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なぜ部下は突然辞めるのか|管理職に必要な“気づく力”と異変のサイン

2026/05/28

「突然辞めると言い出した社員」は、本当に突然なのでしょうか

近年、企業の人事・労務相談の現場では、

・ある日突然退職代行から連絡が来た
・メンタル不調で長期休職となった
・ハラスメント申立てが突然行われた
・「相談しても無駄だと思った」と言われた

というケースが増えています。しかし、実際に第三者ヒアリングや相談対応を行っていると、多くのケースでは“前兆”が存在しています。

問題は、「前兆が無かった」のではなく、「周囲が気づけなかった」というケースが非常に多いという点です。

特に管理職は、

・業務指示
・進捗管理
・数字管理
・トラブル対応

だけでなく、「部下の変化に気づく役割」も求められる立場です。

そして現在では、単に“自分がハラスメント行為をしない”だけでは不十分であり、

・相談を軽視した
・異変を放置した
・初動対応を誤った
・部下同士の問題を見逃した

こと自体が、後から問題視されるケースも増えています。

管理職に求められる「気づきの3段階」

職場の人間関係やマネジメントにおいて、気づきには段階があります。

レベル1:存在に気づく

これは最も基本的な段階です。

・部下がいる
・出勤している
・会議に参加している
・業務をしている

という“存在認識”の段階です。

もちろん重要ではありますが、この段階だけでは、職場の異変はほとんど見えてきません。

「ちゃんと出勤しているから大丈夫」
「特に何も言ってこないから問題ない」

という認識だけでは、実際の不調や不満は見逃されやすくなります。

レベル2:行動に気づく

次に重要なのが、“変化”に気づくことです。

例えば、

・雑談が減った
・会議で発言しなくなった
・報連相が急に減った
・メール返信が遅くなった
・ミス報告を隠すようになった
・急に過剰な謝罪が増えた
・遅刻や欠勤が増えた

などです。

実際、ハラスメント相談や退職相談の前には、何らかの行動変化が起きているケースが少なくありません。特に、それまで普通に雑談していた部下が急に必要最低限しか話さなくなるケースは、現場では比較的重要なサインとなる場合があります。

ただし、この段階でもまだ不十分な場合があります。

なぜなら、「行動」だけを見ていると、誤解が起きるからです。

レベル3:気持ちに気づく

管理職として最も重要なのが、この段階です。

例えば、

・なぜ急に発言しなくなったのか
・なぜ相談できなくなったのか
・なぜ萎縮しているのか
・なぜ報告を避けるのか

という“背景感情”を想像できるかどうかです。

実際には、

・怒られる不安
・否定される恐怖
・孤立感
・諦め
・「相談しても無駄」という感覚

を抱えているケースも少なくありません。しかし、行動だけを見てしまうと、

「やる気がない」
「反抗的」
「コミュニケーション不足」
「最近態度が悪い」

という評価だけで終わってしまうことがあります。

これが、管理職と部下との間に大きな認識ギャップを生みます。

「相談してくれればよかった」は、現場ではよく起きます

実際の相談現場では、

「そんなに悩んでいるとは思わなかった」
「相談してくれれば対応したのに」

という声は非常によく聞かれます。しかし、相談する側からすると、

・否定されそう
・大げさと思われそう
・評価が下がりそう
・我慢不足と思われそう
・結局変わらないと思った

という不安を抱えていることがあります。管理職側は「いつでも相談してほしい」と思っていても、部下側は「この程度で相談してよいのか」と悩み続けているケースも少なくありません。

