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資金調達や融資の相談先に注意(合法をアピールする業者はグレー!!)

2022/03/21

不景気になるほど金融業者が儲かる」のは世の常ですが、新型コロナ禍が始まった2020年から現在がまさにその状況です。採用や定着などに関する人事労務コンサルティングが主たる事業の当事務所ですが、コロナ以降は資金繰りに関する相談も寄せられるようになり、最近はまるで金融屋かと思うほど資金関連が相談の多くを占めるようになりました。

新型コロナが国内で確認され緊急事態宣言が発令された2020年は政策金融公庫をはじめとして、民間金融機関でも政府の支援をうけて多くの事業者に緊急貸付を行い、過去最も借りやすい時期と言われました。

既に長引くコロナ禍にあって国の助成金・給付金等が減少していく時期にさしかかり、飲食店をはじめとしたサービス業や小売業、建設業など主要な国内産業では売上が回復せず、また思い切った設備投資が効果に結び付かず、手元資金が大きく目減りし将来に不安を抱えた業者も大変に多いと感じています。

資金繰りを相談できる金融機関や顧問先と提携が無いため、インターネットで調べた業者に問合せして痛い目に遭いそうになった話も聞くようになり、今後ますます増加することを想像すると、想像もできないほど大変な不況が迫っているような恐怖を感じています。従業員が50人未満規模のほとんどの中小企業では顧問先といっても税理士だけで社内の財務部門は当然無く、資金調達に関しては社長自身がたった一人で頑張っていることもあり、専門的な知見を持たない右腕が存在しない企業の資金繰りがいきあたりばったりになるのも無理はありません。

ベテランの経営者からすれば未熟な経営者の典型的な失敗例と笑われてしまうかもしれませんが、最近のインターネット広告は極めて巧みで詐欺まがいの悪質な業者を見抜くことは困難です。日常的に他社を疑っている金融屋まがいの当社でもこれは騙されそうだという広告はいくつもあります。資金繰りがうまくいっているときには騙されるはずもなく、全く気にも留めませんが、中小企業経営は常に資金繰りとの闘いであり、資金潤沢で安定する時期などほんの一時です。資金が枯渇寸前の経営者は誘惑にかられやすく、また即時融資など安易な方法を選んでしまいがちですが、基本的には「売り込んできた金融サービス業者とは取引しない」ことと、「入金が早く手続きが簡単なほど高金利」である絶対原則を理解しておきましょう。

⚠良さそうな条件で融資承諾のFAXが送られてきた

「金融庁認可」と記載した業者から良さそうな条件で「融資承諾のお知らせ」と言った書面がFAXやメールで届くことがあります。もちろんそんな融資条件で貸すはずもなく、問合せすれば高金利の貸付や他のサービス(…)を提案されます。こういったFAXに問合せする時点で資金に詰まっていることは間違いありませんので、業者は既に首が回らない状態であることを知っているため、確実に足元を見られます。こんなFAXに騙される奴おるんかと多くの経営者は思っているかもしれませんが、この手のFAXが安全かどうかという質問はものすごく多いです。問合せしただけでも、資金繰りに困っている会社であると登録されますので、今回はうまく回避できたとしても定期的に執拗に営業をかけられます。

他者に聞いたところ、貸金業として登録が無い闇金である場合もあるようで、即時手付金の振込を求められたり一方的に貸付することもあるようです(当社では今のところ被害相談はありません)。高金利で融資を受けると金融機関から融資を受ける際に大きなマイナスポイントとなり、重すぎる足かせにもなりかねません。

 

⚠資金調達方法を指南するサイトは大半がファクタリング会社

ファクタリングは合法か違法か、優良か悪質かの問題ではなく、利用することによって経営にどれくらい負担となるのかを考えなければなりません。ファクタリング(売掛債権買取業者)は債権の譲渡であり貸金業に該当しないとの判定のため、肝心の貸金業法や利息制限法など規制の対象にならず新規参入も容易なことから、元闇金業者から大手上場企業までが堂々と新規参入しているカオスな業界ですが、金融サービスの原則どおりファクタリングは金利換算で年率100%を超えることも多く、いちど利用すれば会社の成長・回復率を上回る負担で収益性は確実に低下します。

