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【2025年対応版】仕事ができるパワハラ管理職を辞めさせる実務|中小企業が取るべき現実的対応策

2025/10/01

はじめに|「パワハラ上司ほど仕事ができる」という現実

中小企業の経営者や人事担当者から寄せられる相談の中で多いのが、
「売上に貢献する営業部長」「経理全般を一手に担う経理部長」「システムや技術に不可欠なエンジニア」――

いわゆる『コア人材』がパワハラ行為者で困っているという事案です。

法律や教科書的には「注意・指導」「再教育」「改善プログラム」が推奨されています。
しかし現実は、パワハラ加害者の矯正は容易ではなく、むしろ被害者が辞め、職場の雰囲気が崩壊するケースが圧倒的に多いのです。

本記事では、実務上の対応フローを 「理想論」と「現実的プロセス」 の両面から整理し、法令・判例に基づいた安全な対応策を解説します。


1. 法律上の基本枠組み

パワハラ防止法(労働施策総合推進法)

  • 事業主には パワハラ防止措置義務 が課されています(2020年施行、大企業義務→2022年から中小企業も義務化)。

  • 放置すれば労基署や行政指導、損害賠償訴訟につながります。

懲戒処分と解雇の法的制約

  • 懲戒解雇には「客観的合理性」と「社会的相当性」が求められる(労働契約法第15条)。

  • パワハラ行為を理由とする懲戒処分は可能だが、記録や改善指導の経緯を残さないと不当解雇とされるリスク大。

→ よって、「段階的指導」と「記録の蓄積」が不可欠です。


2. 教科書的な理想論と、現実の乖離

理想論(厚労省指針・教科書)

  • ① 注意・指導

  • ② 再教育・研修受講

  • ③ 改善プログラム・フォローアップ

  • ④ それでも改善しない場合に懲戒

現実(中小企業の人事現場)

  • 「言っても治らない」

  • 「被害者が辞めてしまう」

  • 「本人しかできない業務があるため処分できない」

→ ここに「仕事ができるパワハラ上司」の最大の難しさがあります。


3. 実務で必要なプロセス|“追い出し”のための段階的対応

ステップ1:行為の記録と証拠化

  • いつ・どこで・誰に・何をしたかを被害者・第三者ヒアリングで詳細記録。

  • 注意指導の内容も文書で通知(口頭注意は後で否定されやすい)。

  • 社内アンケートや外部窓口を利用すると、隠れた声を拾いやすい。
    離職率が高いが理由がわからない場合は 社内アンケート実施サービス のような業務を委託すれば匿名性も担保され、リスクを早期に把握できます。

ステップ2:業務棚卸と引継ぎ準備

  • 行為者の担当業務をリスト化し、徐々に他者に移管。

  • 「この人しかできない業務」を減らしておく。
    求人広告に応募が集まらない場合は「中小企業の採用力診断サービスを利用すれば、人材の確保期待度も明確化できます。

ステップ3:段階的懲戒処分

  • 減給、賞与減額、降格など、一歩ずつ強める懲戒処分を実施。

  • 労使トラブルに備えて「懲戒事由・就業規則の根拠」が万全か点検しておくこと。

ステップ4:退職勧奨・出口戦略

  • 記録と処分の積み重ねを前提に、「もう居場所がない」と感じさせる環境を整える。

  • 強引な追放ではなく、自主的退職につなげる形が訴訟リスクを避けるコツ。

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4. 判例にみる「仕事ができるパワハラ管理職」対応の教訓

  • 電通事件(東京高判平成12年):長時間労働とパワハラが業務起因性と認定され、会社責任が追及。

  • 東芝事件(東京高裁平成28年):上司の叱責が過剰で労災認定。

  • 最近の裁判例:管理職の業務遂行能力が高くても、パワハラ行為を繰り返せば解雇有効とされたケースが増加。

→ 「業務能力がある=残してよい」ではなく、「行為が改善しない=企業責任」が明確化しています。企業の膿は早期に出し切ることが必要。

▶【最新判例】パワハラ裁判例で学ぶ企業の責任と防止義務


5. 実務対応に役立つ外部サービスの活用

→ これらを組み合わせることで、「訴訟リスクを減らしつつ、徐々に追い出す」 という現実的対応が可能となります。


6. 実務事例|「仕事ができるパワハラ管理職」対応の現場から

事例①:営業部長(売上トップだが部下への暴言が常態化)

