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【2026年対応版】休日連絡・チームLINEは労働時間?|休日夜の指示・既読圧の実務ガイド
2025/11/14

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)
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2026年は、
● 勤務間インターバル
● 14日連続勤務
● 深夜メール
● テレワークの隠れ残業
など、「時間帯の管理」が労務管理の中心になります。
その中でも、中小企業から最も相談の多いテーマが休日の連絡・チームLINEの業務扱い問題です。
・休日夜の業務指示
・グループLINEでの「報告だけしておいて」
・既読をつけたら業務扱い?
・返信しなかったら叱責される
・上司が休日も連絡してくる
・“自発的に対応しただけ”と説明される
これらは2026年以降の監督指導で確実に重点化する領域であり、企業の就業規則・運用改善が急務です。
本ガイドでは、2025年時点の公開情報と最新実務を踏まえ、「どこから業務扱いになるのか」「どう整備すべきか」を、専門家目線で企業向けにわかりやすく整理しています。
(※最終制度は厚労省の正式公表をご確認ください)
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1.休日連絡は「どこから労働時間」になるのか?
2025年時点の実務では、次の場合に 労働時間 と判断される可能性が高いとされています。
■ 業務指示が含まれている場合
・「明日の資料を修正しておいて」
・「この案件どうなっていますか?」
・「急ぎで対応お願いします」
■ 返信を事実上求めている場合
・「確認したら返事ください」
・「既読ついてるよね?」
■ 期限を指定している場合
・「今日中に」
・「明日の朝までに」
■ 休日の準備作業をさせている場合
・メモ作成
・下調べ
・資料閲覧
→ どれも“実質休日労働”に該当する可能性が高い。
とくに危険なのが、「返信は求めないけど情報共有だけしておくね」という連絡。
実務上は、情報共有でも業務判断が必要な内容は、労働時間として扱われやすい 点に注意が必要です。
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2.「既読だけ」は労働時間?
結論から言うと――
既読だけであっても、内容次第で労働時間扱いされる可能性があります。
✖ 労働時間と評価されやすいケース
・業務判断が必要なメッセージ
・「確認した?」と圧がかかっている
・返信が事実上必須の運用
・管理職が休日に指示を送る文化がある
△ 労働時間と評価されにくいケース
・完全に業務と無関係な雑談
・通知を切っていて気づかない状況
・確認しても業務判断を伴わない内容
とはいえ、雑談や業務外の連絡であっても、“既読圧(既読プレッシャー)” 自体が、企業内での労務トラブルやハラスメントで問題視される場面が増えています。
→ ハラスメント(マイクロマネジメント)×労務問題が重なる、典型的なグレーゾーン領域。
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3.休日連絡が“連続勤務14日”扱いになるリスク
2026年で問題が拡大するのはここです。
● 休日夜に指示
● 翌朝7時出勤
● 在宅で休日に30分作業
● 休日に資料チェック
これらは、休日であっても 「実質労働が発生した」と判断される可能性 があり、結果的に連続勤務14日にカウントされるリスクが発生します。
→ 休日の実質消滅
→ インターバル不足
→ 健康確保義務違反
→ 過重労働リスク
といった複層的な問題に発展します。
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4.業務チャット(LINE/Slack/Teams)が最も危険な理由
業務チャットの特徴は「時間帯の境界がなくなる」こと。
✖ 高リスクな使用例
・上司が休日に業務連絡
・部下が24時間返信できる状態
・既読文化・既読を前提とした圧力(既読圧)
・マルチタスク化で“休日と仕事の境界が曖昧”
・「返信しないと機嫌が悪くなる」上司
⚠ とくに問題が多い業種
・不動産(休日案内・対応が発生しやすい)
・建設(急な変更・現場調整)
・介護/医療(緊急呼び出し)
・飲食/宿泊(予約対応)
・営業職全般
企業がルールを整えていない場合、“際限なく働かせている” と判断される可能性が高くなります。
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5.中小企業が整備すべき「休日連絡ルール」5点
2026年に向け、最低限整備しておきたいルールはこちらです。
① 休日連絡の原則禁止(就業規則に明記)
→ 必要時は「所属長の許可制」
② 既読義務・即返信義務の禁止
→ “既読圧”の予防
③ チャット・メールの利用時間帯の制限
→ 原則 22時〜翌5時は禁止
④ テレワーク時の時間帯ルール
→ 早朝・深夜・休日は申請制
⑤ 管理職への教育・研修(最優先)
→ 管理職の深夜メールが一番問題になる
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6.就業規則モデル(コピペ可・保守的表現)
以下は 2025年時点の一般的な実務基準に基づくモデル案 です
(※最終的な制度内容は最新指針を確認してください)
(休日の業務連絡)
第◯条 会社は、休日中の業務連絡を原則として行わない。
2 業務上やむを得ない場合は、所属長の許可を得て最小限の連絡とする。
3 従業員は、休日中に受信した業務連絡について、返信を義務付けられない。
(深夜帯の業務連絡)
第◯条 会社は、22時〜翌5時の時間帯における業務連絡を原則として禁止する。
2 緊急の場合に限り、所属長の許可のうえ連絡することができる。
(業務チャットの利用)
第◯条 業務チャットの利用において、既読確認や即時返信を義務付けてはならない。
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7.FAQ(よくある質問)
Q1.休日に上司から連絡が来たら労働時間ですか?
A.業務指示・判断が含まれれば労働時間扱いの可能性が高いです。
Q2.既読をつけただけでも労働時間?
A.業務判断が必要な内容の場合、労働時間に該当する可能性があります。
Q3.休日夜の“情報共有だけ”はどう扱われる?
A.業務判断を伴う情報共有は労働時間扱いになりやすいため危険です。
Q4.管理職には適用されない?
A.健康確保義務の観点から、管理職にも休日・深夜連絡の制限が求められる方向です。
Q5.テレワーク中の休日作業は?
A.「自発的にやっただけ」としても、業務性があれば労働時間扱いとなります。
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8.まとめ|休日連絡は“時間帯労務管理”の最大リスク
2026年は、
● 深夜メール
● 休日の業務指示
● 既読圧
● チャット文化
● インターバル不足
● 連続勤務
が複合し、最も監督指導が入りやすい領域になります。
休日連絡やチームLINEは、放置していると労働時間問題の“温床”になります。
2026年に向けて、ルール整備・就業規則改定・管理職教育 は早めが安全です。
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