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【2025年対応】介護事業所のBCP策定ガイド|義務化対応の書き方と様式
2025/09/07
■ はじめに|介護事業所のBCP義務化とは?
2024年4月から、すべての介護サービス事業者に対して「感染症および災害時の事業継続計画(BCP)」の策定が義務化されました。
これは、感染症や地震・豪雨等の自然災害の発生時でも、サービス提供の継続や早期再開を可能にするために必要な計画であり、「職員と利用者の命を守る」体制整備が目的です。
義務化に対応していない場合は、以下のようなリスクがあります:
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【行政指導・監査対応】での指摘・改善命令
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【介護報酬の減算】の可能性(特定加算の要件対象など)
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【事故発生時】に安全配慮義務違反とみなされるリスク
■ BCP策定の対象サービス(義務化対象)
対象サービス例 |
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特別養護老人ホーム(特養) |
介護老人保健施設(老健) |
グループホーム |
デイサービス(通所介護) |
訪問介護・訪問看護 |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) |
介護付き有料老人ホーム |
小規模多機能型居宅介護 |
■ BCP策定の様式(厚労省が提示)
以下の3様式をもとに作成します:
● 様式1|全体方針と基本情報
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法人・事業所名、責任者の氏名
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災害・感染症対応における全体方針の明示
● 様式2|感染症発生時の対応手順
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感染症発生時の対応フロー
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連絡体制/物資確保/ゾーニングの対応など
● 様式3|自然災害時の対応手順
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地震・風水害等への備え
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避難誘導/連絡体制/備蓄品の一覧 など
様式テンプレート(Word形式)は厚生労働省の公式サイトからダウンロード可能です。
■ 国への提出は不要?|BCP義務化を果たすための3つの実施要件
BCP策定は 義務化されているものの、完成した計画書を厚生労働省や都道府県に提出する必要はありません(原則として届出不要です)。
ただし、「作っただけ」では義務化対応とは認められません。
以下の 3つの項目すべてが実施されてはじめて、義務を果たしたと評価されます。
要件 | 内容 |
① BCPの策定 | 厚労省様式(1~3)に沿って、災害・感染症時の事業継続計画を文書化しておく。様式は施設内に保管し、職員が確認できる状態に。 |
② 訓練の実施 | 年1回以上、感染症対応・災害対応の訓練を実施し、日時・参加者・内容の記録を残す。実地・机上・ロールプレイいずれでもOK。 |
③ 周知・教育の実施 | BCPの内容を、全職員(非常勤・夜勤職員含む)に説明・共有していること。新任職員への研修でもOK。周知記録があると理想的です。 |
✅ 注意点:提出不要でも、監査や加算でチェックされます
BCPの整備状況は、以下のタイミングで確認されることがあります:
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実地指導・監査・指定更新時の書類確認
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介護報酬の加算(災害対策加算など)算定時
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災害や感染症発生時の対応報告 など
BCPが未整備、または訓練・周知がされていない場合は、
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介護報酬の減算
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行政からの改善指導
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安全配慮義務違反のリスク
につながる可能性があります。
▶ 補足:自治体から提出を求められることはある?
原則、提出は不要ですが、以下のようなケースでは 自治体からの提出要請がある場合も:
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介護報酬加算の算定申請(例:災害対策強化加算)
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指導監査・指定更新時の事前資料提出
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災害・感染症が実際に発生したあとの報告対応
▶ 義務化達成チェック(早見表)
内容 | 必要性 |
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BCP計画書の整備 | ✅ 必須(厚労省様式1~3) |
厚労省や都道府県への提出 | ❌ 不要(施設内保管でOK) |
年1回以上の訓練実施 | ✅ 必須(記録を残す) |
職員への周知・研修 | ✅ 必須(新任者も対象) |
自治体からの提出要請対応 | △ 状況により必要になる場合あり |
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■ 書き方のポイント|BCP策定で押さえるべき5つの視点
ポイント | 内容 |
1. 現場の実態に合った計画にする | 決して形式だけの記載にせず、「現場で本当に機能する内容」に。職員配置や連絡方法、夜勤体制なども踏まえて記載しましょう。 |
2. 役割分担を明確に | 「誰が、何を、いつ、どのようにするか」を具体化。曖昧な表現は避けましょう。 |
3. 連絡体制の整備 | 緊急時の連絡網・バックアップ連絡手段(LINE・個人携帯など)も記載しておくと実効性が高まります。 |
4. 備蓄と物資調達 | マスク・消毒液・食料・水などの最低3日分の備蓄体制。供給業者の確保状況も記載。 |
5. 毎年の訓練・見直し計画 | 年1回以上の訓練実施と、定期的な見直し・改善サイクルを盛り込むと、義務化への適合性が高くなります。 |
■ よくある事例・質問
● 記載例①|避難誘導の対応フロー(様式3)
「夜間に地震発生した場合、夜勤者1名が非常通報ボタンで管理者へ通報 → 初動体制にて利用者誘導 → 災害対策本部設置(管理者が現地到着後)」
● 記載例②|感染症発生時の流れ(様式2)
「発熱者が出た時点で感染対策責任者へ報告。ゾーニング開始、関係者への連絡、医師連携で対応判断。関係機関(保健所、家族)への通報は管理者が行う」
■ 策定後にやるべき「3つの運用ポイント」
項目 | 内容 |
訓練実施 | 年1回以上、災害・感染症を想定した訓練を行い、記録を残すことが義務です。 |
点検と見直し | 少なくとも年1回、BCPの記載内容が現場とズレていないかを点検・修正しましょう。 |
関係者への周知 | 新人職員を含めた全スタッフへ定期的に説明・共有することで、計画が“活きたもの”になります。 |
■ よくある質問(FAQ)
Q. 厚労省の様式で提出しないとダメ?
→ はい。原則として、厚労省の様式1~3をもとに整備する必要があります。
ただし、法人内で様式を統一する場合や加筆アレンジは認められるケースもあります。
Q. 小規模事業所でも対象ですか?
→ 対象です。 職員数・定員数に関係なく、すべての介護サービス提供事業者が義務化の対象です。
Q. 書類だけ作って終わりでいい?
→ いいえ。 BCPは「計画」だけでなく、「訓練」「点検」「周知」まで実施することが求められます。
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