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【2026年10月義務化】就活ハラスメント相談窓口は社内・社外どちらに設置する?メリット・デメリットを比較
2026/08/30

2026年10月1日から、企業には「求職者等に対するセクシュアルハラスメント」の防止措置が義務付けられます。
企業が講じなければならない措置には、求職者等が利用できる相談窓口をあらかじめ定め、その存在や利用方法を周知することも含まれます。
一方、相談窓口の設置を検討する企業からは、次のような質問が寄せられます。
- 就活ハラスメント相談窓口は社内に設置してもよいのか
- 法令上、外部相談窓口への委託が必要なのか
- 既存の従業員向け相談窓口を求職者にも利用させてよいのか
- 社内窓口と社外窓口のどちらが自社に適しているのか
- 社内窓口と社外窓口を併設する必要はあるのか
結論から申し上げると、就活ハラスメント相談窓口を必ず社外に設置しなければならないわけではありません。必要な体制が整っていれば、社内相談窓口でも法令対応は可能です。
ただし、求職者等は企業に雇用されている従業員とは異なり、採用担当者との力関係や選考への影響を強く意識する立場にあります。
そのため、形式上相談窓口が設置されていても、「相談すると選考で不利になるのではないか」「採用担当者本人には相談できない」と思われ、実際には利用されない可能性があります。
本記事では、2026年10月の義務化に向けて、就活ハラスメント相談窓口を社内に設置する場合と社外に設置する場合のメリット・デメリット、企業規模や採用体制に応じた選び方を解説します。
1.2026年10月1日から就活セクハラ防止措置が義務化
2026年10月1日から、男女雇用機会均等法に基づき、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するために必要な措置を講じることが、すべての事業主に義務付けられます。
対象となるのは、新卒採用に応募する学生だけではありません。
企業の求人に応募する求職者のほか、インターンシップ、会社説明会、OB・OG訪問、採用に関係する職場見学、教育実習、看護実習などに参加する人も含まれる場合があります。
また、対面で行われる面接や面談だけでなく、オンライン面接、メール、SNS、チャットツールなどを通じた言動も対象となります。
企業に求められる主な措置
企業には、主に次のような対応が求められます。
- 求職者等に対するセクシュアルハラスメントを禁止する方針を明確にする
- ハラスメントを行った従業員には厳正に対処する方針と対処内容を定める
- 面談の時間・場所、連絡方法、使用するSNSなど、採用活動に関するルールを定める
- 求職者等が利用できる相談窓口をあらかじめ定める
- 相談窓口の存在と利用方法を求職者等へ周知する
- 相談窓口担当者が適切に対応できるようにする
- 相談があった場合に、事実関係を迅速かつ正確に確認する
- 被害を受けた求職者等への配慮措置を行う
- 行為者に対して適正な措置を行う
- 再発防止措置を講じる
- 相談者や関係者のプライバシーを保護する
相談窓口を設置して連絡先を掲載するだけでは、十分な体制とはいえません。
相談を受け付けた後に、誰が事実確認を行い、誰が対応方針を判断するのかまで、あらかじめ決めておく必要があります。
2.就活ハラスメント相談窓口は社外設置が義務なのか
就活ハラスメント相談窓口を、必ず弁護士、社会保険労務士、専門事業者などの社外機関へ委託しなければならないという義務はありません。必要な体制が整っていれば、次のような社内窓口でも対応できます。
- 人事部
- 総務部
- コンプライアンス部門
- 内部監査部門
- 法務部
- 採用担当者とは別の管理職
- ハラスメント相談担当者
- 社内の専用相談窓口
