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中小企業が従業員にお金を貸す方法|借用書(金銭消費貸借契約書)・労使協定・給与天引きの実務と注意点【2026年版】
2022/09/14
(最終更新日:2026/10/27)

従業員にお金を貸す前に、書類と返済方法を確認しましょう
従業員から、生活費や住宅・自動車の購入費用などについて、会社に借入れの相談が寄せられることがあります。
会社が従業員を支援する方法の一つですが、貸付条件や返済方法を曖昧にしたまま実行すると、返済の遅れ、退職時の精算、給与からの控除などをめぐってトラブルになることがあります。
貸付けにあたっては、金額・利息・返済期間を明確にし、給与から返済金を控除する場合の手続や、退職後の返済方法まで確認しておくことが重要です。
本ページでは、従業員への貸付けに関する基本的な注意点と、実務に使用できる「社労士監修 従業員貸付制度 実務書式」をご案内します。
従業員貸付制度とは
従業員貸付制度とは、会社が従業員に対して、生活費、医療費、住宅取得資金、冠婚葬祭費用などを貸し付ける仕組みです。
社内制度として継続的に運用する場合もあれば、従業員からの相談に応じて個別に貸付けを行う場合もあります。
従業員の生活を支援できる一方で、会社には返済管理の負担や回収不能のリスクが生じます。本人の返済能力と会社の資金繰りを確認し、無理のない条件を設定してください。
なお、事業者が自社の従業者に対して行う貸付けは、貸金業法第2条第1項第4号により、貸金業の定義から除外されています。退職者への新たな貸付けや、従業員の家族への貸付けについては、別途確認が必要です。
貸付けの前に「非常時払い」に該当しないか確認
労働基準法第25条は、出産・疾病・災害など、法令で定める非常の場合の費用に充てるために労働者から請求があったとき、既に働いた分の賃金を、通常の支払日前であっても支払うことを使用者に義務付けています。
非常時払いは貸付けではありません。支払った金額は、通常の給与支給時に既払分として精算します。貸付金の返済として給与から天引きするものとは区別して取り扱います。
既に働いた分の賃金を超える資金が必要な場合や、非常時払いの対象にならない場合には、貸付けによる対応を検討します。
従業員への貸付けを検討するときに揃えておきたい書類
貸付けにあたっては、契約内容を明確にするとともに、給与控除を行う場合の手続を整える必要があります。
| 書類 | 主な役割 |
|---|---|
| 金銭消費貸借契約書(借用書) | 貸付金額・利息・返済期間・返済方法等を定める |
| 労使協定書 | 給与から返済金を控除するための労使間の取り決めを行う |
| 給与控除等同意書 | 給与・賞与等からの控除について、本人の個別の同意を確認する |
| 退職金からの控除に関する確認書 | 控除実施前に具体的な金額を説明し、本人の意思を改めて確認する |
| 貸付申請書 | 借入目的・希望金額・希望返済期間等を確認する |
| 社内決裁書(稟議書) | 貸付けの可否や条件について、社内の承認を記録する |
| 貸付台帳 | 貸付内容と返済状況を管理する |
| 完済証明書 | 元本・利息等を含む全債務の完済を確認する |
※貸付申請書・社内決裁書・貸付台帳・完済証明書は、実務フルセットのみに含まれます。各プランの提供内容は、下記のプラン比較表をご確認ください。
退職金からの控除に関する確認書は、法定の必須様式ではありません。本書式では、控除実施前の説明と本人の意思確認を記録するために用意しています。
継続的な制度として運用する場合には、対象者・上限額・審査方法などを、就業規則や貸付規程で整理することも検討してください。
本ページで販売する書式セットには、貸付規程・就業規則の例文は含まれておりません。
給与天引きと退職時の注意点
給与からの返済には、労使協定と本人の同意を確認
労働基準法第24条は、賃金の全額払いを原則としています。
貸付金の返済を給与から控除する場合は、賃金控除に関する労使協定を整え、本人の自由な意思に基づく個別の同意を確認する運用が重要です。
署名があれば、どのような控除でも認められるわけではありません。本人への説明、返済額の合理性、控除後の生活への影響などにも配慮してください。
貸付けによって退職を制限しない
労働基準法第17条は、前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金との相殺を禁止しています。
「福利厚生のための貸付け」という名称でも、返済が終わるまで退職を認めないなど、従業員を拘束する運用は避けなければなりません。労使協定や本人の同意があっても、同条に違反する仕組みが許されるわけではありません。
本書式は、退職したことだけで期限の利益を失う条項や、退職日までの全額返済義務を設けず、退職後の分割返済も協議できる構成にしています。
最終給与や退職金から、一方的に残額を差し引かない
本書式では、最終給与から通常の返済予定額を超えて残債務を一括控除しない構成としています。
