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中小企業のためのリーダーシップ・マネジメント実践講座|信頼される上司の条件とチームを動かす会話術
2025/11/04

はじめに|「プレイヤー上司」が組織を止める
中小企業では、多くの管理職が“現場のプレイヤー”を兼ねています。
そのため、部下育成やチーム運営が後回しになり、「忙しい上司」「疲弊するリーダー」が増えています。
しかし、組織を成長させる上司は「すべてをできる人」ではなく、“人を動かすことのできる人”です。
リーダーの在り方を変えることが、組織を変える第一歩です。
本講座では、現場のリーダーや管理職が実践できる、信頼される上司の条件・会話術・マネジメントの基本構造を解説します。
第1章|信頼される上司に共通する3つの要素
中小企業に求められる理想の上司には、リーダーとして欠かすことのできない大切な要素があります。
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誠実さ(Integrity)
約束を守り、言動に一貫性がある。
→ 「小さな約束」を守ることが信頼の礎。 -
公正さ(Fairness)
えこひいきをせず、基準を明示する。
→ 判断基準を“見える化”することが納得感を生む。 -
共感力(Empathy)
相手の感情を理解しようとする姿勢。
→ 「わかってくれている」と感じた瞬間に、部下は動き出す。
【ポイント】
上司の「人格」よりも、「日常のふるまい」で信頼は決まります。
信頼される上司とは、“一貫して誠実に行動する人”です。
第2章|リーダーが身につけるべき3つの力
| 力の名称 | 意味・目的 | 実践例 |
|---|---|---|
| 観る力 | 状況と人の変化を察知する | 「最近どう?」と小さく声をかける/表情・口調を観察する |
| 聴く力 | 相手の考えを引き出す | 「どう感じている?」「何が一番の課題だと思う?」 |
| 動かす力 | チームを目標に導く | 「この仕事の目的は~」「なぜ今やるのか」を説明する |
ポイント:
マネジメントとは「人を動かす技術」であり、“命令する力”ではなく、“関係を築く力”です。まず“観て”、次に“聴き”、最後に“動かす”。この順序を守るだけで、部下との信頼関係は格段に深まります。
第3章|チームを動かす会話の技術
1. 期待を明確に伝える
→ 「任せる」だけでは伝わらない。
「目的・期限・期待水準」を具体的に伝えることが重要。
例:「この業務を○日までに仕上げてほしい。理由は○○だから。あなたの判断で進めていい部分もある。」
2. 部下の主体性を引き出す質問
→ 「どうすればいいですか?」と聞かれたときがチャンス。
すぐ答えず、「あなたならどう考える?」と返す。
例:「あなたの考えを聞かせてほしい。どんなやり方が良いと思う?」
3. 承認とフィードフォワードをセットで
→ 承認(認める)+フィードフォワード(次に生かす)で成長が加速。
例:「あの対応、助かった。次はここを意識するとさらに良くなる。」
【ポイント】
“褒める”ではなく“認める”。結果よりも「努力・工夫・成長のプロセス」を言葉にすることが信頼を生む。
承認は“過去を認める言葉”、フィードフォワードは“未来を応援する言葉”です。
この2つをセットで伝えると、部下の行動が持続的に変わります。
第4章|上司がやってはいけない3つのNG対応
| NG行動 | 問題点 | 望ましい代替行動 |
|---|---|---|
| 感情で叱る | 信頼が損なわれる | 状況・行動・影響を分けて伝える(SBI法) |
| 放置・丸投げ | 部下の不安・離職につながる | 定期的にフォローの場を設ける |
| 「自分の時は~」と比較する | 世代間ギャップを広げる | 相手の環境・価値観を理解して話す |
補足:
上司が「我慢強くなること」がマネジメントの第一歩。感情をコントロールできる人ほど、チームを動かせます。「怒られない」ではなく「安心して話せる」環境をつくることが、上司の最大の役割です。
第5章|チームを育てるマネジメント習慣
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朝の3分会話: 業務前に「調子どう?」と声をかける。
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週1フィードバック: できた点と課題をセットで共有する。
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月1目標共有: チーム全員で進捗と課題を話し合う。
これらの“小さな習慣”が、心理的安全性と信頼文化をつくります。リーダーの役割は、「叱る」よりも「支える」こと。
第6章|上司が成長する3つの自己点検項目
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部下の話を遮っていないか?
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自分だけが正しいと思っていないか?
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部下の成長を心から喜べているか?
上司自身が変わることで、チームの空気も変わる。
リーダーシップとは、役職ではなく「信頼関係の結果」なのです。
まとめ|リーダーの成長が、組織の成長をつくる
中小企業のリーダーシップとマネジメントは、制度よりも「人間力」で動きます。
誠実に向き合い、部下の声に耳を傾け、行動で信頼を示す――
それが“信頼される上司”の条件です。
リーダーの成長こそが、チームと企業の未来を支える最大の原動力です。
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