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【2025年最新版】リファラル採用の紹介料は違法?中小企業が押さえるべき法律と実務ポイント

2019/10/01

はじめに|「リファラル採用」とは?中小企業で注目される理由

かつては「縁故採用」「コネ入社」として敬遠されがちだった「社内紹介による採用」が、近年は リファラル採用(Referral Recruiting) と呼ばれ、採用コスト削減や定着率向上の手段として多くの企業で導入が進んでいます。
特に求人広告や人材紹介費用の高騰が続く中、紹介制度を活用することで コストとミスマッチを抑えられる手法 として注目度が高まっています。

一方で、紹介者に支払う「インセンティブ(紹介料)」については 労働基準法や職業安定法との関係 で注意が必要です。本記事では2025年時点での法的留意点を整理します。


リファラル採用のメリット【中小企業視点】

  • ✅ 採用コストを抑えられる

  • ✅ 社員のつながりによる信頼性が高く、定着率向上が期待できる

  • ✅ 入社前に仕事内容を把握できるためミスマッチが少ない

  • ✅ 紹介者のモチベーションやエンゲージメント向上につながる


リファラル採用のデメリット

  • ❌ 不採用時に紹介者と会社の関係が悪化するリスク

  • ❌ 入社者が活躍できなかった場合、紹介者の士気が低下する

  • ❌ 高額インセンティブが「人材斡旋」と誤解される可能性

  • ❌ 既存社員から「公平性を欠く」と不満が出るケース


インセンティブと法律の関係

労働基準法・職業安定法の規制

  • 労働基準法6条:「何人も、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」

  • 職業安定法40条:「募集従事者等に報酬を与えてはならない(有料職業紹介に該当するため)」

これらにより、 従業員紹介に対して高額な金銭を繰り返し支払うことは違法リスク があります。違反した場合は 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 の対象となる可能性があります。


適法に運用するためのポイント

  • 就業規則に明記(対象者・金額・支給条件を定める)

  • 賃金として支給(給与の一部として課税・社会保険料の対象とする)

  • 業とみなされない程度の一般的な額に抑える(数万円程度が目安)

実務上は 1~5万円程度のインセンティブ が多く、10万円を超える場合は慎重な検討が必要です。
短期間に多数の紹介で高額を得るようなケースは「職業紹介業」とみなされるリスクがあります。


失敗事例と教訓

  • ケース① 高額インセンティブを設定 → 紹介が殺到するが大量不採用となり不満爆発
    ➡ インセンティブが高すぎると逆効果

  • ケース② 紹介者に配慮し選考を甘くした → 入社後に不適合が判明し早期離職
    ➡ 公平な選考プロセスは必須

  • ケース③ 管理職候補を紹介で採用 → 説明不足で既存社員が大量離職
    ➡ 既存社員への説明・合意形成を怠ると組織崩壊を招く


2025年の実務動向

  • 上場企業の約4割がリファラル採用制度を導入

  • ただし 紹介料を廃止し、表彰や感謝イベントなど「非金銭的インセンティブ」へ移行する企業が増加

  • 厚労省も「金銭インセンティブはあくまで限定的に」と注意喚起

長期的には 「紹介したくなる職場環境」こそが最大のリファラル促進策 とされています。


おわりに

リファラル採用は中小企業にとっても有効な採用手段ですが、 高額な紹介料は法律違反リスクや社内不公平感を招きかねません
「金銭インセンティブで人を集める」のではなく、社員が自然に自社を紹介したくなるような 働きやすい環境づくり・評価制度・承認文化 が、結果的に持続可能なリファラル採用につながります。

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