとOKRの役割の違い、現場の管理職がつまずくポイント、行動に直結する目標の作り方まで、実務で使える方式をまとめています。
2.MBOとOKRの違い|日本企業は“併用”が最適
まず押さえるべきポイントは、
● MBO=「評価」に紐づく業務目標
● OKR=「挑戦」や「変革」を促すストレッチ目標
という性質の違いです。
| 項目 | MBO | OKR |
|---|---|---|
| 目的 | 業務成果・評価の明確化 | 組織の方向性・変革の推進 |
| 難易度 | 達成可能な目標 | 高難易度の挑戦目標 |
| 評価との関係 | 連動する(人事制度) | 原則として連動させない |
| 内容 | 定常業務、数字、プロセス | 重点課題、改善、変革 |
日本企業では 両方を混ぜてしまい属人化するケースが多い のが実情です。
ポイントはただ一つ:
● MBO=業務の“当たり前”を整える
● OKR=チームの“未来”をつくる
この棲み分けができると、目標設定は劇的に機能し始めます。
3.悪い目標の例|曖昧・抽象・感覚的
目標設定で最も多いのが、次のような「悪い目標」です。
【悪い例】
● コミュニケーションを良くする
● お客様に寄り添う
● ミスを減らす
● チームワークを強化
● 営業成果を上げる
一見正しいようですが、評価根拠が作れず、行動に落ちません。
4.良い目標の3条件|SMARTを超える“RESUS式”
一般的にSMART(具体・測定・達成可能・関連・期限)と言われますが、多くの企業が「SMARTを書いたのに動かない」状態に陥っています。
そこで当事務所が推奨しているのは、より現場向きの “3条件” です。
① FOCUS(焦点)
目標は 1人あたり3つまで。多すぎると行動が分散し、実質的に何も変わらない。
② BEHAVIOR(行動に直結している)
数字だけでは行動に結びつかないため、行動レベルまで言語化する。
【例】営業
×「新規契約10件」
○「週3回の新規訪問」+「週1回の既存顧客フォロー」
③ CHECK(確認方法が明確)
1on1で確認できない目標は失敗します。
● 何をもって「進んでいる」と判断するか
● どのタイミングで確認するか
ここが不明確だと、上司も部下も迷子になります。
5.MBOの作り方|“当たり前を整える目標”としての設計
MBOは 業務の標準化・育成・評価の軸 として使うのが最も効果的です。
【MBOの具体例】
● 期限を守る
● ミスを減らす
● 報連相の質を上げる
● 顧客対応の品質向上
● 教育担当として新人育成
ただし、これらは そのままでは抽象的 なので、行動で分解します。
【例:ミスを減らす】
→「提出前のチェックリストを毎回使用する」
→「類似業務のナレッジ共有を月2回実施」
行動が変わるから成果が変わります。
6.OKRの作り方|“変革”のためのストレッチ目標
OKRは「未来に向けた重点テーマ」を扱うため、年1回・四半期1回の刷新を基本とします。
【OKRの構成】
● O(Objectives)=方向性、未来像
● KR(Key Results)=測定可能な結果指標
【例】
■O:部署間連携の改善により、全体のリードタイムを短縮する
■KR:
・業務フローの3つのボトルネック解消
・関連部署との協議を月2回実施
・改善策の試行を2件以上
“未来の変化”が明確だと、チームが一枚岩になります。
7.目標設定面談の進め方|1on1とセットで機能する
目標は 紙に書かせるだけでは意味がありません。1on1とセットにすることで機能し始めます。
面談のステップ
① 現状の棚卸し(何ができているか)
② 来期の重点テーマを3つに絞る
③ 行動レベルまで分解
④ チェック方法(1on1の頻度)を決める
⑤ 合意形成(どちらも納得)
これを行わないと、「言われたから書いただけ」「評価のためだけの目標」となり、形骸化します。
8.よくある失敗パターン
● 数字だけの目標になっている
● 行動に落ちていない
● 目標が多すぎる
● 管理職の説明力が不足している
● チェック方法が曖昧
最も多いのは、“目標を作った後の運用が弱い” という点です。
9.2026年以降、目標設定で求められること
働き方関連法の改正、新しい評価制度の導入により、企業に求められるのは以下の3点です。
● 目標の透明性
● 説明責任(評価理由の明確化)
● 育成と評価の連動(実効性)
これは明確に法改正における労務管理の潮流と一致しています。
10.FAQ|目標設定・MBO・OKRに関するよくある質問
Q1.MBOとOKRはどちらにすべき?
→ 業務の標準化はMBO、変革テーマはOKR。併用が最も現実的です。
Q2.数字を入れられない職種は?
→ 行動レベル(頻度・質・準備・プロセス)で設計できます。
Q3.若手が目標設定を苦手とします
→ 抽象語を禁止し、行動分解すれば書けるようになります。
Q4.評価と連動させるべき?
→ MBOは連動、OKRは原則連動させない運用が一般的です。
Q5.1on1の頻度は?
→ 月1回では不足。月2〜3回が最も効果的です。
11.まとめ|目標は“育成の設計図”
2026年以降は、【目標設定 × 1on1 × フィードバック × 評価制度】の連動が、人材育成の中心になります。
目標は“提出書類”ではなく、
● 部下が動き
● 成果につながり
● 説明責任を果たす
ための育成の設計図です。
管理職が目標設定を正しく扱えるかどうかが、チームの成長スピードを大きく左右します。
12.お問い合わせ|目標設定支援・評価制度・1on1設計のご相談
RESUS社会保険労務士事務所では、
● 評価制度の設計・見直し
● 目標設定の個別支援
● 1on1・フィードバック研修
● 管理職育成プログラム構築
● 人的資本と連動した育成体系
をワンストップでご支援しています。
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