ただし、「人事部のメールアドレスを掲載しておけばよい」というものではありません。特に、人事担当者が採用活動と相談受付を兼務している場合、求職者等から見れば、選考を担当する相手にハラスメント被害を申し出ることになります。
法令上は社内窓口でも対応できるとしても、相談者が安心して利用できなければ、相談体制が実質的に機能しない可能性があります。
したがって、社内窓口と社外窓口のどちらを選ぶかは、単に費用だけではなく、採用担当者からの独立性、相談者の利用しやすさ、担当者の専門性、個人情報の管理体制などを含めて判断する必要があります。
3.社内相談窓口と社外相談窓口の違い
社内相談窓口と社外相談窓口には、それぞれメリットとデメリットがあります。
| 比較項目 | 社内相談窓口 | 社外相談窓口 |
|---|---|---|
| 導入費用 | 外部への委託費用は原則不要 | 初期費用や月額費用が必要 |
| 導入のしやすさ | 既存部署を活用しやすい | 委託先の選定と契約が必要 |
| 相談のしやすさ | 選考への影響を心配される可能性がある | 会社へ直接申し出るより相談しやすい |
| 中立性 | 担当部署や関係者との距離に左右される | 第三者として相談を受け付けられる |
| 匿名相談 | 人物を推測される不安が残りやすい | 匿名性に配慮した受付体制を整えやすい |
| 専門性 | 担当者への研修や教育が必要 | 専門知識や相談対応経験を活用できる |
| 社内事情の理解 | 組織や採用体制を把握している | 契約時に企業情報の共有が必要 |
| 社内対応への移行 | 相談後の対応を社内で開始しやすい | 外部窓口から社内への報告工程が必要 |
| 担当者の負担 | 受付、記録、相談者対応を社内で行う | 受付や相談内容の整理を委託できる |
| プライバシー管理 | 社内で閲覧範囲や保存方法を定める必要がある | 委託先の管理体制を確認する必要がある |
| 求職者への見え方 | 企業が直接受け付ける窓口 | 第三者にも相談できる安心感を示しやすい |
どちらか一方が、すべての企業にとって正解というわけではありません。
採用人数、採用方法、担当部署の人数、拠点数、既存の相談体制などに応じて選択することが重要です。
4.就活ハラスメント相談窓口を社内に設置するメリット
4-1.外部への委託費用を抑えられる
既存の人事部、総務部、コンプライアンス部門などを相談窓口として活用すれば、外部機関へ支払う初期費用や月額費用は発生しません。
採用人数が少なく、相談件数も限定的と考えられる企業にとっては、社内窓口の方が導入しやすい場合があります。
ただし、担当者の教育、マニュアルの作成、相談記録の管理などには、社内の時間と人件費がかかります。
「外部費用がかからないこと」と「運営コストがかからないこと」は同じではありません。
4-2.自社の組織や採用活動を理解している
社内担当者は、採用活動の進め方、関係部署、リクルーター制度、面接担当者、インターンシップの運営方法などを把握しています。
相談があった場合に、関係者や必要な資料を特定しやすく、社内対応へ速やかに移行できることは、社内窓口のメリットです。
4-3.相談後の社内調整を行いやすい
ハラスメント相談を受け付けた後は、事実確認、被害を受けた求職者等への配慮、行為者への対応、再発防止などを行う必要があります。
社内窓口であれば、関係部署や経営層へ直接報告し、対応方針を社内で決定できます。
外部窓口からの報告を待つ工程がないため、社内の判断体制が整っている企業では、迅速な対応につながる可能性があります。
4-4.小規模な企業でも整備しやすい
採用担当者以外に相談対応を担える役員や管理職がおり、相談受付後の対応方法も定められている場合は、社内窓口でも一定の独立性を確保できます。
採用活動の規模が小さく、相談経路が分かりやすい企業では、社内窓口が現実的な選択肢となることがあります。
