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【2026年対応版】中小企業のための企業型確定拠出年金(企業型DC)完全ガイド|導入手順・労使協議・就業規則・費用まで徹底解説
2025/12/02

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)
1.はじめに|「退職金制度の再設計」が中小企業の経営課題に
採用難・離職増加が続く中、若手・中堅の定着施策として“退職金制度のアップデート”が注目されています。
特に企業型確定拠出年金(企業型DC)は、
・従業員の将来資産形成への関心の高まり
・人的資本経営(人的投資の可視化)
・退職金制度の税務・会計上の取り扱い
などの面から、大企業だけでなく中小企業でも導入が急増しています。
2.企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?制度の基本
企業型DCとは、会社が毎月一定額の掛金を拠出し、従業員がその掛金を運用し、将来の年金額が運用成績によって決まる制度です。
● 法的根拠
・確定拠出年金法
・厚生労働省「企業型年金制度導入・維持マニュアル」
・労働契約法/労働基準法(退職金・労働条件変更に関わる)
● 一般的な退職金制度との違い
| 仕組み | 受給額の決定 | 資産運用 | 退職時の取り扱い |
|---|---|---|---|
| 退職一時金/確定給付型 | 会社が約束 | 会社が運用 | 原則企業負担で支給 |
| 企業型DC | 運用成績で決まる | 従業員が運用 | 個人の資産として終身管理 |
3.中小企業が企業型DCを導入するメリット・デメリット
■ メリット
● 採用時にアピールでき、勤続年数等に応じたルール設計により定着性に寄与
● 福利厚生を“見える化”できる
● 会社が「将来不払いリスク」を抱えにくい
● 退職金制度のコストを平準化できる
● 試算と月額拠出のため経営計画に組み込みやすい
● 従業員のモチベーション・キャリア意識が高まりやすい
■ デメリット(導入前に必ず認識)
● 投資成績に左右されるため、従業員や家族から誤解が生じやすい
● 導入説明・労使協議・就業規則改定を適切に行わないと労務事故の原因に
● 従業員説明の内容次第で投資助言業に抵触するリスクがある
→ 制度導入には“導入シミュレーション・関連規程整備・制度説明”の設計(『事前準備』)が不可欠
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まずは制度導入の「適否」だけ無料診断いたします(営業なし/上記3点の資料で簡易判定/診断後の契約は任意です)
【無料診断に必要なもの(3点のみ)】
□ 就業規則(賃金/退職金規程を含む)
□ 従業員数と雇用区分の内訳
□ 想定している掛金イメージ(未定でも可)
診断結果では以下をお伝えします
・制度導入の可否
・最適な導入方式(企業型DC/iDeCo+/現行維持のいずれか)
・導入時の労務リスクと注意点
4.中小企業での導入の注意点|トラブルを避けるために
企業型DCの制度自体はメリットが多く法律上認められた節税・福利厚生制度であり優れた制度と高い評価ですが、導入手順を誤ると次のような誤解・相談・トラブルが頻発します。
・「会社が投資を強制してきた」
・「損をしたら補償してほしい」
・「制度導入に納得していない」といった不利益変更紛争
・「責任者の説明が投資勧誘のように見える」
賃金に並ぶ退職金制度の見直しに該当するため、労働条件変更に関する説明と合意形成のプロセスを適切に行うことが重要です。
→ 対策:導入の“手続き面”を正しく行うこと
5.企業型DC導入の流れ(実務のポイントを解説)
【STEP1】導入診断
・企業規模/目的/財務計画を整理
・退職金制度(現行)がある場合は見直し・統合・別建てなど整理計画を作成
【STEP2】導入ロードマップ・制度設計
・掛金額・対象者・加入ルール
・公的年金との関係整理
・試算シミュレーション(パターン別)
【STEP3】労使協議・意思決定
・説明会資料・就業規則改定案の作成
・労働者代表意見聴取・労使協議議事録作成・同意書の整備
※企業型DC導入は「投資」要素が絡むため、従業員側の心理的抵抗感が出ることがあります。そのため、意見聴取の直前に従業員向けのお知らせを1回は出しておくと納得感が高まり安全です。
