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【2025年対応版】生成AIで就業規則を作成する方法と注意点|社労士が徹底解説

2025/10/07

生成AIとは何か|AIで就業規則は完成できるのか

生成AI(Generative AI)とは、人間が入力した質問や指示(プロンプト)に応じて自然な文章や画像を自動生成する人工知能のことです。ChatGPT、Claude、Gemini(旧Bard)などが代表例で、近年では契約書・就業規則・社内規程といった法的文書の一次草案作成にも利用され始めています。

就業規則をはじめ、社内の文書作成は外部に委託すると高額となることが多く、少しでも費用を押さえて法定書類を揃えたいニーズにAIの活用は費用対効果の高い選択肢と言えます。

本記事では、AIで就業規則はどこまで作れるかAIで就業規則を作る際の注意点完成後の人間による点検ポイントを、200社以上の就業規則類を作成してきた社労士が実務視点で解説します。


社内文書作成に向いている生成AIと機能・料金

ツール名 特徴 料金 就業規則への活用
ChatGPT(OpenAI) 日本語に強く、自然な条文表現が可能 月額20ドル(GPT-4o) 就業規則の草案・規程のたたき台作成
Claude(Anthropic) 長文処理が得意、文脈保持力に優れる 月額20ドル程度 長文規程の全文生成・複数案比較
Gemini(Google) 検索機能と連動、最新情報に強い Google One AI Premium 月額2,900円 法令・行政情報の補足、FAQ作成
Microsoft Copilot Word・Excel連携が便利 Microsoft 365 + 月額3,000円~ Word形式規程の生成・社内展開

ポイント:AIごとに得意分野が違うため、「草案はChatGPT」「長文はClaude」「法改正チェックはGemini」という使い分けができるようになると、かなり完成度は高くなります。


AIを使って就業規則を作成するときの注意点

  1. 明確な指示を出す(プロンプト設計)

    • 従業員30名/固定残業なし/フレックスタイム制なし/週40時間」「介護事業・夜勤あり」「リモートワーク制度あり(週2日まで)」「副業は届出制」等、労働条件・制度の有無まで具体化(プロンプト入力例は下記参照)。

  2. AIは全能ではない(最終責任は事業者)

    • AIは非常に便利ですが、最新法令の対応漏れや曖昧な表現が残ることがあります。最終的には必ず人間が確認し、必要に応じて専門家に依頼しましょう。

  3. 最終確認は必ず人間が行うこと

    • 就業規則は法的拘束力を持つ文書のため、形式的に形だけ整えることもできますが、社員を雇う企業運用を前提とするなら社労士や弁護士の点検を強く推奨します。

◎プロンプト例

「当社は従業員30名の介護事業所です。所定労働時間は1日8時間・週40時間、深夜勤務あり、変形労働時間制は導入しません。フルリモート可、週2日上限/副業は事前届出制。就業規則の法定記載事項(労基法89条)を網羅し、パワハラ防止(労働施策総合推進法)・カスタマーハラスメント対応も含めて、中小企業向けの現実的な表現で、Wordで使える見出し構成(第○章 第○条)に整えてください。」


実際に作成してみよう

上記を踏まえて、実際に生成AIを使って就業規則の作成を指示していきます。

  1. ChatGPTやClaudeに「就業規則を作成してください」と入力

  2. 条件(業種・従業員数・勤務形態など)を詳細に指定

  3. 出力された文章をWordやGoogle Docsに貼り付け

  4. 見出し番号や書式を整理し、完成イメージを整える

  5. 最終点検:条文ごとの整合・実運用との適合性・最新法改正の反映などを確認

出来上がった就業規則を人間が点検

✅ よくある間違い・抜け漏れチェックリスト

  • 法定必須記載事項(労基法89条:労働時間・休憩・休日・賃金・退職等)が網羅されているか

  • 副業・兼業規定が最新ガイドラインに準拠しているか

  • ハラスメント防止規定(労働施策総合推進法)が記載されているか

  • 育児・介護休業法改正(2023~2025年施行分)が反映されているか

  • カスタマーハラスメント対応条項があるか

  • □ 就業規則と雇用契約書の内容に矛盾がないか

  • 従業員代表の手続き(労基法90条)が整っているか

→ AIで作った就業規則は「スピード感」や「誤字脱字の無さ」は抜群ですが、専門家による点検を経て初めて実務で使える状態になります。


社内での周知方法と労基署届出

  • 周知方法(労基法106条:就業規則の周知義務)

    • イントラネット掲載(全従業員がアクセス可能な場所)