5.就活ハラスメント相談窓口を社内に設置するデメリット
5-1.求職者等が選考への影響を心配しやすい
求職者等は、企業との雇用関係がまだ成立していない立場です。
そのため、相談内容が採用担当者へ伝わることや、選考結果に影響することを心配し、相談をためらう可能性があります。
企業が「相談したことによって不利益に取り扱わない」と説明していても、求職者等が安心して相談できるとは限りません。
5-2.採用担当者自身が相談対象となる可能性がある
就活ハラスメントは、次のような採用関係者によって行われる可能性があります。
- 採用担当者
- 面接官
- リクルーター
- インターンシップ担当者
- OB・OG訪問に対応する従業員
- 内定者懇親会へ参加する役員や管理職
採用担当部署を相談窓口にした場合、その部署の担当者自身が相談対象者となる可能性があります。
相談対象者と受付担当者が同じ部署に所属している場合、相談者が利用しにくいだけでなく、相談内容の閲覧範囲や事実確認の中立性にも注意が必要です。
5-3.匿名でも相談者を推測されやすい
採用活動では、面接、インターンシップ、OB・OG訪問などに参加した人数が限られていることがあります。
氏名を伏せて相談しても、発生日時、場所、担当者、発言内容などから、相談者が推測される可能性があります。
社内窓口で匿名相談を受け付ける場合は、「匿名であれば絶対に身元が分からない」と説明するのではなく、事実確認に必要な情報を共有すると相談者が推測される可能性があることを事前に説明する必要があります。
5-4.相談担当者の専門性を確保する必要がある
ハラスメント相談では、相談者の話を聞くだけでなく、次のような対応が必要です。
- 相談者の希望を確認する
- 緊急性や安全上の問題を確認する
- 相談内容と事実関係を区別して記録する
- 必要以上の情報提供を求めない
- ハラスメント該当性を受付段階で断定しない
- 会社へ報告する範囲について説明する
- プライバシーと匿名性の限界を説明する
- 相談受付と事実調査を混同しない
担当者が十分な教育を受けていない場合、相談者を責めるような質問をしたり、相談内容を安易に関係者へ共有したりする危険があります。
5-5.社内担当者の心理的負担が大きい
ハラスメント相談には、性的な言動、私的な連絡、身体接触、交際の要求など、慎重な取扱いを要する内容が含まれます。社内担当者が通常業務と兼務する場合、相談者との連絡、記録作成、社内報告、関係者との調整などが大きな負担になることがあります。
また、社内の役員や上司が相談対象となった場合、担当者が心理的な圧力を受ける可能性もあります。
6.就活ハラスメント相談窓口を社外に設置するメリット
6-1.求職者等が企業へ直接相談しなくてよい
社外相談窓口では、求職者等が採用担当部署へ直接申し出ることなく、第三者へ相談できます。
「相談すると選考に影響するのではないか」「採用担当者に知られたくない」という不安を軽減し、問題が深刻になる前の相談につながる可能性があります。
6-2.採用担当者から一定の距離を確保できる
採用担当者や面接官自身に関する相談でも、社外窓口であれば受付が可能です。
相談内容を第三者が整理したうえで、あらかじめ指定された社内責任者へ報告する仕組みを設けることで、採用担当部署だけに情報が集中することを防げます。
6-3.相談内容を客観的に整理できる
相談者は、不安や混乱を抱えた状態で連絡することがあります。
外部の相談担当者が、いつ、どこで、誰から、どのような言動を受けたのか、相談者が何を希望しているのかを整理することで、企業は必要な情報を把握しやすくなります。
ただし、外部窓口が相談内容を整理することと、ハラスメントの事実を認定することは別です。
最終的な事実確認や社内措置の判断は、原則として企業が行います。
6-4.匿名相談に対応しやすい