つまり、“相談しなかった”のではなく、“相談できなかった”というケースも多いのです。

「問題行動」だけを見てしまう管理職のリスク

管理職が注意すべきなのは、“結果だけ”を見てしまうことです。

例えば、

・遅刻
・ミス
・報告漏れ
・態度不良
・会議中の無反応

だけを見ると、「本人の意識の問題」に見えてしまうことがあります。しかし実際には、

・過度な叱責
・萎縮
・心理的安全性の欠如(「失敗や相談をすると否定される」「本音を言いづらい」と感じる状態)
・人間関係悪化
・相談しづらい空気

などが背景に存在する場合もあります。もちろん、すべてをハラスメントと決めつける必要はありません。

ただ、「なぜそうなっているのか」を一度立ち止まって考えられるかどうかで、職場環境は大きく変わります。

心理学的に見ても「感情への気づき」は重要です

心理学やコミュニケーション論の分野でも、

・傾聴
・共感
・心理的安全性
・非言語コミュニケーション

の重要性は広く指摘されています。

人は必ずしも、本音をそのまま言葉にするわけではありません。

特に職場では、

・立場
・評価
・人間関係
・雇用不安

などが影響するため、本音を抑えているケースも少なくありません。

そのため、

・表情
・声量
・反応速度
・視線
・雑談量
・空気感

など、“言葉以外の変化”に気づける管理職は、トラブル予防力が高い傾向があります。

「気づき」は特別な才能ではありません

ここで重要なのは、“気づける人”は、特別なカウンセラー能力を持っているわけではないという点です。

むしろ、

・普段から短い声掛けをする
・否定から入らない
・話を途中で遮らない
・小さな変化を覚えている
・雑談を軽視しない

といった、日常的な関わり方の積み重ねが大きいのです。

逆に、

・数字だけを見る
・感情を軽視する
・「それくらい普通」と一般化する
・結果論で叱責する

職場では、部下が徐々に相談を諦めていくことがあります。

ハラスメント防止は「問題発生後」では遅いこともあります

現在のハラスメント対策では、

・研修実施
・相談窓口設置
・規程整備

などが重視されています。

もちろん重要ですが、それだけで職場トラブルが完全に防げるわけではありません。

実際には、「管理職が現場で小さな異変に気づけるか」が非常に重要です。

なぜなら、多くの問題は、

・孤立
・萎縮
・不公平感
・不信感

が徐々に積み重なって発生するからです。そして、本人が限界を超えた後では、

・突然退職
・休職
・労務トラブル
・SNS投稿
・外部通報
・法的紛争

へ発展するケースもあります。

管理職に必要なのは「正解を当てる力」ではありません

誤解されやすい点ですが、管理職に必要なのは、「心理分析を完璧に行うこと」ではありません。

むしろ重要なのは、

「何か違和感がある」
「いつもと少し様子が違う」

という小さな変化を放置しないことです。

実際には、

「最近どう?」
「無理していない?」
「何か困っていることある?」

という短い声掛けだけで、救われるケースもあります。

もちろん、すべての問題を管理職だけで抱え込む必要はありません。

必要に応じて、

・人事部門
・外部相談窓口
・専門家
・産業医等

へ適切につなぐことも重要です。

まとめ|「気づく力」は管理職の重要な責任です

現在の職場では、「言われたことを管理するだけの上司」ではなく、「小さな異変に気づける管理職」が求められる時代になっています。

そしてその“気づき”は、

・離職防止
・ハラスメント予防
・メンタル不調予防
・職場環境改善
・相談しやすい組織づくり

につながります。

特別な心理学知識よりも、「相手の変化を見ようとする姿勢」そのものが重要なのかもしれません。

FAQ(よくあるご質問)

Q. 管理職が部下の感情まで把握する必要はあるのでしょうか?

すべてを把握する必要まではありません。ただし、近年は、心理的安全性の面から、相談しやすい環境づくりやハラスメント予防の観点から、“変化への気づき”は管理職の重要な役割と考えられます。部下の変化に気づかなかったり、放置すると、トラブルへ発展する場合があります。

Q. 厳しく指導すると、すぐハラスメントになるのでしょうか?

必ずしもそうではありません。業務上必要かつ相当な範囲の指導であれば、直ちにパワハラとなるわけではありません。人格否定、威圧的言動、過度な叱責、公開叱責、長時間拘束などは問題化しやすいため注意が必要です。また、同じ指導内容でも“部下側がどう受け止めているか”によって、職場環境への影響が変わる場合があります。

Q. 管理職向けハラスメント研修では、こうした内容も扱われますか?

はい。当事務所では、管理職向けのハラスメント防止研修を実施しております。ハラスメントを起こさないための実践的なテクニックとして、「部下への気づき」のセクションを盛り込み、気づきを促し、行動変容へつなげるプログラム構成となっております。

Q. 部下の様子を気にしすぎると、逆に過干渉になりませんか?

もちろん、私生活や感情面へ過度に踏み込みすぎることは適切ではありません。重要なのは、「監視」ではなく、「変化に気づいた時に適切な声掛けや配慮ができるか」という点です。管理職がすべてを解決する必要はなく、必要に応じて人事部門や外部相談窓口等へつなぐことも重要です。

管理職向けハラスメント・相談対応研修のご案内

小さな違和感の放置が、後の離職・休職・ハラスメント問題へ発展するケースも少なくありません。

RESUS社会保険労務士事務所では、

・管理職向けハラスメント防止研修
・相談対応研修
・初動対応研修
・グレーゾーン対応
・外部相談窓口
・第三者ヒアリング

等に対応しております。

特に近年は、

「どこまで指導してよいのか分からない」
「部下との距離感が難しい」
「相談対応に自信がない」

という管理職層からのご相談も増えております。

対面・オンライン双方対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

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