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職場のハラスメント対策担当者を命じられたら(窓口・調査担当)

2022/08/30

(最終更新日:2025/09/02)

はじめに|2025-2026年はハラスメント対策「法改正ラッシュ」

2022年のパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の中小企業義務化、公益通報者保護法の改正施行を経て、
2025年は 改正公益通報者保護法の公布
2026年には カスタマーハラスメント対策の法制化 が控えています。

  • ハラスメント・不正・カスハラは企業規模を問わず発生

  • SNSや労働紛争でブランド失墜リスクが高まる時代

  • 相談窓口や調査部門の対応ひとつで法的責任・評判が左右される

この記事では、相談窓口担当者・調査担当者が押さえるべき最新法令・実務ポイントを解説します。


1. 相談窓口・調査担当者が直面するリスク

ハラスメント通報を受けたにもかかわらず、不十分な調査・対応をした場合:

  • 企業の使用者責任(民法715条)による損害賠償

  • 担当者個人への不法行為責任(民法709条)

  • 内部告発・SNS炎上による企業価値の毀損

  • 社内信頼低下・従業員離職

「対応を怠った」こと自体が訴訟リスクになるため、担当者個人は自らの法的・懲戒リスクを正しく理解する必要があります。

近年の炎上事例では、法的には問題なしと結論づけても、モラル面や労働者へのリスペクトを欠いた対応が批判を拡大させる教訓が繰り返し確認されています。


2. 最新法令動向(2025年時点)

法令 主な改正・施行状況 中小企業の要点
改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法) 2022/4~中小企業も義務化 相談窓口設置、防止方針、迅速調査・再発防止
公益通報者保護法(2025年改正公布) 通報者探索・報復の禁止、罰則等が明確化 努力義務でも未整備は炎上・取引リスク大
カスタマーハラスメント対策 2026年施行見込み(公布から1年6か月以内予定) 先行整備推奨(方針・記録・教育・窓口)
労働契約法(安全配慮義務) 常時適用 放置は損害賠償リスクに直結

※ 告示・指針・FAQの更新で運用が変わる場合があります。最新公表資料の定期確認を推奨。


3. 調査担当者の基本スタンス

  • 中立性・公平性を確保

  • 「聞いた・見た」記録をすべて残す

  • 感情的対応・先入観を排除

  • 初動のスピードと記録の正確さが命

相談窓口担当者・調査者は「企業の第一防波堤」です。


4. 調査実務の流れ(標準プロセス)

  1. 通報受付

    • 相談内容を正確にヒアリング

    • 匿名対応・秘密保持の徹底

  2. 調査計画立案

    • 調査範囲・ヒアリング対象・資料確認計画を作成

  3. 事実調査

    • 関係者への個別面談

    • 証拠収集(メール・チャット・カメラ映像・日報など)

  4. 事実認定

    • 信憑性評価(複数証言の突合・録音・記録の精査)

  5. 調査報告書作成

    • 客観的・網羅的な報告書作成

    • 行為者・被害者双方の主張を明記

  6. 懲戒・是正措置の提案

    • 処分妥当性やリスク評価も添付

  7. 再発防止策

    • 職場環境改善・教育計画・フォローアップを提案


5. 調査報告書作成のチェックポイント

  • 確認済み事実主観的証言を区別

  • 各証言の信憑性評価を明記

  • 行為態様・被害者の受け止め・影響を整理

  • 「ハラスメント該当性判断の理由」を明記

  • 証拠一覧・添付資料・調査手順の透明化


6. 懲戒処分・和解の注意点

 

  • 妥当性判断は過去事例、職務地位、被害影響、反省状況で総合評価

  • 謝罪・金銭解決の希望がある場合、名目(慰謝料/解決金)・税務・将来紛争リスクを事前整理

  • 恣意的処分は逆訴訟リスク。一貫性と説明可能性を担保
    ※個別の税務・法務判断は、専門家の助言を推奨。

(金銭解決の実務メモ)ハラスメント認定に当たらない場合の解決金は早期収束の選択肢の一つとなり得ます(所得税法9条1項の扱い等は個別確認)。

 


7. 再発防止策の重要性

  • 行為者の再教育・配置見直し

  • 管理職の面談・初動対応訓練(年1回以上)

  • 就業規則・相談ルート(社内/外部)を明文化

  • 「相談のしやすさ」の継続周知(掲示・ポータル・入社時説明)

同一行為者の再発は企業責任の回避困難。 予防とフォローを恒常運用へ。

▶【人事・総務担当者向け】ハラスメント再発防止計画の立て方とプログラム例

 


8. 参考判例:製薬会社室長セクハラ発言解雇事件(東京地判H12.8.29)

  • 被害多数・地位の高さ・反省なし等を理由に解雇有効

  • 「法的には軽度」と見られる行為でも、
    企業の予防体制の充実度次第で解雇の妥当性が評価される


9. よくある質問(FAQ)

Q1. 小規模企業も窓口整備が必要ですか?
A. 義務規模でなくてもトラブル時のSNS炎上・訴訟リスクが高まっており、外部窓口や簡易マニュアル整備が推奨されます。

Q2. 外部委託は法的要件を満たせますか?
A. 専門家・外部相談窓口を活用すれば中立性・透明性を確保しやすく、法的要件も満たせます。

Q3. 調査報告書は必須ですか?
A. 必須。裁判や労働局対応での重要証拠となり、懲戒処分や企業防衛に直結します。


まとめ|相談窓口・調査担当者は「企業リスクマネジメントの要」

  • ハラスメント・不正・内部告発は、
    初動対応の質で企業リスクが大きく変わります。

  • 2025年以降は法改正により、
    匿名通報・探索禁止・罰則導入など一層厳格化。

  • 担当者は調査スキル・中立性・法令知識を常にアップデートする必要があります。


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