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【専門家解説】もにす認定とは?障害者雇用に取り組む企業が知っておくべき認定制度

2025/12/22

近年注目されている国の新しい認証制度『もにす認定』を専門家が解説(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)


はじめに|「障害者雇用に力を入れている会社」の認定制度

障害者雇用に取り組む企業は年々増えていますが、その取り組みは外部からは見えにくく、

  • 「実際にどこまで配慮しているの?」

  • 「雇用は一時的なものでは?アピールのためだけじゃないの?」

  • 「現場で無理させて障害者自身が働きにくくなっているのでは?」

といった点は、採用希望者や取引先から判断しづらいのが実情です。

こうした背景を踏まえ、障害者雇用に力を入れている中小企業の“実態”を評価する制度として設けられているのが『もにす認定』です。

本ページでは、もにす認定を詳しく解説し、他の主要な認定制度との違い・選び方を企業目線で整理します。


もにす認定の正式名称と制度概要

もにす認定は、正式には「障害者雇用に関する優良中小事業主認定制度」といいます。

  • 所管:厚生労働省

  • 対象:中小企業

  • 任意制度(取得義務はありません)

この制度は、法定雇用率を満たしているかどうかを確認する制度ではありません。

障害者雇用が安定的・継続的に行われているか、職場として無理のない形で運用されているかといった「中身」を評価する制度です。

障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(厚生労働省リンク)


もにす認定で重視される評価の考え方

雇用人数ではなく「定着・継続性」

もにす認定では、単純な雇用人数よりも、

一時的な雇用になっていないか

✅業務が成立しているか

✅定着に向けた工夫が行われているか

といった「雇用の質と継続性」が重視されています。そのため、認定のために短期間で人数を増やすような取り組みは、審査でも必ずしも評価されるものではありません。


合理的配慮が「属人化」していないか

合理的配慮についても、

  • 特定の上司や担当者の善意だけで成り立っていないか

  • 担当者が変わっても継続できる体制か

といった点が確認されます。

「今の担当者が頑張っているから回っている」状態は、制度上は安定的とは評価されにくい傾向があります。


職場全体としての理解・相談体制

障害者雇用は、当事者と人事担当者だけで完結するものではありません。

  • 周囲の従業員への説明・周知

  • 困ったときに相談できる導線

  • トラブルが起きた際の対応方針

といった 職場全体としての受け止め方 も評価対象になります。

書類が整っていても、実態が伴っていない場合は不認定となる可能性があります。数値要件のみを満たせば認定されるような形式中心ではなく、必要に応じて運用状況の確認や説明を求められることがあります。認定には雇用の定着や運用状況を含めた総合的な確認が行われます。


もにす認定を検討する際の注意点

もにす認定が比較的向いている企業

○すでに障害者雇用の実績がある

○業務内容や配置が整理されている

○配慮や支援が職場のカルチャーとして共有されている

○中長期的に雇用を継続する方針がある

慎重な検討が必要なケース

❓これから初めて障害者雇用を行う

❓担当者が1名に依存している

❓認定取得が目的化している

障害者雇用は短期的には業務調整や支援の負担が生じる場合があります。そのため、助成金制度や支援機関によるサポートが用意されていますが、もにす認定自体は、特定の補助金加点や恒常的な税制優遇を直接付与する制度ではありません。本制度は、短期的な金銭メリットを目的とした「急いで取るための制度」ではなく、現在の障害者雇用体制が安定的に運用されているかを確認・評価する制度として位置づけられています。


他の主要認定制度との違い(くるみん・えるぼし・ユースエール)

もにす認定と比較・混同されやすい他の代表的な国の認定制度と違いを解説します。

くるみん認定

― 育児と仕事の両立支援を評価

  • 主軸:育児休業取得率、行動計画

  • 制度設計・数値要件が明確

  • 両立支援を強化したい企業向け


えるぼし認定

― 女性活躍推進の進捗を評価

  • 主軸:採用・昇進・継続就業

  • 複数段階評価

  • 人事データ管理・制度運用が重要


ユースエール認定

― 若年者の採用・育成・定着を評価

  • 主軸:労働時間・離職率・育成体制

  • 数値基準が明確

  • 書類・制度の再現性が高い


どの認定を目指すべきか|企業の求める認証のかたち

国が認証する制度は損得や「取りやすそうなもの」を選ぶものでもありません。

判断の目安

  • 障害者雇用の安定運用が課題
     → もにす認定

  • 育児・介護と仕事の両立支援を強化したい
     → くるみん認定

  • 女性活躍の数値・制度整備を進めたい
     → えるぼし認定

  • 若年者の採用・定着を重視したい
     → ユースエール認定

認定は自社の人事課題を映す「鏡」として活用することが重要です。


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よくあるご質問(FAQ)

Q1.もにす認定は、法定雇用率を満たしていれば必ず取れますか?

いいえ。法定雇用率を満たしていても、雇用の定着性や職場体制に課題がある場合は認定されないことがあります。


Q2.障害者雇用を始めたばかりでも申請できますか?

申請自体は可能ですが、実態や定着状況によっては慎重な検討が必要です。


Q3.もにす認定と他の認定は同時に目指せますか?

可能なケースもありますが、企業の体制によっては負担が大きくなるため、優先順位を整理したうえで検討することが望ましいです。


Q4.認定を取ると義務や監査は増えますか?

新たな法的義務が直接増える制度ではありませんが、取得後も実態との整合性が求められます。


まとめ|もにす認定は「体制確認の指標」

もにす認定は、障害者雇用に真摯に取り組む企業を評価する制度です。

一方で、実態と合わない形で取得を目指すと、職場への負担やトラブルにつながることもあります。

まずは【自社の人事体制・運用状況を正確に把握すること】それが、どの認定制度を検討する場合でも共通して重要です。


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