外部相談窓口では、相談者の氏名を企業へ伝えず、相談内容のみを匿名で報告する運用を設けることができます。
ただし、匿名相談には限界もあります。
相談者を特定できなければ、詳しい事実確認や本人への配慮措置が難しくなる場合があります。また、事案の内容によっては、匿名であっても関係者から相談者が推測される可能性があります。
したがって、外部窓口を利用する場合も、匿名相談で可能な対応と難しい対応を、相談者へ適切に説明する必要があります。
6-5.社内担当者の受付負担を軽減できる
外部窓口へ委託することで、相談の受付、相談者との初期連絡、内容の整理、報告書の作成などを外部へ任せることができます。
社内担当者は、外部窓口からの報告を受けて、事実確認や対応方針の検討に集中できます。
採用担当者が少ない企業や、専任のハラスメント相談担当者を配置できない企業にとっては、大きなメリットとなります。
6-6.相談体制を対外的に示しやすい
採用サイト、募集要項、インターンシップ案内、説明会資料などに外部相談窓口を掲載することで、求職者等に対して、会社から独立した相談先があることを示せます。
外部窓口の設置だけで採用上の評価が決まるわけではありませんが、求職者等の安心に配慮した体制の一つとして示すことができます。
RESUS社会保険労務士事務所が提供する窓口の対応範囲や料金については、就活ハラスメント外部相談窓口のサービス案内をご確認ください。
7.就活ハラスメント相談窓口を社外に設置するデメリット
7-1.委託費用が発生する
外部相談窓口を利用する場合、初期費用、月額費用、相談件数に応じた報告書作成費用などが発生します。
料金体系は委託先によって異なります。
- 月額固定制
- 相談件数に応じた従量制
- 月額費用と報告書費用を組み合わせた方式
- 従業員数や採用人数に応じた料金
- 電話、メール、チャットなど受付方法別の料金
料金だけでなく、どこまでが基本料金に含まれているかを確認する必要があります。
7-2.外部窓口だけでは企業の義務を完結できない
外部窓口は、相談受付や内容整理を支援する機関です。
外部窓口を設置しても、次の対応は企業側で行う必要があります。
- 社内方針や採用活動ルールの整備
- 従業員への周知・研修
- 求職者等への窓口の周知
- 外部窓口から報告を受ける責任者の選任
- 事実関係の確認
- 被害を受けた求職者等への配慮
- 行為者への措置
- 再発防止
- 社内記録の管理
「外部窓口と契約すれば、就活ハラスメント対策がすべて完了する」というものではありません。
7-3.委託先によって対応範囲が異なる
外部相談窓口と呼ばれるサービスであっても、対応内容は同じではありません。
相談受付のみを行うサービスもあれば、報告書の作成、企業への助言、調査・ヒアリングまで対応するサービスもあります。
契約前に、次の点を確認する必要があります。
- 相談者への助言を行うか
- 相談者と何回まで連絡するか
- 匿名相談に対応するか
- 企業への報告書を作成するか
- 緊急案件の連絡方法
- 相談受付後の事実確認に対応するか
- 相談者への会社回答の取次ぎを行うか
- 英語など外国語に対応するか
7-4.社内への報告に一定の時間を要する
外部窓口では、相談内容を確認・整理したうえで企業へ報告します。
そのため、相談者が社内窓口へ直接連絡する場合と比べて、報告までに一定の工程が生じます。
生命・身体への危険、犯罪のおそれ、直近の面接や懇親会に関する緊急相談などについては、通常の報告手順とは別に、緊急連絡ルールを定めておくことが重要です。
7-5.個人情報の取扱いを確認する必要がある
外部窓口には、氏名、連絡先、学校名、応募職種、相談内容、健康状態などの個人情報が提供される可能性があります。
委託先を選定する際は、次の事項を確認する必要があります。
- 個人情報の利用目的
- 情報の保存方法
- 保存期間
- アクセス権限
- 再委託の有無
