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【2026年版】AI時代の社内コミュニケーション・ハラスメント対策|チャット・Teams・Slackの運用ガイド

2025/11/26

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)


1.はじめに|AIとビジネスチャットは便利な一方で、労務リスクが急増している

社内コミュニケーションは、メールからチャット(Chat/Teams/Slack など)へ急速に移行し、返信の早さ・既読状況・スタンプによる反応など、従来になかった心理的負荷・摩擦・行為の誤解が増えています。特に2025〜2026年は

・AI生成文章の誤読
・深夜自動送信による“連絡圧”
・AIの返信テンプレによる冷たい印象
・一言指示の強圧的解釈

といった、新しい形の労務トラブルが増加しています。

声を荒げていなくても、

・「言い方が強いと感じた」
・「急かされていると感じた」

という心理的負荷が蓄積すれば、職場環境が害されると判断される場合には、ハラスメント行為と評価される可能性があります。


2.どこからがハラスメント?判定は“相手の感じ方”が鍵

ビジネスチャットにおけるハラスメントの判断は、発言者の意図ではなく、受け手がどう受け取るか/職場環境が害されたかが重要とされています。

よくある誤解

・「怒鳴っていないから問題ない」
・「言葉遣いは丁寧だから大丈夫」
・「事実を伝えただけ」

実際には、丁寧な文章でも

・業務外の時間帯での頻繁な連絡
・短すぎる言い回しで意図がわからない
・依頼ではなく圧のある命令調
・既読がついた前提の催促

などが心理的な圧力・精神的負担となり、ハラスメントの相談につながっています。なお判断にあたっては、受け手の主観のみならず、状況・頻度・文面・関係性・業務上の必要性なども総合的に考慮することが重要です。


3.最新トラブルの具体例(境界線)

以下は実務で多く寄せられている事例です。

問題となりやすいケース

・21時以降に業務指示を送る
・「返信まだ?」の短文催促
・スタンプだけで感情を表す誤解
・AIで作成した文章が冷たく見える
・「期限厳守」「早くして」の連続送信
・Teamsの既読で進捗を判断する
・チャットで叱責・追及
・休日の個人チャットで連絡

グレーゾーン

・「確認お願いします。」のみの短文
・返信を数分以内に求められる状況
・“見える化目的”と言いながら、業務進捗監視に利用
・個別DMでの叱責

比較的安全な運用例

・相手の勤務時間に配慮した連絡
・期限・背景・理由を添えた依頼
・急ぎ案件でも電話と併用
・注意・指導はチャットではなく1on1で実施
・負担をかけないタスク管理の仕組み


4.トラブルが起きる背景|心理要因

チャットでは感情情報が欠落するため、次のような読み違いが起きやすくなります。

・短文=怒っている
・既読=プレッシャー
・AI補完文章=温度感ゼロ
・句読点の位置=強圧的
・スタンプ=不満の表現?

特に「返信速度」を評価指標にしてしまう職場では
・自分の都合より“いつでも対応できる人”が優遇される(過剰な即レス評価)
・心理的安全性が低下し意見発信が減る

→これらが蓄積し離職の温床となります。


5.AIがもたらす新しいハラスメントリスク

2026年はAI活用がさらに一般化し、次のリスクが増えると予測されます。

・AI文面は丁寧なのに“強い”と解釈される
・AI生成のお願い文が長すぎて圧になる
・AI返信は早すぎて、遅い社員が劣等感を覚える
・自動送信の深夜メールによる心理的負担
・AIツール未使用者が“非協力的”と扱われる

AI活用は目的ではなく社員のストレスを減らすためのツールであるという原則が重要です。


6.企業が取るべき実務対応(禁止ではなく“仕組み化”)

単に「気をつけて」と周知するだけでは、再発防止効果は限定的です。以下の3ステップでの仕組み化が最も効果的です。

① ルール化

例)
・勤務時間外の連絡は原則禁止
・急ぎの依頼は電話併用
・進捗確認はチャットではなくタスク管理ツールへ
・注意・指導はチャットで行わない

▶中小企業のAI社内ルール|安全な利用・懲戒・情報管理の実務ガイド

② テンプレート化(文例の統一)

・依頼文例
・催促文例
・注意喚起文例
・感謝・労い文例
を統一するだけでトラブルが激減します。

③ 定期的な教育・振り返り・ルール見直し

・マナー研修
・匿名アンケート
・外部相談窓口
・管理職へのフィードバック研修

制度と教育が揃って初めて、実効性が生まれます。


7.すぐ使える社内ルール(そのまま使えるテンプレ)

下記は一例です。自由にカスタマイズ可能です。

・依頼は「期限/背景/優先度」をセットで記載する
・催促は期限前提で1回まで
・チャットでの注意・説教・感情表現は禁止
・返信速度を評価基準にしない
・勤務時間外のメッセージは送信予約へ統一
・上長が率先してルールを守る


8.運用・監査体制

ルールは作っただけでは定着しません。次の3つを最低ラインとすると機能しやすくなります。

✅匿名アンケート(月1回または四半期)
✅改善計画(是正計画)
✅相談窓口(内部・外部併用)

「状況を見える化する仕組み」が、離職やトラブルの予防効果を最大化します。


9.よくある質問(FAQ)

Q:チャットの短文指示だけでハラスメントになりますか?
A:一律に判断されるものではなく、相手の状態・頻度・心理的負担・職場環境への影響などの総合評価が重要です。

Q:スタンプだけの返信はNGですか?
A:禁止ではありませんが、相手が不安・圧を感じる場合があるため、業務連絡では補足文を添える運用が望まれます。

Q:深夜に自動送信設定した場合は問題ですか?
A:送信者の意図に関係なく心理的負担が発生する可能性があります。予約送信の利用ルールを明示すると安全です。


10.研修・相談窓口・改善支援のご案内

AI時代の社内コミュニケーションは

✅ルール整備(線引き)
✅研修・教育の実施
✅機能性の高い相談窓口
✅実務運用点検・マニュアル作成

がセットで揃うことで初めて安全に運用できます。

RESUS社会保険労務士事務所では、以下の支援を行っています。

管理職向けコミュニケーション研修
AI文章活用の効果的な伝え方トレーニング
外部ハラスメント相談窓口
匿名ES調査・改善提案
規程・チャット運用ルールの整備

お気軽にご相談ください(初回相談無料)。

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免責・注記

・本ページは厚生労働省指針および関連制度の内容に沿って記載していますが、すべての事案に法的判断を直接適用できるものではありません。
・本内容は2025年11月時点の情報に基づき作成しており、今後の法令・通達等の更新により変更となる場合があります。実務対応にあたっては、個別ケースごとの状況や事実関係を確認したうえで検討されることを推奨いたします。


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