  • 状況:売上の半分を一人で稼ぐ部長が、部下に「使えない」「給料泥棒」と繰り返し罵倒。若手が次々に退職。

  • 対応:注意指導を3回、研修受講もさせたが改善なし。業務を徐々に他の営業へ振り分け、主要顧客も別担当へ。

  • 結果:賞与を半減し、降格処分。最終的に自主退職。

→ 記録と業務棚卸を並行したことで、業績へのダメージを最小化。


事例②:経理部長(ワンオペ体制での業務独占)

  • 状況:経理を全て一人で抱え込み、部下に対して「二度と聞くな」と叱責。経営陣も「この人しか経理を回せない」と放置。

  • 対応:業務棚卸を行い、外部税理士と連携しながら経理処理を分担。指導を繰り返したが改善せず。

  • 結果:減給処分を経て退職勧奨に応じ、退職。

→ コア人材でも「代替可能化」を進めることが出口戦略のカギ。


事例③:技術部門のリーダー(技術力は高いが若手を潰す)

  • 状況:システム開発の第一人者だが、若手に対する過剰指導(深夜までの指示、人格否定発言)が続発。

  • 対応:外部相談窓口に複数の苦情が寄せられ、ヒアリングで事実認定。業務をプロジェクト単位に分解し、他メンバーへ引継ぎ。

  • 結果:降格・役職解任。残留するも影響力低下、数か月後に自主退職。

→ 外部窓口を設けたことで「声」が可視化され、対応に踏み切れた。


FAQ(よくある質問)

Q1. 「仕事ができる」管理職を辞めさせると、会社の業績が落ちませんか?
A. 一時的な影響はあり得ますが、放置すれば部下が辞め、採用難で回復不能なダメージにつながります。業務棚卸と引継ぎ準備を同時に進めることで業績リスクを最小化できます。

Q2. すぐに懲戒解雇しても良いのでしょうか?
A. 不当解雇とされるリスクが高く、推奨できません。注意指導・記録・改善機会の付与を経た上で、段階的処分を積み重ねる必要があります。

Q3. 記録はどの程度残せば良いですか?
A. 「日時・場所・発言内容・対象者」を最低限明記。可能であれば第三者の証言・文書通知の控えも保存してください。裁判や労基署調査では「記録の有無」が大きな判断要素になります。

Q4. 被害者が匿名で相談できる仕組みは必要ですか?
A. 必須です。社内窓口では声が上がらないことが多く、外部相談窓口を設けることで初めて事実が明らかになるケースがほとんどです。

Q5. コア人材のパワハラ行為を外部専門家に任せるメリットは?
A. 社内の力学に左右されず、公平なヒアリングと報告書作成が可能になります。弊所の「行為者ヒアリングサービス」や「社内アンケート代行」を利用することで、企業の責任を果たしつつ安全に対応が進められます。

Q6. 行為者が辞めない場合はどうすれば良いですか?
A. 記録と処分を積み重ねることで、降格・賞与停止など段階的に追い込むことが可能です。その上で「本人に居場所がなくなった」と感じさせる環境を整えることで、最終的には自主退職へ誘導できます。

Q7(被害者向け). 被害を受けている従業員の立場からできることはありませんか?
A. お辛い状況のこととお察しします。被害者側の立場からですと、会社の窓口へ申告する、労働基準監督署へ通報する、労働局の労働審判制度を利用する、弁護士に相談する、などが考えられます。改善せず心身に支障をきたすほどであれば、休職したり、退職してしばらく休んでからお考えされることもご検討ください。


まとめ|「仕事ができるパワハラ管理職」への対応は、組織防衛の最重要課題

  • 「能力があるから残す」ではなく、「パワハラは経営リスク」と認識する

  • 記録と証拠を積み重ね、業務棚卸で代替可能化を進める

  • 段階的懲戒→退職勧奨のプロセスで、安全に出口戦略を描く

  • 外部の専門サービスを活用し、企業責任を果たしながら前進する

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