- 情報漏えい時の連絡体制
- 契約終了後のデータの取扱い
- 相談記録の企業への提供範囲
8.社内窓口と社外窓口を併設する方法
企業によっては、社内窓口と社外窓口の両方を設置し、求職者等が相談先を選べるようにする方法が適しています。
例えば、次のような体制です。
- 社内窓口:コンプライアンス部門
- 社外窓口:社会保険労務士事務所などの専門機関
社内窓口には、自社の事情を理解しており、相談後の対応へ移りやすいというメリットがあります。
社外窓口には、採用担当者から距離を置き、第三者へ相談できるというメリットがあります。
両方を設置すれば、求職者等が相談内容や希望に応じて窓口を選択できます。
ただし、併設する場合は、次の点をあらかじめ統一しておく必要があります。
- 各窓口の対応範囲
- 相談記録の様式
- 社内報告先
- 匿名相談の取扱い
- 緊急時の連絡方法
- 事実確認へ移行する基準
- 相談者への説明内容
- 個人情報の管理方法
複数の窓口を設置しても、報告先や対応手順が決まっていなければ、相談が社内で止まってしまう可能性があります。
9.既存の従業員向け相談窓口を求職者にも利用できるか
すでに従業員向けのハラスメント相談窓口を設置している企業は、その窓口の対象を求職者等まで拡張できる場合があります。
ただし、従業員向け窓口が存在するだけで、自動的に求職者等への対応が完了するわけではありません。
少なくとも、次の事項を確認する必要があります。
既存窓口を利用する場合のチェック項目
✅求職者等が社外から直接連絡できるか
✅就活セクハラが受付対象に含まれているか
✅インターンシップ参加者や実習生も対象となるか
✅匿名相談に対応できるか
✅採用担当者以外へ報告できるか
✅相談者の個人情報を適切に管理できるか
✅求職者等に窓口の存在と利用方法を周知しているか
✅相談後の事実確認担当者が決まっているか
✅被害を受けた求職者等への連絡担当者が決まっているか
✅外部委託の場合、契約上の対象者に求職者等が含まれているか
特に外部委託している従業員向け相談窓口を流用する場合は、契約対象が「従業員」に限定されていないかを確認してください。
求職者、インターンシップ参加者、実習生などを追加する場合、契約変更や料金変更が必要になることがあります。
10.企業規模・採用体制別の選び方
採用人数が少ない企業
採用担当者以外に相談担当者を置くことができ、相談対応に必要な知識や手順を整えられる場合は、社内窓口も選択肢となります。
ただし、社長や採用担当者本人が相談対象となる場合の別ルートを用意しておく必要があります。
人事担当者が採用と相談受付を兼務する企業
採用担当者が相談窓口も兼ねる体制では、求職者等が相談をためらう可能性があります。
採用担当部署とは別の社内窓口を設けるか、社外窓口の利用を検討することが適切です。
OB・OG訪問やリクルーター制度がある企業
採用担当部署が直接管理していない場面で、求職者等と従業員が接触する機会が多くなります。
相談対象者が複数部署にわたる可能性があるため、社外窓口または社内・社外の併設が適しています。
インターンシップを実施する企業
インターンシップでは、採用担当者だけでなく、受入部署の管理職や一般従業員も学生等と接触します。
現場担当者に相談しにくいケースを想定し、受入部署とは別の相談経路を設ける必要があります。
複数拠点・グループ会社で採用する企業
拠点やグループ会社ごとに相談窓口を置くと、対応品質や記録方法に差が生じることがあります。
外部窓口へ受付を一本化し、各社・各拠点の責任者へ報告する体制も有効です。
大学・学校法人・実習受入機関
教育実習や看護実習などでは、受入先の指導者と実習生との間に強い力関係が生じることがあります。
学内窓口、実習先の窓口、外部窓口の役割を整理し、相談者が利用できる経路を明確にすることが重要です。
11.外部相談窓口の委託先を選ぶ際の確認事項