※企業型DCは退職金制度の見直しに該当するため、労働条件変更に関する説明と合意形成のプロセスを適切に行うことが重要です。
【STEP4】就業規則・賃金規程の改定
・掛金取扱い
・休職・育休時の取扱い
・資格喪失時のルール
【STEP5】従業員周知
・制度導入のお知らせ
・制度理解(投資助言に抵触しない表現で)
【STEP6】運用開始・アフター対応
・従業員の制度理解フォロー
・社内窓口の整備(投資助言的意見提供は禁止)
6.中小企業で企業型DCが向いているケース/向かないケース
◎ 向いている企業
□ 若手・中堅の採用・定着を強化したい
□ 福利厚生を「見える施策」に変えたい
□ 退職金制度を見直したい、大企業並みの福利厚生制度を目指したい
□ 賃上げだけでなく総合的な人材投資を行いたい
△ 向かないケース
□ 投資教育を“会社の責任”で行いたい
□ 損失時に補償を検討している
□ 短期間で制度の撤廃を検討している
7.よくある導入失敗例(失敗しないために)
● 「説明会を省略し、周知文書だけで開始」 → 理解不足からクレーム化
● 「投資商品の推奨をしてしまう」 → 投資助言業リスク・損失時クレーム
● 「管理職が“損はしない制度”と断言してしまう」 → 誤認から訴訟リスク
● 「制度内容が従業員に均一でない」 → 公平性の問題・労務コンフリクト
● 「ルール説明が曖昧で休職・退職時に揉める」 → 休職/有期雇用者の取り扱いは必須
※従業員から損失補償・元本保証を求められるトラブルは、中小企業で最も多い相談です。制度設計と説明文に明記することで防止できます。
→ 導入は“制度よりも説明プロセスの正確さ”がトラブル防止の鍵
8.導入にかかる期間とスケジュール見本
企業規模や意思決定フローにより幅がありますが、一般的な目安は以下です。
| 月数 | フェーズ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 導入診断 | 現状整理/制度目的整理/試算 |
| 2ヶ月目 | ロードマップ設計 | 掛金・対象者・ルール設計 |
| 3ヶ月目 | 労使協議 | 説明資料/意見聴取/議事録 |
| 4ヶ月目 | 規程改定 | 賃金規程・就業規則改定/新旧対照表 |
| 5ヶ月目 | 周知・運用開始 | 従業員周知/社内窓口体制整備 |
※企業の意思決定が早い中小企業などの場合は3ヶ月以内で導入されるケースもあります。
9.料金表(めやす:企業型確定拠出年金導入サポート)
当事務所の導入サポートは原則メールでのやり取りにて完結いたします。オンライン打合せ・面談(Zoom等)をご希望の場合は別途オプション対応となります。多忙な経営者・総務ご担当者でもスムーズに進められるよう、やり取りの手間を最小限にした構成としております。
| 内容 | 説明 | 料金例 |
|---|---|---|
| 導入診断 | 現状把握・目的整理・導入可否判定 | 55,000円 |
| 制度導入サポート一式 | ロードマップ・制度設計/労使協議資料/従業員周知文書(Word) | 330,000~550,000円 |
| 就業規則・賃金規程改定 | 必要時のみ(改定条文・新旧対照表・提出書式) | 110,000~220,000円 |
| 従業員説明会(任意) | 60~90分/資料&質疑応答 | 110,000~165,000円 |
| 従業員向けメール相談窓口(導入前後/任意) | 社内ルール・手続き相談(投資助言は除く) | 22,000~55,000円/月 |
※まずは企業の状況・目的に合わせて最適な進め方をご提案します。「なるべく費用を抑えたい」「短期間で導入したい」などのご希望もお伺いしますのでご安心ください。
※当社は「制度・手続き・社内規程の説明」に範囲を限定し、特定金融商品の推奨や資産配分への助言など「投資助言」に該当する対応は行いません。
※設計内容・従業員規模・実施回数により料金が変動する場合がございます。
導入目的別料金例
| ケース | おすすめ構成例 | 想定総額 |
|---|---|---|
| とにかく早く導入 | 制度導入サポート一式+規程改定 | 44万〜77万円 |
| 従業員の納得感を重視 | 制度導入サポート一式+規程改定+説明会 | 55万〜94万円 |
| 相談体制も整えたい | 上記+メール相談窓口(3ヶ月) | 60万〜110万円 |
10.よくある質問(FAQ)
Q1 従業員に反対されることはありますか?
