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【2026年版】“メンタル弱い若手”と言われる部下の正しい育成法|傷つけず、甘やかさず、成長につなげる“関わり方の実務”

2025/11/26

(監修:RESUS社会保険労務士事務所/社会保険労務士 山田雅人)


1.はじめに|「最近の若手はメンタルが弱い?」は本質ではない

近年、人事・管理職からよく耳にする声があります。

・注意しただけで落ち込んでしまう
・すぐ不安になる/傷つきやすい
・反応が薄く、何を考えているのかわからない
・承認を求めてくる一方、失敗への耐性が低い

こうした特徴から「最近の若手はメンタルが弱い」と語られることがあります。
しかし個人ではなく組織運営に目を向けるべき実務的観点では、若手の特性そのものより“関わり方の設計”が大きく影響しているケースが大半です。

指導が柔らかすぎても厳しすぎても定着しません。重要なのは、傷つけず、甘やかさず、成長につながる『いい感じの関わり方』です。


2.“メンタルが弱い”と言われやすい若手に見られる特徴(実態)

まず現場で見られる傾向を整理します。
※個人差があり、すべての若手に当てはまるものではありません。

・自己肯定感が低い
・失敗を必要以上に恐れる
・叱責より“無視・放置”のほうが強いストレスになる
・曖昧な指示に強い不安を感じる
・“目的”より“期待値(何を求められているか)”を知りたい
・結果より“できた点・改善点”のバランスあるフィードバックを求める
・努力やプロセスを見てほしい

これらの特徴は“弱さ”ではなく『曖昧さ・不安・孤立に敏感である』という性質です。人間関係の機微に感度が高いと言い換えることもできます。

つまり「耐えろ」「慣れろ」「がんばれ」で解決する問題ではなく、関わり方の改善でパフォーマンスと定着が大きく変わる層ともいえます。


3.若手のメンタルが不安定になる職場の“共通パターン”

次のいずれかが重なると、若手のストレスが急激に高まりやすくなります。

□ 指示が曖昧
□ 正解がわからない仕事が多い
□ 成長実感が得られない
□ 叱責よりも“放置・距離”が多い
□ 結果だけ評価され、努力を見てもらえない
□ 「何をしたら合格か」が示されない
□ 相談したいが忙しそうで声をかけられない
□ ミスに対し“人格”のように受け止めてしまう

重要なのは若手の精神力ではなく“職場設計の問題”である場合が多いという点です。


4.正しい関わり方の基本原則(傷つけず、甘やかさず)

若手育成において効果が高い原則は次の4つです。

① 指示は「目的」「理由」「期待値」まで伝える

×「これやっといて」
「目的/背景/期待されるアウトプット/期限」

② フィードバックは「できた点→改善点→期待」の順で

順番だけで受け取り方が大きく変わります。

③ 結果だけでなく“成長のプロセス”も言語化して伝える

努力が見えるとモチベーションと安心が生まれる。伝える言葉は足りないよりも「少し多め」を意識。成長実感が可視化されると不安が解消され、行動量・粘り強さ・挑戦意欲が高まりやすいという傾向があります。

④ 相談のハードルを上げない

「困ったら言って」「いつでも相談に乗るよ」だけでは機能しない → 相談タイミングの明確化が必要。


5.若手の“落ち込み”が起きたときの対応フロー(実務)

落ち込んだ場面で最悪なのは

・放置
・必要以上の励まし

の両極端なパターンです。

最適解は次の流れです。

1)事実の整理(人格ではなく行動/プロセスにフォーカス)
2)できている点の明確化
3)改善点は“小さく・1つずつ”
4)次のアクションを共に決める
5)達成できたら短くても必ず認知する

落ち込みの原因は「注意」そのものではなく“できている点が見えないこと”と“不安の放置”であることが多いです。


6.「甘やかしてしまう」職場と「追い詰めてしまう」職場の違い

甘やかす職場 追い詰める職場
厳しい指摘を避ける 厳しい指摘のみを続ける
具体的に言わず曖昧な励まし 具体的に言わず抽象的な追及
責任を与えない 責任だけ与える
感情を優先 合理を優先
→成長しない(停滞) →心が折れる(退職)

その中間が最適解です。

【厳しさ × 支援 × 可視化された成長】がそろうと若手は最も伸びます。厳しさだけでは離職につながり、支援だけでは成長しにくく、評価の可視化がないと成果実感が得られません。

叱れない時代に伝えるための管理職指導方法『SL理論』


7.よくある失敗例(管理職が悪いわけではない)

・「慎重に言ったつもりが、強く受け取られた」
・「相手のためになると思って厳しく指導したら離れてしまった」
・「期待しているのに“嫌われている”と誤解された」

いずれも“伝え方”の問題ではなく期待・基準・関係性のすり合わせ不足によって起きる誤解です。


8.若手が伸びる組織に共通する“育成の型”

次の3つがそろうと劇的に改善します。

□ 期待の“言語化”

例:半年後に任せたい役割/求める力/評価基準

□ 成長の“可視化”

例:できるようになったこと/改善できた点/成功体験の棚卸し

□ 関係性の“安心”

例:相談しやすさ/放置しない/人格否定しない

この3つが揃うと若手は高い伸び幅を示すというデータと現場感があります。


9.よくある質問(FAQ)

Q:注意するだけで落ち込まれる場合、どうすれば?
A:注意前後のフォローの量を増やすより、「期待の言語化」「改善点の1点集中」のほうが効果が高いです。

Q:失敗に弱い若手に責任ある仕事を任せるべきですか?
A:任せること自体は成長の機会になります。難易度調整とサポート設計が鍵です。「パニックにならない程度のストレッチの利いた仕事」が育成に理想的です。

Q:厳しさは必要ですか?
A:必要です。ただし“感情的な厳しさ”ではなく、“基準の厳しさ”が理想です。

Q:甘やかしてしまう管理職と追い詰めてしまう管理職、どちらが多い?
A:どちらも存在します。双方に共通するのは「関わり方に型がない」ことです。上司ガチャのように“相性や運任せの環境”と捉えられないためにも、関わり方の型を組織として共有し、教育担当者が偏りなく育成できる体制を整えることが重要です。


10.支援サービスのご案内

RESUS社会保険労務士事務所では、若手の定着・育成に関する次の支援を行っています。

管理職向け“伝え方・関わり方”研修
若手の成長支援1on1研修
評価フィードバック研修
外部相談窓口
ES調査・改善提案
社内教育体系設計・育成ロードマップの整備

お気軽にご相談ください(初回相談無料)。

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免責・注記

・本ページは関連制度・指針の内容に沿って作成していますが、すべての事案に法的判断を直接適用できるものではありません。
・本内容は2025年11月時点の情報に基づくものであり、今後の制度・通達等により変更となる場合があります。
・実務対応にあたっては、個別ケースごとの事実関係を確認したうえで検討されることを推奨いたします。


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