退職金から控除する場合は、関連規程を確認するとともに、控除実施前に控除額・残債務額等を説明し、別紙確認書により本人の自由な意思に基づく同意を改めて確認します。
同意が得られない場合は控除せず、契約内容に沿って退職後の返済方法を協議します。
利息・税務・連帯保証人の注意点
無利息・低利の貸付けは、給与課税の要否を確認
無利息又は低い利率で貸し付けた場合、税務上の利息相当額と実際に支払う利息との差額が、給与として課税されることがあります。
税務上の評価に用いる利率は、会社が他から借り入れて貸す場合はその借入利率、それ以外は貸付年に応じた国税庁所定の利率によります。利息制限法の上限金利とは別の基準です。
災害・病気等に伴う一定の貸付け、合理的な調達金利等による貸付け、利息差額が年間5,000円以下の場合など、給与として課税しなくてよい取扱いもあります。具体的な条件は、国税庁タックスアンサーNo.2606と、税理士等への確認によって判断してください。
貸付金の返済を免除する場合も、給与課税等の取扱いを事前に確認することが必要です。
連帯保証人は任意です
連帯保証人は法律上必須ではありませんが、貸付額が10万円を超える場合は、回収リスク軽減の観点から設定を検討することをおすすめします。本人の返済能力や貸付条件等も踏まえて判断してください。
保証人を設ける場合は、保証の範囲と責任を説明し、書面で契約してください。また、契約後には、一定の要件に基づく履行状況の情報提供や、個人保証人への期限の利益喪失の通知なども必要になります。
紙の契約書は印紙税も確認
紙で作成する金銭消費貸借契約書は、原則として印紙税の第1号文書に該当します。記載された契約金額等に応じて税額が異なるため、作成時に確認してください。
社労士監修 従業員貸付制度 実務書式
従業員本人の生活資金等、事業性のない貸付けを想定した実務書式です。
貸付けの頻度や社内の管理方法に応じて、2つのプランからお選びいただけます。
ライトプラン|契約と給与控除の基本書類を整えたい企業向け
11,000円(税込)
個別の貸付けに使用する契約書と、給与控除に関する基本書類をまとめたプランです。
セット内容
- 貸付金返済のための給与控除に関する労使協定書
- 金銭消費貸借契約書(連帯保証条項・返済予定表付き)
- 給与控除・賞与控除・退職金控除同意書(別紙:退職金からの控除に関する確認書を含む)
- 書類作成ガイド
Word形式で提供します。貸付金額・返済期間・利率等を、自社でお決めいただいた条件に合わせて編集してご利用ください。
※ライトプランには、編集後の書類確認や、記入・編集に関するメールサポートは含まれません。納品ファイルの未着・破損等に関するお問い合わせには対応いたします。
実務フルセット|申請から返済管理・完済確認まで整えたい企業向け
24,800円(税込)
ライトプランの全内容に、申請・社内決裁・返済管理・完済確認のための書式を加えたプランです。
追加される書式
- 従業員貸付申請書
- 社内決裁書(稟議書)
- 完済証明書
- 貸付台帳(Excel)
貸付台帳は、元本返済額・利息・遅延損害金を区分して記録し、元本の返済累計・元本残高・元本返済状況を自動集計します。
※利息・遅延損害金の発生額の自動計算や、返済予定表の自動作成を行うものではありません。
実務フルセットに含まれるサポート
- 貴社で編集した書類を、社労士が1回確認
- 書式の記入・編集に関するメールサポート
- Word・Excel形式での提供
- 全国対応
従業員1名への単発の貸付けでもご利用いただけます。申請・決裁・返済管理の書類もそろえたい場合や、編集後の確認を希望される場合に適しています。
プラン比較表
| 内容 | ライトプラン | 実務フルセット |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 11,000円 | 24,800円 |
| 労使協定書 | ○ | ○ |
| 金銭消費貸借契約書・返済予定表 | ○ | ○ |
| 給与控除等同意書・別紙確認書 | ○ | ○ |
| 書類作成ガイド | ○ | ○ |
| 貸付申請書 | ― | ○ |
| 社内決裁書(稟議書) | ― | ○ |
| 完済証明書 | ― | ○ |
| 貸付台帳(Excel) | ― | ○ |
| 編集後の書類確認1回 | ― | ○ |
| 書式に関するメールサポート | ― | ○ |
| 貸付規程・就業規則の例文 | 含まれません | 含まれません |
ご購入前にご確認ください
本商品は、自社で条件を決めて編集・使用するための書式セットです。
貸付規程の作成、就業規則への条文追加、既存の社内規程全体の点検等は、セット料金に含まれておりません。 ご希望の場合は、別途お見積りにてご案内します。
編集後1回の確認は、購入した書式を貴社で編集した内容について行うものです。個別事情を踏まえた規程の新規作成や、債権回収・交渉・紛争対応等を含むものではありません。
よくある質問
Q1.従業員1名への貸付けでも利用できますか?