事業の利益率向上のため何年も積み上げてきた努力はファクタリング利用によって一瞬で消滅します。一時的を理由とした資金繰りは経営者にとって大きな誘惑ですが、資金繰りが無計画なほとんどの経営者が余計な手数料を負担しせっかくの事業を悪化させています。自分の事業を信じることは経営者にとって大切な資質ですが、優秀でプライドが高く、他人に相談できない経営者ほど資金計画が甘く罠に陥り事業を破綻させています。2社間ファクタリングであれば帳簿に計上されないため金融機関にバレないのではないかと考える方もいますが、そもそもファクタリングは収益を圧迫するほどキツい条件のため、他に方法は無いかよく検討する必要がありますし、利用しないのが一番です。

⚠おすすめ資金調達方法ランキング広告

資金繰りに行き詰った経営者は正常な判断ができません。一般的な中小企業の事業資金調達方法ランキングといえば、

1位、自己資金(親族借入・社債発行・役員貸付)

2位、公的機関からの借入(政策金融公庫・商工中金等)

3位、銀行融資(保証付・プロパー融資)

で順位の変更はあれど他の入る余地はないはずですが、手形貸し付けや証書貸付、不動産担保貸付など、建設業以外の業界からすれば昭和な方法ばかりでランキングをにぎわせているサイトがあります。まぁ、現実的かはともかくとして方法としてはありますし、誰が票を入れたかわからないランキングなので文句は言いませんが、なぜか資金調達方法ランキングは最終的におススメファクタリング業者に誘導するサイトばかりです。

借入など負債を増やす方法をデッドファイナンスと呼びますが、一年以上の資金計画が可能であれば、事業資産を良いタイミングで売却したり、国が実施するものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金など設備投資に対する補助金や、雇入れに関する制度実施で受給できる雇用関係助成金を活用する「返済が伴わない資金調達(アセットファイナンス)」によってキャッシュフローを高める堅実な方法もあります。補助金や助成金はほとんどの中小企業では利用されていませんので、今後運転資金に余裕ができた際には是非検討することをおススメします。なお、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家、クラウドファンディングのように増資を伴うような資金調達をエクイティファイナンスと呼びますが、大規模な先行投資が必要なアイデア事業でない限り普通の中小企業の運転資金調達方法としてはまず使えません。

繰り返しになりますが、これら事業関連の資金調達サイトは大半がファクタリング業者サイトに誘導する構成になっています。最近では優良ファクタリング業者ランキングなどというサイトまであるようです。とにかく、高収益のファクタリング業界は広告宣伝に掛ける費用が半端ではありません。

 

⚠金融機関出身者を騙った個人ブローカー

最近は個人の技能を利用・売買できる多くのマッチングサイトがあふれており、その中にも中小企業の資金繰りをサポートするといったサービスが掲載されていることがあります。金融機関出身者であったり、大手企業の財務担当者であることをプロフィールしていることが多いようです。

こういった真偽のわからないプロフィールの「匿名」事業者は数万円程度の少額の手数料であれば利用しても問題ないかもしれませんが、簡単な手続きで法外な手数料を請求することもあります。当然、個人なのでコンプライアンス逸脱のリスクも無く基本的には何でもアリ。違法な金融業者の窓口担当者かもしれませんし、会社の後ろ盾も無く本人かどうかもわからないような素性のため、脅迫まがいのことも平気で行ってきます。所属企業に隠した副業や確定申告逃れのため氏名を偽ることもありますので、「高額な取引はしない」、「身分の確認は十分行う」、「契約関係をしっかり確認する」など、通常の取引であれば当然に行っていることは省略せずに行うようにしましょう。「身バレ回避のため個人情報は伏せる」など、激臭の自称コンサルタントには絶対に委託してはいけません。

 

