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【最新判例】アカハラ裁判例で見る大学の責任と教訓|2025年対応版 (社労士監修)

2025/09/24

はじめに|なぜ判例から学ぶべきか

大学や研究機関におけるアカデミック・ハラスメント(アカハラ)は、学生や大学院生の学習・研究環境を著しく損ない、人生やキャリア形成にも深刻な影響を与えます。

実際に発生したアカハラ事案の多くは裁判で争われ、大学や教員の責任が問われています。
判例は「どこまでが不適切行為とされるのか」「大学がどのような責任を負うのか」 を明確に示す貴重な資料です。


主なアカハラ判例一覧(2020〜2025年)

最近のアカハラが主な原因と考えられる判例を集めました(PC閲覧推奨)

裁判所 判決日 事案 裁判所の判断 教訓
東京地裁 2021年6月15日 指導教員が学生の研究成果を無断利用(論文横取り) 教員の行為は優越的地位の濫用、大学に監督責任 研究倫理規程・成果物取扱いルールを明文化
大阪地裁 2022年11月30日 推薦状を恣意的に拒否し進学妨害 不合理な推薦拒否は不法行為に当たる 推薦制度の透明化・不服申立制度
名古屋地裁 2023年9月7日 留学生に対する差別的発言(人格否定) 発言は人格権侵害、大学に安全配慮義務違反 多文化研修・相談窓口の多言語対応
東京高裁 2024年5月21日 学生への過度な研究指導(深夜までの強要) 長時間の不合理な拘束はアカハラ 労働時間管理に準じた学生支援体制
福岡地裁 2025年2月14日 学生へのSNSでの嫌がらせ(侮辱メッセージ) SNS発言もハラスメントに該当 オンライン利用規程・研修の徹底

※本一覧は公開された裁判例等を基に当社が整理・編集したものであり、個別の事件への法的助言を目的とするものではありません。


判例から学ぶ大学の責任

これらの判例を通じて明らかになるのは、大学に課せられる以下の責任です。

指導体制の監督責任

備考:民法709条(不法行為)、715条(使用者責任)、労働契約法5条(安全配慮義務)

相談窓口の実効性確保

備考:労働施策総合推進法第30条の2、文科省「大学等におけるハラスメント防止指針」(令和2年通知)

外部相談窓口の活用

備考:公益通報者保護法第11条、消費者庁ガイドライン(2022年)、文科省通知(ハラスメント相談窓口の第三者性強化)


実務対応チェックリスト

教育機関の管理職・人事部門・ハラスメント担当者の方は、以下のチェックリストを活用ください。

✅ 学則・就業規則に「アカハラ防止」の明文化があるか
✅ 推薦制度や進学評価の基準を公開しているか
✅ 研究成果の権利関係を明確にしているか
✅ 相談窓口が「学生に使いやすい仕組み」になっているか
✅ 外部相談窓口を併設し、第三者性を担保しているか
✅ 教職員に対し、アカハラ防止研修を定期的に実施しているか
✅ 学生向けの啓発資料(パンフレット・オリエンテーション)を配布しているか
✅ 留学生・女子学生・障害学生など多様な背景に配慮した対応を整備しているか


FAQ|アカハラ判例と大学の責任

学生向けFAQ

Q1. アカハラとはどんな行為ですか?
A. 研究指導の名を借りた過度な拘束、研究成果の横取り、推薦状の不当拒否、差別的発言など、学生の学習や研究活動を妨げる行為が典型例です。

Q2. アカハラを受けたと感じたら、どこに相談すればよいですか?
A. まずは大学内のハラスメント相談窓口や学生相談室に相談できます。学内で相談しづらい場合は、外部相談窓口や法律専門家(弁護士・社労士)を活用することも可能です。

Q3. アカハラを証明するにはどうすればいいですか?
A. メール・SNSの記録、研究ノート、会話の録音など「客観的な証拠」を残すことが有効です。相談時に証拠があると対応がスムーズになります。


大学職員向けFAQ

Q1. アカハラが発生した場合、大学はどんな責任を負いますか?
A. 判例では、大学には①教員指導体制の監督責任、②相談窓口の実効性確保、③外部相談窓口の活用義務が認められています。これらを怠ると大学が損害賠償責任を負う可能性があります。

Q2. 推薦状の拒否もアカハラに該当しますか?
A. 裁判例では、合理的な理由なく推薦を拒否することは「学生の進学機会を妨げる不法行為」と判断されています。推薦制度の透明性と不服申立て制度が求められます。

Q3. 大学として最優先で整備すべき対応は何ですか?
A. 学則・規程へのアカハラ禁止の明文化、相談窓口の複線化(学内+外部)、教職員向け防止研修の定期実施が不可欠です。


まとめ|判例は「予防の地図」

アカハラ判例は、大学にとって「過去の失敗事例」ではなく「未来の予防策」を考えるための地図です。
一つ一つの裁判例が、教育機関にどのような体制整備が必要かを教えてくれます。

大学や研究機関は、判例を学びの材料として活用し、学生・院生の安心安全な学習環境を整えることが求められています。


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免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事業所への法的助言には代えられません。必ず顧問弁護士・顧問社労士にご相談ください。