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【2026年版】アップスキリング義務化と企業の「リスキリング支援」実務ガイド|人材育成を“仕組み化”する方法
2025/11/21

(監修:RESUS社会保険労務士事務所 社会保険労務士 山田雅人)
1.はじめに|2026年、人材育成は「義務化の時代」へ
2026年は、働き方改革関連の見直しに加え、アップスキリング(既存業務の高度化)とリスキリング(新スキル習得)が企業経営において欠かせないテーマとなります。
背景には次の変化があります。
● AI・DXの急速な普及
● 人手不足が慢性化
● 若手の早期離職
● “研修だけでは育たない”ことへの気づき
● 人的資本の開示義務の広がり
当事務所の研修・相談窓口でも、「教育体系を整えたいが、どこから始めればよいかわからない」という相談が急増しています。
本ページでは、アップスキリング義務化の動きの整理と企業が実務で準備すべき“人材育成の仕組み”をわかりやすくまとめています。
2.アップスキリング義務化とは何か
「義務化」という言葉が独り歩きしていますが、ポイントは次の2つです。
(1)教育・能力開発を軽視できない時代へ
厚生労働省・経産省が出すガイドライン・政策の多くで、企業が従業員に対して継続的な能力開発の機会提供を求める流れが強くなっています。
これは形式的な研修ではなく、キャリア形成・業務遂行能力向上を支援する体制の整備を重視する方向です。
(2)人的資本の観点からも“教育の透明性”が必要に
大企業だけでなく中小企業でも、“どのように従業員を育成しているか” を示す機会が増えています。
例:
● 教育体系の可視化
● 管理職育成の仕組み
● リスキリングの計画性
● 1on1の仕組み
● キャリア形成支援の内容
中小企業でも教育の形式や仕組みが求められる場面が拡大しており、事実上 “教育の仕組み化” が義務化に近づいている状況です。
3.企業が整備すべき「アップスキリング・リスキリング」5領域
教育体系は次の5領域に整理すると整えやすくなります。
① 業務スキル(アップスキリング)
既存業務の品質・スピードを高める教育。
例:
・マニュアル整備
・OJT/指導ルール
・業務改善スキル
・報連相/ビジネス基本
② DX・AIスキル(リスキリング)
今後の企業に不可欠な領域。
例:
・AI活用の基本
・情報管理・セキュリティ
・デジタルツールの標準化
・データ利活用の基礎
③ コミュニケーション・マネジメント
2026年以降、最もトラブルが増える領域。
例:
・叱り方/注意の仕方
・1on1
・評価面談
・若手指導
・ハラスメント防止
④ 管理職育成
「プレイヤーからマネージャー」への転換が必須。
例:
・目標設定
・業務の任せ方
・フィードバック
・チームマネジメント
・労務管理
⑤ 安全衛生・コンプライアンス
法令対応として不可欠な領域。
例:
・労働時間管理
・情報保護
・安全衛生
・相談窓口の活用
・メンタルヘルス初期対応
4.教育体系の作り方|3ステップで“仕組み化”する
多くの企業がやりがちなのが「研修を単発で並べるだけ」という方法。重要なのは仕組み化です。
① 課題整理(ギャップ分析)
企業の多くが抱えるギャップ:
● 管理職の言い方にばらつき
● DX・AIの対応不足
● 若手が育たない
● 1on1が形骸化
● 評価制度と教育が連動していない
② 育成ロードマップの作成
例:
・入社1年目:業務基礎+コミュニケーション
・2~3年目:改善スキル
・管理職候補:マネジメント・労務管理
・管理職:1on1/評価面談/リーダーシップ
③ 実施 → ふり返り(評価制度と連動)
評価制度・1on1・教育体系が連動すると、「やりっぱなしの研修」ではなく、成果につながる育成 が可能になります。
5.教育が失敗する“3つの落とし穴”
① 研修だけで終わる
② 指導者(上司)にスキルがない
③ 評価制度と連動していない
特に③は最も多い失敗で、「やったことと評価される行動」がズレている会社は育ちません。
6.よくある誤解|リスキリング=IT教育ではない
リスキリングは「IT教育」だと誤解されがちですが、実務では次の内容も含まれます。
● 相談対応
● 若手の育て方
● マネジメント
● チームコミュニケーション
● 専門性の向上
● ストレスマネジメント
企業が必要とする“役割遂行能力の底上げ”が目的です。
7.アップスキリング義務化と助成金
教育訓練に関する助成金は複数存在しますが、詳細は条件や制度変更があるため、本ページでは方向性のみ触れます。
● 人材開発支援補助金
● IT/DX 研修に関連する事業
● 業務改善・健康管理などの制度と連動する補助内容
(制度内容は年度により変更あり)
助成金“ありき”ではなく、企業の育成体系に合った活用が鍵 です。
8.FAQ|アップスキリング・リスキリングに関する質問
Q1.義務化と言われていますが、本当に必須ですか?
→ 法的に明確な義務が課されるというより、能力開発の体制整備が求められる流れが強まっています。
Q2.どの領域から始めればいいですか?
→ 最も効果が出やすいのは「管理職の言い方」と「1on1の標準化」です。
Q3.社内に講師がいません
→ 外部研修+社内運用ルールの整備で十分実現できます。
Q4.研修しても定着しません
→ 1on1・評価制度と連動させると定着率が大幅改善します。
Q5.少人数企業でも必要ですか?
→ 少人数ほど効果が大きく、育成の属人化を防ぎやすくなります。
9.お問い合わせ|育成体系の構築・研修をご検討の企業さまへ
RESUS社会保険労務士事務所では、管理職育成・若手定着・教育体系づくり・1on1運用など、企業のアップスキリング・リスキリングを支援しています。
● 教育体系を整えたい
● 管理職の言い方を標準化したい
● 若手を育てたい
● 評価制度と教育を連動させたい
● 人的資本の情報開示に向けて準備したい
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