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【最新版】職場ハラスメントと離職の関係|人事が押さえる防止策と実務対応(社労士監修)
2025/09/17
はじめに|社員1人の離職が会社に与える本当の損失
「社員が1人辞めるくらい仕方ない」
「うちに合わなかったなら仕方ない」──
経営者の中にはそう考える方もいます。
しかし実際には、離職1人あたり約100万円の採用・教育・生産性損失が発生します。
さらに粗利率30%の事業であれば、この損失をカバーするには約300万円の売上が必要です。
➡ つまり、たった1人辞めただけで「300万円売上が飛ぶ」のと同じ経営インパクトがあるのです。
図表1:主な離職理由ランキング(厚労省調査を参考に編集)
順位 | 離職理由 | 割合(目安) |
1位 | 上司・同僚との人間関係 | 約25% |
2位 | 労働条件(給与・残業・休日など) | 約20% |
3位 | 将来のキャリア不安 | 約18% |
4位 | 職場環境(設備・安全・ハラスメント等) | 約15% |
5位 | 仕事内容のミスマッチ | 約12% |
(出典:厚労省「雇用動向調査」2024年度版を基に当社編集)
➡ 「人間関係」「ハラスメント関連」が離職の最大要因であり、改善可能な部分が大きいことがわかります。
図表2:ハラスメント離職の経営インパクト(採用コスト換算)
項目 | 金額目安 | 補足 |
---|---|---|
採用費用(求人広告・紹介料等) | 約40万円 | 業種により変動 |
教育・研修費用 | 約20万円 | OJT含む |
生産性低下(定着までの機会損失) | 約40万円 | 3〜6か月分 |
合計 | 約100万円 | 離職1人あたり |
➡ 1人辞めれば100万円が失われる。粗利率30%なら300万円の売上が必要になります。
図表3:離職人数と売上換算損失(粗利率30%換算)
離職人数 | 1人あたり損失額 | 必要売上(粗利率30%) | 合計必要売上 |
---|---|---|---|
1人 | 約100万円 | 約333万円 | 333万円 |
2人 | 約200万円 | 約666万円 | 666万円 |
3人 | 約300万円 | 約1,000万円 | 約1,000万円 |
5人 | 約500万円 | 約1,666万円 | 約1,600万円超 |
10人 | 約1,000万円 | 約3,333万円 | 3,300万円超 |
➡ 数人の離職で売上1,000万円規模の損失が発生。
経営者が想定している以上に、離職は重い「経営リスク」なのです。
判例データ|ハラスメントが離職・損害賠償に発展した事例
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電通事件(東京高裁・平成12年9月)
過重労働とパワハラが複合的に背景となり社員が自殺。会社に約1億円の損害賠償命令。
➡ 「企業が職場環境改善を怠ると巨額の責任を負う」ことを示した代表例。 -
ライフマティックス事件(大阪地裁・令和4年2月)
上司の執拗な叱責・無視により部下がうつ病を発症・退職。会社に約300万円の損害賠償命令。
➡ 「精神的負担が離職に直結した」と認定されたケース。 -
町長セクハラ事件(令和6年・地方裁判所)
一度の身体接触でも、立場や職場環境によってセクハラと認定。
➡ 「継続性がなくても違法」と判断され、離職と損害賠償に直結。
最新統計データ(厚労省・労働局調査)
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厚労省「職場のハラスメントに関する実態調査」(2024年)
→ 正社員の約3人に1人が「過去3年間でパワハラを経験」と回答。
→ そのうち 約45%が「転職・退職を考えた」と回答。 -
東京都労働局「職場トラブル白書」(2024年版)
→ 相談件数の最多は「ハラスメント」。
→ 離職・メンタル不調・訴訟に発展するケースが年々増加。
➡ データからも「ハラスメント=離職リスク」であることは明白です。
退職代行で辞められない会社になるために ― 経営者が今すぐ取り組むべき労務改善 ―
事例演習|経営者に問う「この時どうする?」
ケース1:営業部の若手が突然退職を申し出た
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背景:上司から「売上が悪いなら辞めろ」と日常的に叱責されていた
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経営インパクト:採用・教育コスト100万円+売上換算損失300万円
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対応の考え方:
✔ 上司の指導スタイルの是正
✔ 外部相談窓口での匿名相談ルートを確保
ケース2:ベテラン社員が「モチベーションが下がった」と発言
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背景:年下上司からの無視・軽視発言が続き、職場で孤立
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経営インパクト:スキル流出・採用困難で代替人材確保に半年以上
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対応の考え方:
✔ 1on1面談で「声を拾う」仕組みを構築
✔ 公平な評価制度で「年齢に関係ない評価」を保証
ケース3:匿名アンケートで「セクハラがある」と回答
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背景:管理職が部下に身体接触を繰り返していた
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経営インパクト:離職だけでなく訴訟・損害賠償リスク
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対応の考え方:
✔ 外部相談窓口での速やかなヒアリング
✔ 管理職研修(ハラスメント防止教育)の徹底
経営者が押さえるべき5つの防止策
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ESアンケート(従業員満足度調査)
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1on1面談
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キャリア面談制度
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公平な評価制度
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外部相談窓口
まとめ|「ハラスメント離職」は経営課題そのもの
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1人の離職=300万円売上損失
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数人の離職=1,000万円規模の経営損失
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裁判・判例=数百万円〜億単位の損害賠償リスク
➡ ハラスメント対策は「人事問題」ではなく「経営戦略」です。
仕組み化(アンケート・面談・外部窓口)が、離職防止と経営安定につながります。
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