→ 投資リスクへの不安が大きい企業では稀にあります。制度導入の目的と「会社が損失補償をしない理由」を明確に伝えることが重要。
Q2 導入にあたり助成金はありますか?
→ 年金制度単体の助成金はありませんが、福利厚生制度拡充・健康経営の一環として評価され、他の支援制度と親和性があります。何よりも、求職者への訴求・定着性の向上のメリットを考えると、助成金が無くても導入メリットはあると考えられます。
Q3 加入しない従業員は認めるべきですか?
→ 制度設計によりますが、導入目的・公平性の観点に沿った設計が必要です。
Q4 会社が運用アドバイスをしてもよいですか?
→ 特定商品の推奨やポートフォリオの助言など運用アドバイスを行うと金融商品取引法(第38条2項等)により法律上問題となる可能性があります。企業や外部コンサルタントは制度・手続き・社内規程の範囲に限るのが安全です。
Q5 従業員説明会は必須ですか?
→ 法律上必須ではありませんが、周知義務・労使合意の観点から“説明の場”を確保することが望ましいです。中小企業は事業主主体での実施が基本となりますので、導入の際は社内の説明会資料も当方にて作成可能です。(社内説明会用の案内文書テンプレ提供も可能)
Q6 企業型DCとiDeCoは何が違うのですか?
→ 企業型DCは会社が制度を導入し、掛金を拠出する退職金制度です。iDeCoは個人が任意で加入し、自分の掛金を積み立てる制度です。会社制度と個人制度であり、制度の位置づけが異なります。
Q7 iDeCo+(イデコプラス)とは何ですか?
iDeCo+は従業員のiDeCo掛金に対して、会社が“上乗せ拠出”できる制度です。制度の主体はiDeCoであり、企業型DCとは別制度です。従業員100名以下の厚生年金適用事業所で導入可能です。
iDeCo+は企業型DCを導入していない中小企業向けの制度で併用導入はできません。
11.まとめ|導入の最大ポイントは「制度よりも進め方」
企業型DCでトラブルになる例の多くは制度の良し悪しではなく“導入の手続き不備”によるものです。
✅ 労使協議で安心感を提供
✅ 就業規則・賃金規程改定で文書的な制度整備を徹底
✅ 従業員への正しい説明・周知手続き
✅ 投資助言に抵触しない線引き
ここさえ押さえれば、企業型DCは採用・定着・福利厚生・人的資本すべてに役立つ経営施策になります。
企業型DC・iDeCo・iDeCo+はどれも「老後資産形成に役立つ制度」ですが、目的・仕組み・対象者・導入主体が異なる制度です。
どちらに加入するか・どう運用するかはご本人の判断となり、企業側は制度内容・会社ルール・手続き方法を正しく案内することが求められます。
サービスのご案内(RESUS社労士事務所の企業DCサポート)
当社では、確定拠出年金制度を導入したい中小企業向けに制度導入の支援を行っております。
● 導入診断/ロードマップ作成
● 就業規則・賃金規程改定
● 労使協議資料の作成
● 従業員周知文書(Word)提供
● 従業員向けメール相談窓口(任意)
※従業員説明会の立会いをご希望の場合はオプション対応
お問い合わせ・ご相談はお気軽にどうぞ。
初回相談(メール)は無料で承ります。
法令注記
※本ページの内容は、執筆時点の法令・通達等を前提とした一般的な情報提供であり、個別の企業の事情に対する適用可否については、所轄官庁や専門家への確認を推奨いたします。
※企業や社労士等外部専門家は、”制度内容・社内手続き” の説明に範囲を限定し、特定商品の推奨・運用指示・リスク説明の優劣比較など「投資判断に影響を与える行為」は行わないことが適切と考えられます(金融商品取引法 第2条・第38条等を踏まえた一般的な整理であり、個別事案については専門家による確認が推奨されます)。