NEWS

【2025年版】匿名通報制度の導入メリットと実務運用ガイド|中小企業でもできる仕組みづくり

2025/09/01

はじめに|なぜ今「匿名通報制度」が注目されているのか

企業の不正やハラスメント、法令違反は、内部通報やSNSを通じて一瞬で世の中に広まる時代になりました。
2022年の改正公益通報者保護法により、従業員300人超の企業には通報窓口設置義務が課され、中小企業も努力義務の対象となっています。
さらに、SNSの拡散力により、企業のブランド価値や信用は一度の炎上で大きく損なわれるリスクがあります。

こうした背景の中で、匿名で通報できる仕組みは、従業員や取引先の声を早期にキャッチし、問題を未然に防ぐために不可欠なツールとして注目されています。


匿名通報制度とは?

匿名通報制度とは、通報者の氏名を明かさずに企業や第三者機関に不正・ハラスメント・法令違反等の情報を届けられる仕組みです。

  • 匿名であるため報復を恐れず通報できる

  • 従業員や関係者の心理的安全性を確保できる

  • 企業は初動段階で問題の芽を把握できる

欧米ではすでに匿名通報は標準化しており、日本でも社内窓口のハードルの高さを補う手段として導入が進んでいます。


匿名通報制度の導入メリット

1. 早期発見・社内解決の促進

匿名性により通報のハードルが下がり、問題の初期段階で情報が入るため、社内での解決がしやすくなります。

2. 炎上・告発リスクの低減

通報窓口が機能していないと、従業員は行政やSNS・マスコミに直接告発する可能性が高まります。
匿名通報制度は「外部告発の前に社内対応できる」仕組みです。

3. ESG・ガバナンス評価への寄与

ESG投資やサプライチェーン監査で、通報体制の有無が企業評価の対象になるケースが増えています。


課題と注意点

匿名通報は万能ではありません。以下のリスクに備えることが必要です。

  • 虚偽通報・嫌がらせ通報の可能性

  • 通報内容の裏付け・調査が難しい

  • 情報管理・守秘義務違反による信頼低下

これらを防ぐには、調査体制の整備・第三者の関与・通報内容の精査フローが重要です。


中小企業でも導入できる匿名通報制度のステップ

ステップ1:社内ルールの明確化

  • 通報対象範囲(ハラスメント、不正、法令違反など)

  • 匿名通報の受付方法・調査フロー

  • 守秘義務の取り扱い

ステップ2:窓口の設置

  • 社内の人事・総務部門で対応

  • 社外専門家・社労士・弁護士事務所への外部委託も検討

ステップ3:匿名性を担保したシステム導入

  • 専用フォーム・チャット・匿名メールアドレスなど

  • 匿名性を担保できるクラウドサービスや外部ホットラインの利用

ステップ4:周知・教育

  • 全従業員への利用案内(イントラネット・ポスター等)

  • 窓口の中立性・プライバシー保護を強調


匿名通報制度導入にかかるコストの目安

  • 小規模企業向け外部窓口サービス:月額5,000〜10,000円程度

  • 中〜大企業向けシステム導入:初期費用数十万円+月額利用料

  • 外部専門家への委託:1件ごとの従量課金も選択可能

※費用は機能やサポート体制によって変動。まずはスモールスタートでの導入がおすすめです。


実務担当者のためのチェックリスト

  • 通報対象範囲が明確化されているか

  • 匿名性を担保できる仕組みがあるか

  • 調査・是正のフローが文書化されているか

  • 守秘義務を徹底する教育・ルールが整っているか

  • 従業員に利用方法が周知されているか

  • 虚偽通報対応の方針が明確か


導入事例イメージ

  • 製造業A社(従業員150名)
    外部社労士事務所に通報窓口を委託し、匿名通報専用フォームを導入。
    → 通報件数が増加し、初期段階での職場トラブル発見に成功。

  • サービス業B社(従業員60名)
    小規模ながら匿名通報チャットツールを活用。
    → SNSでの炎上リスクを防ぎ、採用応募数も増加。


よくある質問(FAQ)

Q1. 小規模企業でも匿名通報制度は必要ですか?

はい。法的義務はない場合もありますが、炎上や内部告発リスクの抑止、従業員の心理的安全性向上の観点から推奨されます。小規模でも低コストの外部委託やクラウドサービスで導入可能です。


Q2. 匿名通報は虚偽や嫌がらせが多いのでは?

虚偽通報は一定割合ありますが、調査フローの整備や第三者チェックにより被害を最小限にできます。通報件数が増えること自体が、企業体制の信頼度向上にもつながります。


Q3. 匿名通報制度と内部告発は何が違うのですか?

匿名通報は社内または委託先に匿名で相談・通報できる仕組みを指し、初期段階で問題を解決するための制度です。
内部告発は、行政・報道機関・SNSなど社外への情報公開を伴い、企業の信用を大きく損なう恐れがあります。


Q4. 外部通報窓口の導入費用はどれくらいかかりますか?

一般的に月額5,000〜10,000円程度で専門家による外部通報窓口サービスを利用できます。導入初期費用も少なく、スモールスタートしやすい仕組みです。


Q5. 導入時に従業員への周知はどうすればよいですか?

  • 社内ポータル・掲示板で周知

  • 管理職研修や従業員研修で説明

  • 利用しやすさ・匿名性・守秘義務を明示し、「安心して使える」印象を持ってもらうことが重要です。

まとめ|匿名通報制度は企業信頼の基盤

匿名通報制度は、従業員の声を拾い、企業のガバナンスを高めるための重要な仕組みです。
特に中小企業こそ、『小さな仕組みで早期導入』することがブランド保護・従業員満足度向上につながります。


関連リンク


内部通報・匿名通報制度の無料相談はこちら

「企業のコンプライアンス体制を高めたい」
「従業員からの声を安心して拾える仕組みを整えたい」

\ 初回相談は無料です /
☎ お問い合わせ:06-6306-4864(平日10:00〜17:00)

経験豊富な社会保険労務士・コンプライアンス専門家が、
貴社の規模・課題に合わせた最適な仕組みをご提案します。

会社名
部署
氏名*
mail*
電話
お問い合わせ内容*

※本記事は2025年9月時点の法令・情報に基づき執筆しています。今後の法改正やガイドライン変更により内容が変わる場合があります。