はい。単発の貸付けでもご利用いただけます。
契約・給与控除の基本書類を整えたい場合はライトプラン、申請・決裁・返済管理の書類や編集後の確認も必要な場合は実務フルセットをご検討ください。
Q2.貸付規程や就業規則の例文も含まれていますか?
含まれておりません。
貸付規程の作成や、貴社の就業規則に合わせた条文の追加をご希望の場合は、別途お見積りとなります。
Q3.「編集後1回の確認」とは何ですか?
実務フルセットをご購入後、貸付金額・返済期間・返済方法等を貴社で記入・編集した書類を、社労士が1回確認するサービスです。
確認をご希望の際は、編集したファイルをメールでお送りください。
Q4.遠方の会社でも購入・書類確認はできますか?
はい。全国からご利用いただけます。
書式はメールで納品します。実務フルセットに含まれる編集後の書類確認や、記入・編集に関するご質問への回答も、メールで対応します。
Q5.電話で質問できますか?
電話でのご相談・ご質問は承っておりません。お問い合わせはメール又はお問い合わせフォームからお願いいたします。
実務フルセットには、書式の記入・編集に関するメールサポートが含まれています。
Q6.利息は必ず付けなければなりませんか?
契約上、無利息とすることもできますが、給与課税の要否は別途確認が必要です。
貸付条件を決める際は、国税庁の最新情報と税理士等への確認によって、税務上の取扱いを整理してください。
Q7.退職時の残額は、最終給与からまとめて差し引けますか?
会社が一方的に残額を差し引く運用は避けてください。
本書式では、最終給与から通常の返済予定額を超える残債務の一括控除は行わず、退職後の返済方法を協議する構成としています。退職金からの控除については、控除実施前に別紙確認書で本人の意思を改めて確認します。
Q8.購入後、繰り返し使用できますか?
購入企業が自社の従業員向け貸付けに使用する範囲で、編集して繰り返しご利用いただけます。
第三者への販売・再配布や、複数企業での共有利用等については、利用規約をご確認ください。
お申し込み・納品の流れ
- お問い合わせフォームから、会社名・ご担当者名・メールアドレス・ご希望プランをお知らせください。
- 当事務所から請求書をお送りします。
- ご入金確認後、原則3営業日以内に、書式一式をメールでお送りします。
- 実務フルセットの編集後確認をご希望の場合は、編集したファイルをメールでお送りください。
ライトプラン:11,000円(税込)
実務フルセット:24,800円(税込)
お問い合わせ・書類確認はメールで対応します。電話相談は承っておりません。
参考情報
- 労働基準法(第17条・第24条・第25条等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2606「金銭を貸し付けたとき」
- 国税庁 タックスアンサーNo.7101「不動産の譲渡・土地の賃貸借・消費貸借・運送等に関する契約書」
本ページは一般的な情報提供を目的としています。実際の貸付けでは、貸付条件、社内規程、従業員の状況等に応じた確認が必要です。税務については税理士等に、紛争・債権回収については弁護士等にご確認ください。