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【最新版】採用コストの実務ガイド|1人辞めたらいくら損かを経営数字で解説(社労士監修)
2025/09/17
はじめに|採用コストは「経営数字」で考える時代
「社員が1人辞めても、また採用すればいい」──
そう考える経営者は少なくありません。しかし社員はいくらでも使い捨て、無料のハローワークに求人掲載していればいくらでも応募が来たのは昭和時代の話。
現代の中小企業では応募も集まらず採用すら困難で、実際には1人の離職で採用・教育・生産性低下など合計100万円以上のコストが発生します。
さらに粗利率30%の事業では、300万円の売上が必要となります。
➡ 離職は「経営インパクトの大きい損失」であり、軽視できません。
図表1:採用コストの内訳(1人あたり)
項目 | 金額目安 | 補足 |
---|---|---|
求人広告・紹介料 | 約30~50万円 | 求人媒体や人材紹介利用で変動 |
採用担当者の工数 | 約10~20万円 | 面接・事務対応時間を換算 |
教育・研修費用 | 約20万円 | OJT・社内研修費用 |
生産性低下(定着までの機会損失) | 約30~50万円 | 即戦力化に3〜6か月必要 |
合計 | 約100万円以上 | 離職1人あたりの損失額 |
図表2:売上換算で考える採用コスト
粗利率30%の事業を例にすると、採用損失100万円を埋めるには以下の売上が必要です。
離職人数 | 損失額 | 必要売上(粗利30%) |
---|---|---|
1人 | 100万円 | 333万円 |
3人 | 300万円 | 1,000万円 |
5人 | 500万円 | 1,666万円 |
10人 | 1,000万円 | 3,333万円 |
➡ たった数人の離職で、数千万円規模の売上が必要になります。
図表3:業種別の採用コスト平均(1人あたり目安)
(出典:経団連「採用に関するアンケート調査」2024年版、厚労省調査等を基に当社編集)
業種 | 採用コスト目安 | 備考 |
---|---|---|
製造業 | 約80〜100万円 | 技能習得にOJTが必要で教育コスト高 |
飲食・小売 | 約60〜80万円 | 離職率が高く、採用繰り返しによる累積コスト増 |
医療・福祉 | 約90〜120万円 | 有資格者確保に紹介料が高騰 |
IT・情報通信 | 約100〜150万円 | 専門人材の採用競争が激化 |
建設業 | 約90〜130万円 | 現場即戦力人材の確保が難しく高騰傾向 |
平均(全業種) | 約90万円前後 | 経団連調査の新卒採用平均値 |
※数値はあくまで目安です。企業規模や地域によって変動があります(中小企業では相対的に高く出る傾向あり)。
➡ 業種によって差はありますが、中小企業にとっては「1人採用=100万円前後」のインパクトと考えてよいでしょう。
採用難時代の現実|統計データから見る採用コスト増
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厚労省「雇用動向調査」(2024年版)によると、中途採用の求人倍率は過去最高水準。
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経団連調査(2024年)では、新卒採用1人あたりコストは平均約90万円と報告。
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特に中小企業では「求人広告を出しても応募ゼロ」という声も増加。
➡ 採用が難しい時代だからこそ、「採用コストを減らす=離職を減らす」ことが最大の経営対策です。
採用コスト削減の実務ポイント
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離職防止を最優先に
採用を繰り返すより、社員を定着させる方がコスト効率が高い。 -
適正な採用チャネル選び
求人媒体・紹介会社・リファラル採用を比較し、費用対効果を分析。 -
教育・OJTの仕組み化
教育に属人性をなくし、マニュアル化・研修制度で効率化。 -
評価・キャリア支援との連動
「採用して終わり」ではなく、キャリア面談・1on1で長期定着を支援。 -
外部支援の活用
求人広告や採用フローを専門家に見直してもらうことで無駄を削減。
ケーススタディ
製造業A社(社員20名)
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毎年3人離職 → 年間コスト約300万円+売上換算1,000万円損失。
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対策:1on1面談+外部相談窓口導入 → 離職1人まで減少。
飲食業B社(社員15名)
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求人広告に毎月30万円投下 → 応募ゼロが続く。
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対策:社員紹介制度+キャリア面談 → 採用成功率が向上しコスト削減。
チェックリスト ✔(経営者・人事担当者用)
□ 採用コストを「数字」で把握しているか
□ 離職1人あたりの売上換算額を試算したか
□ 教育・研修にかかる時間と費用を可視化しているか
□ 定着率向上の施策(面談・相談窓口)を導入しているか
□ 採用チャネルの費用対効果を比較しているか
FAQ(よくある質問)
Q1:採用コストはどのくらいかかるのですか?
A1:中途採用では1人あたり約100万円(求人広告・教育・定着までの損失を含む)が目安です。新卒採用では約90万円前後といわれています。
Q2:小規模企業でも採用コストはかかりますか?
A2:はい。むしろ採用難の時代は、小規模企業ほど求人広告や人材紹介費用が高くつく傾向があります。
Q3:採用コストを削減するにはどうすればいいですか?
A3:離職防止が最大のコスト削減策です。ESアンケートや1on1面談で定着率を高めることで、採用の繰り返しを減らせます。
Q4:売上換算で考える必要があるのはなぜですか?
A4:採用損失は「見えにくい経費」ですが、粗利率で換算すると経営インパクトが明確になります。例:粗利率30%の会社では100万円損失=300万円売上が必要。
Q5:外部相談窓口の設置は採用コスト削減に役立ちますか?
A5:はい。社員が辞めない仕組みをつくることが採用コスト削減に直結します。ハラスメントや不満を早期に拾う外部窓口は有効です。
Q6:どのくらいの頻度で採用コストを見直すべきですか?
A6:年1回、決算や人事評価時期に合わせて見直すと、経営戦略と連動しやすくなります。
まとめ|「採用コスト削減=離職防止」
採用コストは1人あたり100万円以上。
離職は売上換算で数百万円~数千万円規模の損失。
➡ 経営者がまず取り組むべきは「採用」よりも「定着」。採用は投資、定着は利益回収です。
仕組み(面談・評価制度・外部窓口)を整えることが、最強の採用戦略になります。
▶離職防止の実務ガイド|中小企業・人事担当者が押さえる5つの仕組み
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