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退職代行業者を使って辞められた会社の経営者が考えるべき問題

2019/10/04

強力な新規参入業者と全国へ広がる退職代行サービス

最近なにかと話題の『退職代行サービス』。顧問先や同業者でも話題に上がることがあります。本格的に最初に事業化したと言われている『EXIT(イグジット)』社に始まり、類似の代行業者は東京、大阪の都市部だけでなく全国に広がり、一昨年までは流行りとまで言われ軽く見られていた退職代行サービスは、いまや大手弁護士事務所や労働組合(ユニオン)の参入によってひとつの業界となり活況と広がりを続けています。

退職代行サービスと弁護士法72条(非弁行為)との関係や退職代行業者を利用する労働者の賛否については別の方に任せるとして、ここまで社会に支持されることになった退職代行サービスについて、経営者であれば労働者側と経営者側から問題点を理解しておく必要があります。

労働者側の問題

全国380か所に設置された労働局管轄の『労働相談窓口』の相談件数(1,117,983件)のうち、第一位が「いじめ・嫌がらせ(82,797件)」による相談、第二位が『自己都合退職(41,258件)』第三位に『解雇(32,614件)』と続きます。こちら第二位の『自己都合退職』がまさに、辞めたいのに辞めさせてくれない「退職引き留め(在職強要)」の相談であり、人手不足・採用難の副作用と言ってもいいほど多くの人が悩んでいることがわかります。人手不足の中小企業では一人退職してしまうと事業に大きな穴が開き経営にも大きな影響を与えることがあるため、過度な引き留め行為を行ってしまうことも十分想定できます。相談の中には、「辞めるならば給料は払わない」、「辞めると損害賠償請求する」、「辞めると次の仕事に影響する」など、脅しと捉えられても仕方の無いような引き留め工作する事業主も大変多いと言います。特に経験の浅い若年層などは法的根拠の無いうえ法律違反ともなりかねない無駄な脅しを信じてしまい、本当にそうされるのではないかと心を病む人もいます。実際に当社にも会社を辞めたいけれど相談できる人がいない方が訪れることが何度もあります。

周りの人や上司にも相談できず、また家族にも自身の苦しみを理解してもらえない労働者の救済としてはやはり退職代行業者は必要なサービスなのでしょう。

(出典:厚生労働省平成30年度個別労働紛争解決制度の実施状況)

会社側の問題

退職代行業者を使って従業員に辞められたことをホームページに謳う事業主は存在しないため、不名誉なことであると多くが認識していると思われます。当事務所は顧問先も少なく、また中小企業・小規模事業者が大半のため運よく退職代行業者の通知を受け取った顧問先事業主はいませんが、同業者の中では経験している事務所も多くあります。専門家なだけあって、退職代行業者の善悪や法適合性に頭が向かう人が多いのは残念ですが、『退職代行業者を使ってまで辞めたかった会社』の原因は何なのかを事業主は考えなければなりません。おそらく代行業者を使うということは、直接言い出せない何らかの理由があったことが想定され、それは社内で頼れる相談相手がいなかったことが想像できます。若者の行動パターンは理解できないといつの時代でも言われますが、「日常的なハラスメント行為は無かったか」、「上司の教育指導は適切であったか」、「職場のコミュニケーションは円滑に行われていたか」、「退職者を冷遇するような社風ではないか」など、職場環境について反省するよい機会と受け止めるしかありません。部下が退職すると困る上司も多いため、組織のマネジメント問題として経営者が知らないところで常態化していることもあります。さすがに退職代行業者からの通知を経営陣に隠すことはできませんので、自社で受け取った際には社内に問題点が必ずあると考え改善に取り組む必要があります。強気で放置すると退職代行業者へおいしい仕事を与えるだけならまだしも、裁判となるような紛争に発展すれば企業は大きなダメージを受けることになります。退職代行業者の退職成功率はどこでもほぼ100%で退職に抗うことは徒労であり、代行業者経由であれ退職通知を受けた以上は退職を諦めて反省するしか方法はありません。

『退職代行業者』は多いのに『解雇代行業者』はなぜいないのか

ふと疑問に思う方も多いと思います。退職支援業者がいるならばその反対の解雇代行サービスがあってもおかしくないはずです。しかし、退職は本人の通知で成立しますが、解雇するためには法律上の要件が極めて厳しく、また解雇に相当しないような従業員を解雇してしまうと訴えられて『倍返し』ということも十分に想定されます。解雇制限が日本よりも緩い米国では解雇代行サービスがあるようですが、日本の法律ではコストに見合わないと考えるのが普通です。特に経営危機に陥っていない中小企業が普通に働いている解雇不相当な従業員を解雇しようと思ってもまず不可能で、弁護士等のプロ中のプロが万が一受任したとしても、一人当たり数百万円以上の手数料をもらわなければ割に合いません。パワハラ上司やモンスター新入社員ならば解雇することは可能ですが、問題の無い従業員は法律で厳格に保護されており、いくら偉い先生でも法律を突破する道はありません。

おわりに

企業を経営していると人に関して様々な問題が発生し、また悩みが尽きることはありません。反面、働く人達も同様にそれぞれの立場で違う悩みがあり、会社経営の構造上気持ちが一致することは稀ですが、退職に至るほどの悩みは事業主の努力で予防することはできるはずです。採用・教育コストを投下し将来を期待した従業員が退職することは経営にとってマイナスでしかありませんが、会社に言い分があるのならば退職代行を使ってあっさり辞めてしまった社員にもそれぞれ言い分があります。既に退職代行業者の通知を受け取ってしまった事業主が取る行動は、退職者を責めて報復したり、退職代行業者を逆恨みすることではありません。やむを得ない退職もあれば企業側に問題のある退職もありますが、できる限り人事問題の無い経営を心掛け、退職者を減らす努力を怠ることの無いようにすることが人手不足・採用難の現代に大切な経営感覚です。

 

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