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【2026年版】“指導ミス”がハラスメント認定される時代の実務ガイド

2025/11/13

監修:RESUS社会保険労務士事務所(社会保険労務士 山田雅人)


はじめに|2026年、最も誤解されるのは“指導”

2024〜2025年の相談傾向を見ると、「パワハラをするつもりは一切なかった」という管理職の“指導ミス”が背景にあるとみられるトラブルが激増しています。

特に問題化しやすいのは次のポイント:

  • 本人は“通常の指導”のつもり

  • 部下は“威圧・否定・人格攻撃”だと認識

  • チャットの一言が“圧”に見える

  • 表情・態度・声のトーンが“怖い”と受け取られる

  • 評価・指導・叱責の境界線が曖昧

  • 世代間で「言い方の基準」がまったく違う

2026年以降は、意図 < 影響(受け手基準)がさらに重視されるため、指導ミスはますます問題化します。特に「指導」と「叱責」の境界線が曖昧な場合、受け手が“攻撃された”と感じやすく、ハラスメント認定のリスクが高まります。

本ガイドでは、実際の相談傾向をもとに“指導ミス”の典型50例企業が取るべき実務対応 を徹底整理します。

※特定の個人・企業とは一切関係ありません。


1.“指導ミス”が招くトラブル50分類


①「言い方ミス」指導(10例)

  • トゲのある言い方

  • 大きなため息をつきながら指導

  • 表情が険しいまま話す

  • 「ちゃんとしろよ」

  • 「普通これくらいできるよね」

  • 「考えればわかる」

  • 語尾を強く言う、早口でまくしたてる

  • 相手の話を遮る

  • イライラしているのが明らか

  • DMで短文・圧強めで送る

“意図なし圧”の典型。最も誤解される指導領域。


②「人格否定に見える」指導(10例)

  • 「向いてないんじゃない?」

  • 「なんでこんな簡単なこともできないの」

  • 「頭使ってる?」

  • 「この仕事に向いてない」

  • 過去のミスを蒸し返す

  • 職務外の性格面を叱る

  • 皆の前で叱る

  • 一部だけ過度に厳しい

  • できていない前提で話す

  • 成果よりミスだけ注目する

“能力否定 → 人格否定”は相談窓口に必ず上がる。


③「曖昧すぎる」指導(10例)

  • 「ちゃんとやって」

  • 「もっと考えて」

  • 「いい感じにまとめて」

  • 目的・基準が示されない

  • 期限が曖昧

  • 指示が毎回違う

  • 上司AとBで方針が逆

  • 本人の中だけで基準が変わる

  • チャットで断片的な指示

  • 「察して改善」を求める

曖昧=部下に責任転嫁されたと感じやすい。

※曖昧指示は「伝えた VS 伝わっていない」の認識ズレを生み、録音・チャット時代の最大トラブル要因。


④「場とタイミングのミス」(10例)

  • 公開の場で叱責

  • 周囲に聞こえる場所で注意

  • 帰宅直前に叱る

  • 深夜のメッセージ

  • 1対1の密室で長時間指導

  • 相手が明らかに疲れている時に指導

  • 朝イチで強く叱る

  • 昼休憩中に話しかける

  • 業務時間外の電話指導

  • DMで長文説教

場の設定ミスだけで“ハラスメント”認定されるケースが急増。公開の場での叱責は、厚生労働省のパワハラ指針でも典型例として示される最もリスクの高い行動です。


⑤「過干渉・距離感ミス」指導(10例)

  • 成果より“私生活”を詰める

  • 個人的な価値観を押し付ける

  • 生活習慣へのアドバイス

  • DMでプライベートに踏み込む

  • 外見・身だしなみの不適切コメント

  • 個別で食事に誘い“指導”

  • 過度に褒める(負担感)

  • 無意識の個室誘導

  • 近距離で話し続ける

  • 気分で距離が変わる

「距離感ミス × 指導」はトラブル率が最高レベル。

※職務に必要な範囲の指導は問題ありませんが、必要性を超える外見コメントはハラスメント認定されやすい領域です。


2.なぜ“指導ミス”がハラスメントになるのか


● 世代間の「指導の基準」が完全に違う

昭和世代:
‐ 厳しさ=教育
‐ 背中で学ぶ
‐ 感覚で伝える

Z世代:
‐ 説明・言語化・透明性
‐ 目的・基準の提示
‐ 感情的な指導に強い拒否感


● 記録文化(チャット・録音)の影響

  • 表情・態度・声のトーンは“証拠化”しない

  • 文字にした指導だけが残り、誤解が増える
    短文・圧強めのDMは特に問題になりやすい。


● 判断基準は“意図ではなく影響”

管理職側:
「指導のつもりだった」

部下側:
「怖かった」「責められた」「圧だった」

→ 意図に関係なく“影響”が重視される。


3.企業が整備すべき実務対応(2026年必須)


① 指導の「言語化基準」の整備

  • 指示は目的・期限・基準セット

  • ミス指導は「事実→影響→改善」の順

  • 人格・性格への言及は禁止

  • 期待値すり合わせの実施

→ これだけで指導ミスが半減。


② 管理職研修(最重要)

  • 言い方ハラスメント対策

  • 非言語コミュニケーション

  • 心理的安全性のつくり方

  • 質問を歓迎する姿勢

  • 公正な評価と説明

  • “察して指導”の排除

ハラスメント予防研修
管理職アサーティブ研修


③ チャット・DM・メールのルール整備

  • 絵文字・短文で圧を与えない

  • 深夜連絡禁止

  • 公開叱責禁止

  • 曖昧語“禁止リスト”の作成


④ 外部相談窓口の導入

“指導ミス”は社内では言いづらい典型。
第三者の外部相談窓口があることで早期発見が可能。

法人向け外部相談窓口(月額5,500円)


4.自己診断チェックリスト(10)

□ 指示が曖昧だと自覚がある
□ 気分で態度が変わる
□ 非言語の圧があると言われたことがある
□ 質問されるとイラつく
□ DMが短文になりがち
□ 説明が面倒に感じる
□ 同じ人ばかり叱っている
□ 場所・時間を選ばず指導してしまう
□ 性格に言及してしまう
□ 外部相談窓口がない


5.まとめ|2026年、“指導ミス”は最大の企業リスク

  • ハラスメント意図ゼロでも発生

  • 記録文化×受け手基準で問題化

  • 研修・ガイドライン・外部窓口が不可欠

  • RESUSは「指導×ハラスメント」の専門支援を提供

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自社の状況に合わせた“指導ミス防止”の整備も可能ですので、お気軽にご相談ください。

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