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【2026年対応版】深夜メール・早朝勤務はどこからアウト?|5時前の始業・22時以降の指示と健康確保義務の実務ガイド

2025/11/14

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)
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2026年は、勤務間インターバル、連続勤務、テレワーク管理などの“時間帯リスク”が企業の最大課題になります。「深夜メール 労働時間」「早朝勤務 労働時間」などの相談件数も2025年以降増えており、企業側のルール整備が求められています。

中でも急増しているのが、「早朝・深夜に業務連絡が行われることで、結果的に長時間労働を助長してしまう」 問題。実務では問題視されにくい一方で、実質的に“時間外対応が強制される”ケースが増えています。

● 早朝5時前の出勤
● 深夜0時のメール・LINE・チャット
● 在宅勤務中の深夜作業
● 休日夜の指示・準備
● 上司の深夜メッセージが“事実上の業務命令”化
● 部下が「既読をつけないと怒られる」問題

これらは 2026年の監督指導で重点化する可能性が高く、企業の労務管理に大きな影響を与えます。

本ガイドでは、2025年時点の公開情報(厚労省資料・実務指針)を基に、中小企業が2026年に向けて整えるべき実務対応をわかりやすく解説します。
※最終的な制度内容は厚労省の公式発表を必ずご確認ください。

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1.なぜ今「早朝・深夜」が問題化しているのか

2025年時点で急増している労務問題の多くは、次の“時間帯リスク”に集約されます。

■ 1)勤務間インターバル不足

深夜0時にメール → 翌朝7時出勤
勤務間インターバルが7時間しかなく、健康確保義務違反の可能性。

■ 2)実質的な連続勤務の発生

休日夜に“明日の準備”を指示
→ 実質休日が消える(14日連続勤務問題へ直結)

■ 3)在宅勤務の深夜作業が増加

「22時に資料を送ってきた」など、“見えない長時間労働”が増加。

■ 4)若手社員が「深夜の既読」を強制される

ハラスメント+労務問題の複合領域。

■ 5)上司自身が深夜まで働いてしまう

管理職の健康確保義務が問われる時代へ。

これらは 業種を問わず発生 しているのが最大のポイント。飲食・宿泊・介護・建設・不動産・IT・営業チームなど、ほぼ全企業が対象です。

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2.早朝5時前の始業はどこまで許される?

(※2025年時点の一般的実務。最終基準は今後の公表を確認)

■ 早朝5時前の始業は“高リスク”

とくに問題化しやすいのは:

● 介護・宿泊の早番
● 物流の積み込み
● 飲食店の仕込み
● 清掃の早朝作業

早朝出勤は、
・睡眠不足
・事故リスク
・過重労働
・健康障害

に直結し、監督指導が入りやすい領域です。

■ 判断のポイント

・業務の必要性
・連続勤務との関係
・前日の退勤時刻
・代休付与の有無
・健康確保措置の有無

「5時前の業務が常態化している場合」
→ 安全配慮義務の観点で問題化しやすい。

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3.22時以降のメール・チャット指示は労働時間?

2025年時点では明確な法律規定はありませんが、実務では次のとおり判断される傾向があります。

■ “業務性”があれば労働時間扱いの可能性

● 部下に指示
● 明日の準備
● 対応期限つき
● 資料作成の依頼
● 返信を求めるメッセージ

これらは労働時間と判断される可能性が高い。

■ よくある高リスク例

「0時に“明日の朝までに頼む”と送る」
→ 深夜労働+インターバル違反の可能性

「休日夜に“明日9時の案件だけど”と送る」
→ 休日の実質消滅


■ “労働時間とみなされやすいメッセージ”

次の特徴があると非常に危険です。

● 締め切りを示す
● 返信を求める
● 業務指示が含まれる
● 急ぎである旨を記載
● 「既読」がプレッシャーになる

これらは全て、2025年の監督指導事例で問題視されています。

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4.テレワークの早朝・深夜作業は?

在宅勤務ほど“隠れ残業”が発生しやすい領域はありません。

■ 問題になりやすい行為

● 早朝5時前に資料作成
● 深夜23時の修正対応
● 休日のチャット返信
● 隙間時間にメール(業務性があればOUT)

在宅勤務は「見えないだけで労働」という状態が起きやすく、企業側の把握義務が問われます。在宅勤務では、企業が把握しきれていない作業が労働時間に該当する可能性があり、明確なルール整備が不可欠です。

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5.企業が整備すべき“5つのルール”

2026年に向けて企業が早急に整えるべきは次の5点です。

① 深夜対応の原則禁止

就業規則に「22時〜5時の業務を原則禁止」と明記する例が増加。

② 深夜メール・休日連絡の許可制

管理職が深夜に部下へ業務依頼する場合は所属長の許可とする運用に。

③ 業務チャットの“既読義務”を廃止

既読=業務指示と認定されるリスク。

④ テレワーク時の時間帯制限

・早朝勤務
・深夜勤務
・休日作業
は明確に申請制にする。

⑤ 朝礼・開店時間の見直し

飲食・小売は「開店30分前出勤」が常態化しがち。→ 勤務間インターバルと矛盾しやすい。

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6.就業規則モデル(コピー可・やや保守的な表現で)

※最終判断は厚労省指針と自社実態に合わせてください。

(深夜業務の禁止)

第◯条 会社は、従業員に対し、深夜帯(22時〜翌5時)の業務を原則として禁止する。

(休日の業務連絡)

第◯条 休日中の業務連絡は、原則として行わないものとする。
2 緊急の場合は所属長の許可を得て連絡する。

(在宅勤務時の早朝・深夜作業)

第◯条 在宅勤務中の早朝(5時以前)及び深夜(22時以降)の業務は禁止する。

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7.FAQ(よくある質問)

Q1.深夜メールは労働時間ですか?
A.実質的に業務指示であれば、労働時間と判断される可能性があります。

Q2.早朝5時前の勤務は違法ですか?
A.違法と断定されているわけではありませんが、健康確保義務の観点から高リスクです。

Q3.休日夜の連絡はどう扱われますか?
A.実質的に業務を行わせた場合、休日労働扱いとなる可能性があります。

Q4.チャットでの“既読だけ”は労働?
A.業務指示と評価されうる内容の場合、労働時間と判断される可能性があります。

Q5.管理職にも適用されますか?
A.健康確保義務の観点から、管理職にも深夜・早朝の業務制限が求められる方向です。

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8.まとめ|“時間帯の管理”が2026年の最重要テーマ

2026年の労務管理で最も重要になるのは、「どの時間帯に働いたか」 という軸です。

● 5時前の始業
● 22時以降のメール
● 深夜作業
● 休日の指示
● テレワークの隠れ残業

これらは国際的な健康確保基準に合わせた対応が求められる流れもあり、インターバル・連続勤務・健康確保義務は、今後の監督指導で確実に重点化します。

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