⚠公的機関っぽい業者

一般社団法人や経済産業省認定事業者と肩書があればどうしても安心できる組織であると思い込んでしまいそうですが、優良誤認させる合法的な手法として広く使われているため注意が必要です。一般社団法人は公益財団など公共っぽい字体のイメージから営利団体の集客窓口として利用されることも多く、いまどき「省庁の認定があるから安心」と思うのはお年寄りだけかと思うかもしれませんが、怪しい業者ほどバンバン広告を打っていることから儲かっていることは間違いなく、それは安心して契約してしまっている方が多い証明でもあります。税理士や行政書士、司法書士のような信頼度の高い士業のように資格登録に厳格な要件がある業者はさすがに免許停止が怖くてグレーな広告は行いませんが、「士業と提携しているから安心」などと謳うばかりで自社には有資格者がいない事業者も多くあります。ちなみに、士業は国から強力な独占業務を与えられている関係から基本的に非士業との提携を制限されていますので、士業と提携していると広告するコンサル業者はちょっと怪しいのですが、ベテランの経営者でない限りそんなことはわかりません。なお、不景気時こそ儲かる金融サービス業界でありコロナ禍で今後間違いなく儲かる業界に大手企業が参入しない手はありませんので、大手の看板だからといって手数料が安いと妄信しないことをお勧めします。大手だから安心したと言い訳する経営者は誰も救ってくれません。

 

怪しいかどうかを見抜く方法は無い!?

高手数料・高金利の業者と取引してしまうと正常な状態に戻すまでに大変な時間がかかり、破滅の可能性も高いことは理解しているものの、もしかしたら優良業者かもしれないと期待してしまう気持ちもよくわかります。突然取引先が倒産するなど明日の資金にも詰まっている場合には確かにやむを得ない方法かもしれませんが、まだ改善の見込みがあり、まともな金融機関から融資を受けるチャンスがある状態にもかかわらず、悪質な業者と関係を持ってしまってチャンスを消滅させてしまうのはあまりにも(従業員が)不幸です。怪しい業者か見抜く方法は無いでしょうか。それは、「甘い話は無い」以外にありません。フィッシングサイトに代表されるように、捨てても惜しくないほどホームページは簡単に作成できるようになりましたし、保護されるべき消費者ではない法人を対象とした詐欺はほぼ立件されないため、誤認表記だろうがグレーゾーンだろうが生き残りをかけた金融サービス業者にとって他社の痛みなど全く関係ありません。

すくなくとも、事業資金関係のサービス業者を利用する際には以下の点を注意しましょう。

☑LP(一枚ものの長い広告ページ)だけでなく、しっかりした自社ホームページがある

☑存在している団体や士業事務所が運営している

☑ビッグワードだけで検索しない(簡単なキーワードで表示されるサイトはだいたいファクタリング)

☑手数料先払い(手付金)は要注意

☑安心・合法であることアピールしている業者はグレー

もちろん、これだけを持って安心できるとは言い切れませんが、少なくとも経営や個人の財産に大きな負担(高金利・高手数料)となるキツい金融業者と関係を持ってしまう確率を下げることはできます。

 

すでに利用してしまった!☠

問合せしてしまって鬼電を食らっている状態であれば耐え忍ぶだけですが、既に高額な手数料のファクタリングや高金利の融資を受けてしまった場合はどうすればいいでしょうか。

この場合にはもはや手はありません。契約に違法性があれば契約解除できることもありますが、無条件で解約できるような契約は期待できないことがほとんどです。弁護士に相談してもほとんどが残念な結果(相手にしてくれない)になるため、約定に従って契約解除(返済)するしかないようです。もちろん、クーリングオフも基本的に事業者間取引には適用されません。残念ですが、頑張って返済するしか道はないかもしれません。どうしても納得できない場合は弁護士にご相談ください。

 

偉そうなことを言っていますが、当社も他社のことを言えず、創業時には資金繰りが甘すぎてキツめの金融サービスを利用させていただいたことがあります。資金計画は計画的に。「まさか」が起こる前に。

 

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