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【2025年版】通勤手当の見直し相談が急増中|規程作成の実務ポイントを社労士が解説

2022/06/16

(最終更新日:2025/09/30)

はじめに|通勤手当が“見直し対象”になる理由

新型コロナ禍を契機に導入された在宅勤務・テレワークは一時的な措置にとどまらず、恒常的な勤務形態として定着しました。
その結果、従業員の通勤頻度や通勤手段が大きく変化し、企業からは「通勤手当の支給ルールを見直したい」という相談が急増しています。

これまで「住宅手当」「家族手当」などの主要手当が見直し対象でしたが、今や通勤手当の在り方までもが企業の経営課題となっています。


通勤手当の法的位置付け

まず押さえておくべきは、通勤手当は法律上の支給義務がないという点です。

  • 労働基準法や関連法令に通勤手当の支給義務規定はなし

  • あくまで福利厚生の一環として企業が任意に支給できる制度

ただし、従業員にとっては生活費を補う重要な収入源であり、安易な廃止や不利益変更は労働契約法上の「不利益変更」とみなされるリスクがあります。


通勤手当規程に盛り込むべき基本事項

通勤手当を規定する際は、以下の項目を明記する必要があります。

  1. 支給対象者の範囲と除外対象者

  2. 対象となる通勤手段と申請方法

  3. 支給額の計算方法・支給単位

  4. マイカー・バイク利用者の取扱い

  5. 申請方法・申請義務と添付書類

  6. 紛失・不正利用時の措置

  7. 退職・転勤時の精算ルール


規程設計の実務ポイント

1. 支給対象者の範囲と除外対象者

  • 距離制限を設ける場合は「直線距離」か「最短経路」かを明記

  • アルバイト・パートを一律除外する規定は同一労働同一賃金ルールに抵触する恐れがあるため、労働時間や勤務日数で区分するのが適切

2. 対象となる通勤手段

  • 鉄道・バスのみか、自転車・マイカー・バイクも含むかを明記

  • 複数交通手段の併用可否や、例外(障害や高齢等による特別承認)の有無も記載

3. 支給額と計算方法

  • 定期代(1か月/3か月)または実費精算を採用

  • マイカー利用は燃料費換算式を規定例として活用可能

  • 支給額の上限を明示し、精算ルールを合わせて記載

4. マイカー利用のリスク管理

  • 運転免許・保険加入の確認

  • 飲酒運転・危険運転等の禁止規定を明文化

  • 安全運転義務を怠った場合の処分規定を設ける

5. 申請・変更義務

  • 入社時・引越時・運賃改定時の申請を義務化

  • 不正受給や過払い発覚時の返還規定を明記

6. 紛失・不正利用の措置

  • 定期券紛失時の費用負担区分を明記

  • 故意・重過失による不正は処分対象とする規定が必須

7. 退職・転勤時の精算

  • 長期定期支給時の未使用期間分は返還対象とすることを明文化

  • 有給休暇消化中の扱いをルール化しておくことでトラブル回避


最近のトレンドと相談事例

  • テレワーク定着に伴い「通勤回数に応じた日割精算」へ移行

  • 自転車通勤者への補助(駐輪場代や保険料補助)を導入

  • 通勤手当を縮小し、その分を在宅勤務手当に振替

企業の実情や従業員の働き方に応じ、制度を柔軟に再設計する動きが加速しています。


まとめ|“当たり前”の制度ほどトラブル防止が大切

通勤手当は「任意規定」ではありますが、働き方が多様化する今だからこそ、詳細ルールの整備が必要です。

  • 不公平感や不正受給を防止

  • トラブル時の法的リスクを低減

  • 従業員の納得感を高めて人材定着につなげる


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