外部相談窓口は、料金だけで選ぶべきではありません。
契約前に、少なくとも次の事項を確認しましょう。
1.誰が相談を受け付けるか
社会保険労務士、弁護士、カウンセラー、相談員、コールセンター担当者など、実際の対応者を確認します。
資格の有無だけでなく、ハラスメント相談への対応経験や、相談内容を適切に整理できる体制があるかも重要です。
2.どのような相談者が対象になるか
求職者、新卒採用応募者、中途採用応募者、インターンシップ参加者、OB・OG訪問者、内定者、実習生など、対象範囲を確認します。
3.相談方法
電話、メール、専用フォーム、チャットなど、利用できる方法を確認します。
求職者等への周知方法も考慮し、利用しやすい窓口を選ぶ必要があります。
4.匿名相談への対応
匿名相談が可能か、匿名の場合にどこまで対応できるか、企業への報告時にどの情報を共有するかを確認します。
5.報告書の内容
単に相談メールを転送するだけなのか、相談内容、発生日時、関係者、相談者の希望、緊急性、初期対応上の留意点などを整理した報告書が作成されるのかを確認します。
6.緊急時の対応
生命・身体への危険、犯罪のおそれ、直近の面接や懇親会など、緊急性の高い相談があった場合の連絡方法を定めます。
7.相談受付後の対応範囲
相談受付だけでなく、事実確認のためのヒアリング、調査支援、再発防止策の助言などにも対応できるかを確認します。
8.相談者への回答範囲
外部窓口が企業の対応結果を相談者へ伝えるのか、企業が直接連絡するのかを確認します。
外部窓口には企業の処分や対応方針を決定する権限がないため、役割分担を明確にする必要があります。
9.個人情報の管理
情報の保存方法、保存期間、再委託、アクセス権限、契約終了後の取扱いを確認します。
10.料金体系
月額料金だけでなく、初期費用、報告書作成費用、相談件数による追加料金、電話対応、外国語対応、調査対応などの料金も確認します。
12.相談窓口を設置した後に必要な準備
相談窓口を決めた後は、次の準備が必要です。
社内責任者を決める
外部窓口を利用する場合も、外部窓口から報告を受ける社内責任者が必要です。
通常の報告先だけでなく、その担当者自身が相談対象となった場合の代替報告先も決めておきます。
相談対応フローを作成する
相談受付から事案終結までの流れを定めます。
- 相談受付
- 緊急性の確認
- 相談者の希望確認
- 社内責任者への報告
- 事実確認の要否を判断
- 相談者・行為者・関係者へのヒアリング
- 事実関係と対応方針の検討
- 被害を受けた求職者等への配慮
- 行為者への措置
- 再発防止
- 記録の保存
求職者等への周知方法を決める
相談窓口は、設置するだけでなく、求職者等へ周知する必要があります。
周知方法として、次のようなものが考えられます。
- 採用サイト
- 募集要項
- エントリー後の案内メール
- 会社説明会資料
- インターンシップ案内
- OB・OG訪問の案内
- 内定者向け資料
- 実習生向けオリエンテーション資料
- QRコード付き案内文書
相談窓口の連絡先だけでなく、相談できる内容、匿名相談の可否、プライバシーへの配慮なども案内すると利用方法が分かりやすくなります。
担当者研修を行う
社内窓口を設置する場合は、相談担当者への研修が必要です。
外部窓口を設置する場合も、報告を受ける社内担当者、採用担当者、面接官、リクルーター、インターンシップ受入担当者などへの研修が必要です。
13.就活ハラスメント相談窓口に関するよくある質問
Q1.社内相談窓口でも法令対応できますか?
必要な体制が整っていれば、社内相談窓口でも対応可能です。ただし、求職者等が利用できる窓口として周知され、担当者が適切に対応できることが必要です。採用担当者本人が窓口を兼ねる場合は、相談のしにくさや中立性に注意する必要があります。
Q2.外部相談窓口の設置は義務ですか?