    • 社内掲示板で告知(改定日・適用日・問い合わせ窓口の明示)

    • 冊子化して見える場所に保管(電子配布もOK)

  • 労基署届出の流れ(従業員10名以上は義務)

    1. 就業規則完成

    2. 従業員代表の意見聴取・意見書作成

    3. 労働基準監督署に届出

  • 従業員説明会(規則の実用化)
    改定時は必ず説明会や質疑応答を行い、社員が内容を理解できる体制を整えることが重要です。


就業規則に関係する主要法律

  • 労働基準法(第89~90条:記載・届出義務/106条:周知義務

  • 労働契約法(第5条:安全配慮/第6条:就業規則の周知と合理性)

  • 労働施策総合推進法(ハラスメント防止)

  • 育児・介護休業法

  • 男女雇用機会均等法

  • 個人情報保護法・マイナンバー法

  • (業態別)安衛法・医療/介護/物流等の業法・ガイドライン


⑧ よくある質問(FAQ)

  1. AIで作った就業規則は違法ですか?
    → 違法ではありません。ただし、点検なしで運用すると法令違反のリスクがあります。

  2. AIの就業規則はそのまま労基署に届出できますか?
    → 形式上は可能ですが、誤りがあると是正勧告を受ける可能性があります。

  3. 無料版AIでも作れますか?
    → 可能ですが、出力制限や誤りが増える傾向があります。

  4. AIで作った規程は助成金対象になりますか?
    → 社労士関与が条件になる場合が多いです。AI単独作成では対象外の可能性があります。

  5. AIは法改正に対応していますか?
    → 多くの場合、最新の改正は自動反映されません。必ず専門家が確認してください。

  6. 英語版就業規則も作れますか?
    → 翻訳は可能ですが、海外現地法との整合は別途チェックが必要です。

  7. AIでどれくらい時間がかかりますか?
    → 条件を入力すれば数分で一次草案が出ます。

  8. AIと既存の雛形、どちらを使うべき?
    → AIはオーダーメイド性、雛形は安定性。それぞれの強みを組み合わせるのが効果的です。

  9. 裁判でAI作成の規程は有効ですか?
    → 文面そのものより、法令適合性と運用実態が重要です。必ず人間の点検が必要です。

  10. AIと社労士を併用するメリットは?
    → 低コストでスピード感のある一次草案作成と、法令適合性の担保を両立できます。

  11. AIに社内の情報を入力しても安全ですか?
    → 利用規約やセキュリティ設定次第です。機微情報は匿名化・加工して入力し、就業規則本文の機密部分は必ず専門家に直接依頼することを推奨します。

当社の就業規則サービス

サービス内容 料金(税込) 内容
簡易点検(マーカーのみ) 無料 AIで作成した規程も対象。リスク箇所を簡易診断
詳細点検(修正アドバイス付き)【中小企業におすすめ】 22,000円 条文ごとの整合性・法改正対応を精査
小規模事業者用 新規作成(一から作成) 30,800円 30人未満向け、標準型規程
オーダー作成(希望やリクエストを法的に反映) 55,000円~ 業種特有のルールを盛り込み
規程見直し(100人以上規模目安・古い規則や増築の不整合) 110,000円~ 古い規程や他社規程の改定対応
フルオーダー(徹底サポート) 150,000円~ 相談→点検→起案→最終版→従業員説明会労基署提出代行までワンストップ

※料金は目安です。企業規模・業種により変動します。詳細はサービス内容をクリック。

AIで作った規程の簡易点検は無料。ぜひお気軽にご相談ください。

▶就業規則の無料簡易点検サービスはこちらで詳しく紹介

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就業規則作成事例

  • 事例1:ITベンチャー(従業員20名)
    AIでフルリモート規程を作成→社労士が時間外管理・在席確認・セキュリティを補強し届出。

  • 事例2:製造業(従業員80名)
    20年前の規程をAI+社労士で全面改訂。変形労働時間制・安衛・ハラスメントを最新化。

  • 事例3:介護事業所(従業員40名)
    AIで雛形を生成、専門家点検で不足していた「カスタマーハラスメント対応条項」を新設。


終わりに

生成AIを活用すれば、就業規則は数分で一次草案を得ることができます。
しかし、就業規則は法的拘束力を持つ文書であり、誤りがあれば労基署の是正勧告や裁判リスクに直結します。

【AIで効率化 × 専門家チェック】で安全性担保
これが2025年以降の新スタンダード。無駄なコストを抑えつつ品質を確保するためにも、最後は人の点検を欠かさずに。

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