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同一労働同一賃金に備えて、家族手当の見直しと住宅手当を廃止したい

2019/11/22

2020年4月から始まる同一労働同一賃金(及び同一福利厚生)で急に増えたわけではなく、古くから手当を見直し、廃止したい要望はあります。特に住宅関連費用は企業にとって負担が大きく常に見直しの検討、廃止の危機にさらされてきました。

そしてやはりインパクトの大きい同一労働同一賃金に関する法改正によって、非正規社員の待遇引き上げよりも、手当の廃止に機運が高まっているようにも思います。

労働者や法整備担当者からすればけしからん話ですが、各種手当など福利厚生制度は時代のニーズに合わせて変化し各々の企業内で制度化されてきたため、現代の労働者のワークスタイルと大きな隔たりがある手当があるのも確かに事実です。特に、【家族手当】と【住宅手当】は当方でも相談の多い、『廃止したい2大手当』です。

ライフスタイルの変化

耳にする機会の減った核家族化と言われた昭和の時代には家族手当と住宅手当は特に人気がありました。従業員からすれば家計の助けであればなんでもよいのですが、将来も男性中心社会、シングルインカム、画一的な核家族化が進むと信じられていた時代からすれば、同性婚やDINKS、事実婚や独身主義など、今のような多様なライフスタイルが一般的となる時代が来るとは想像もしていなかったに違いありません。今でこそ独身者等から不公平の批判を浴びて導入企業はかなり減少したものの、昭和50年には8割以上の企業が導入していたと言われる配偶者手当や養育手当といった家族手当はいずれは誰しもが結婚して子供を持つと信じられ、一時の少数派は黙殺・無視されてきました。いまだに高齢の社長の会社では既婚者に手厚く、独身者には露骨に冷遇している不公平に気づいていない会社も多くあります。

東京都産業労働局調査【都内中小企業(従業員数10~299人)対象】

住宅手当(制度あり) 家族手当(制度あり)
2012年 43.6% 57.9%
2014年 45.5% 58.9%
2016年 40.2% 51.8%
2018年 40.4% 51.2%

(参考資料:東京都労働相談情報センター『中小企業の賃金・退職金事情』

「属人手当」は廃止へ進む

家族手当や住宅手当は個人のライフスタイルによる『属人手当』であり、仕事の評価によるものではないことは明らかですので、職務に応じた給与体系(ペイ・フォー・ジョブ)化と同一労働同一賃金の機運が高まる中、見直しが加速するのも必然といえます。ここでは述べませんが他にも今後仕事に関係しない属人手当が減少傾向に進む要素は沢山あります。

☑社会保険料の負担増(手当は社会保険料がかかる)

☑配偶者控除の改正

☑支給対象とならない従業員との不公平

☑同一労働同一賃金の問題(Coming Soon!!)

労働と直接的な関係が薄いとして時間外労働の割増対象から法律上も除外と扱われている手当についてはさらに廃止が進むはずです。

割増除外対象手当(限定列挙)
・家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

規則変更に同意は不要だけれど・・・

就業規則は社内のルールを会社が「一方的に」定めるものであり、労働基準法等に違反がなければ労働者の意見を聞くだけで、同意を得る必要はありません。但し、手当や福利厚生制度等を縮小・廃止するような労働者にとって不利益となる変更を行う場合には、「合理的な理由」がある場合など、厳しく制約されています(労働契約法第10条)。経営者の勝手な都合で給与を下げるなどは許されないのです。

一度あげると言われたものをやっぱりなしと言われれば誰でも怒りますよね。その通りですが、バブル期をはじめ、好景気を経験した経営者であれば、利益の還元方法として従業員の待遇改善に取り組むのはごく普通のことですが、「憧れのマイホーム」と言われ政策的にも持ち家促進だった時代の住宅取得に係るローン負担等を補填するために導入された住宅手当も社会保険料率の上昇によって企業の負担は重くなっているほか、借上げ社宅制度の利用増加や単身者の増加によってデメリットが大きくなっています。

正社員の待遇を引き下げた原資で非正規社員の待遇改善?

労働条件の引下げは労働者の同意なく行うことはできません。毎月生活に充てられている各種手当は賃金と同様であり、一方的に廃止するなどすれば労働契約法上の不利益変更とみなされ違法行為を追求されます。非正規社員の待遇を引き上げて統一することが原則ですが、困難であれば該当する全労働者の同意を得て就業規則の変更等手続きを行う必要があります。

今回の同一労働同一賃金は正社員と非正規社員の不合理な待遇格差の是正を目的としており、正社員の待遇を引き下げるものであってはならないことは明白ではあるものの、企業の原資には限界があり、薄利、若しくは赤字が多い中小企業においては非正規社員の待遇改善に応じたくても応じられないような理由があります。

労働契約法でも、待遇格差の是正を理由とする労働条件の不利益変更は認められないと明記されておらず、今後の判例動向に委ねるしかありません。時代の流れがあったとはいえ、正社員と非正規社員との間で明らかな待遇格差を既に作ってしまった企業としては、『同一労働同一賃金の基本を押さえながら』、『労働条件の不利益変更にも配慮しつつ』お互いに納得のいく合意(妥協?)ラインを時間をかけて話し合いながら探っていく以外にありません。

トヨタ自動車が配偶者手当を廃止し、子供手当を拡充させたことは参考になるかもしれません。但し、労働組合との折衝や詳細な調整などで制度変更までに相当な時間を要したことは間違いありません。

なお、厚生労働省による『配偶者手当の在り方の検討』では

◎手当の基本給への組み入れ(基本給への一本化)

◎原資の総体は減らさない

◎一定期間の経過措置(激変緩和)

◎子供・介護・障害者に対する手当は継続

といった同一労働同一賃金につながるヒントが紹介されています。

 

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