外部委託そのものは義務ではありません。相談窓口をあらかじめ定め、求職者等へ周知し、担当者が適切に対応できる体制を整えることが求められます。
Q3.採用担当者を相談窓口にしてもよいですか?
直ちに認められないわけではありませんが、採用担当者自身が相談対象となる可能性や、求職者等が選考への影響を心配する可能性があります。採用担当者以外の窓口または社外窓口も用意する方が、相談経路の実効性を確保しやすくなります。
Q4.従業員向け相談窓口と同じ窓口でもよいですか?
求職者等も利用でき、就活セクハラが受付対象に含まれ、窓口の存在と利用方法が求職者等へ周知されていれば、既存窓口を活用できる場合があります。外部委託している場合は、求職者等が契約対象に含まれているかを確認してください。
Q5.相談窓口では事実調査まで行う必要がありますか?
相談受付と事実調査は別の業務です。相談窓口は相談を受け付け、内容や相談者の希望を整理します。その後、企業は必要に応じて相談者、行為者、関係者へのヒアリングや資料確認を行い、事実関係を確認します。
Q6.匿名相談でも対応できますか?
匿名相談を受け付けることは可能です。ただし、匿名の場合は、本人への詳しい確認や個別の配慮措置、行為者への事実確認が難しくなることがあります。また、事案の内容から相談者が推測される可能性もあります。匿名相談で可能な対応と限界を、あらかじめ説明することが重要です。
Q7.相談が一件もない場合でも窓口は必要ですか?
相談が発生していない企業でも、求職者等がいつでも相談できる体制をあらかじめ整えておく必要があります。相談が発生してから窓口を設置するのではなく、採用活動やインターンシップを開始する前に準備することが重要です。
Q8.メールだけの相談窓口でもよいですか?
メール相談窓口であっても、求職者等が利用でき、相談内容に応じて適切に対応できる体制があれば、相談手段の一つとなります。重要なのは、受付方法だけでなく、誰が確認するのか、何日以内に返信するのか、緊急相談にどう対応するのかを定めておくことです。
Q9.社外窓口を設置すれば社内窓口は不要ですか?
社外窓口だけを相談受付先とすることも考えられます。ただし、外部窓口から報告を受けて、事実確認や被害者への配慮、行為者への対応を行う社内責任者は必要です。
Q10.求職者等に相談窓口をどのように周知すればよいですか?
採用サイト、募集要項、説明会資料、インターンシップ案内、応募者へのメール、実習開始時の資料など、求職者等が確認できる方法で周知します。社内イントラネットや就業規則に掲載するだけでは、社外の求職者等が確認できないため注意が必要です。
まとめ|重要なのは「設置場所」だけでなく、実際に利用できる相談体制か
就活ハラスメント相談窓口は、必要な体制が整っていれば、社内にも社外にも設置できます。
社内窓口には、費用を抑えやすく、自社の採用体制を理解しているというメリットがあります。
一方、社外窓口には、採用担当者から一定の距離を確保し、求職者等が第三者へ相談できるというメリットがあります。
企業が検討すべきなのは、単に「窓口を社内に置くか、社外に置くか」だけではありません。
- 求職者等が実際に相談できるか
- 採用担当者が相談対象となった場合にも対応できるか
- 匿名相談の取扱いが決まっているか
- 相談担当者に必要な知識があるか
- 相談後の事実確認と対応を行えるか
- プライバシーを保護できるか
- 求職者等への周知ができているか
これらを含めて、相談体制全体を設計する必要があります。
形式上の相談窓口があっても、求職者等が相談できなければ、問題の早期把握にはつながりません。
自社の採用規模、採用方法、既存の相談体制、担当者の専門性などを踏まえ、社内窓口、社外窓口または両者の併設から、実効性のある方法を選択しましょう。
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参考資料
※本記事は、2026年8月時点の法令・指針等をもとに、企業における一般的な対応を解説したものです。個別事案への対応は、具体的な事実関係や社内規程等によって異なります。