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【人事・総務担当者向け】ハラスメント再発防止計画の立て方とプログラム例|社労士監修

2025/08/26

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業種を問わず活用できる再発防止計画書(Wordテンプレート)をご用意しています。
計画の立案や報告書作成の際にぜひご活用ください。

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■ なぜ「再発防止計画」が必要なのか?

ハラスメント事故が発生すると、企業は「事実確認」「加害者への処分」「被害者へのケア」などの初期対応を行います。
しかし、そこで終わらせてしまうと 「また同じことが起きるのではないか」 という不安が残り、職場の信頼回復にはつながりません。

加害者だけが悪い」で終わらせていませんか?
もう終わったこと」として流していませんか?

事故を「加害者個人の性格や資質」と結論づけしてしまうと、組織としての反省や改善が進まず同じことの繰り返し、再発の温床となります。

実際に労基署の是正勧告や裁判例でも、「組織として再発防止策を講じていたかどうか」 が企業責任を問う大きな判断材料となっています。

そのため、人事・総務部門には 「組織としての再発防止計画」 を策定・実施することが求められます。


■ 判例にみる「再発防止計画を怠った」企業の代償

判例①:上司の叱責・暴言を放置した結果、企業に損害賠償命令

社員が上司から継続的に強い叱責や暴言を受け、精神障害を発症。相談を受けた会社は有効な再発防止策を講じず放置したため、裁判所は 会社の安全配慮義務違反を認め損害賠償を命じました
教訓:相談を受けた時点で「計画をもった対応」をしなければ、放置とみなされ会社責任に直結します。

出典:厚生労働省明るい職場応援団(日本ファンド事件東京地裁平成22年7月27日判決)

判例②:有給休暇の取得を妨害 → ハラスメントと認定

上司が「業務に支障が出る」として有給取得を妨げ、総務・経営層も是正せず追認したケース。裁判所は 労働者の権利侵害と職場環境整備義務違反 と判断し、会社に賠償責任を認めました。
教訓:ハラスメントは暴言や暴力だけでなく、権利侵害も対象。再発防止計画には「労務管理の適正化」も含める必要があります。

出典:厚生労働省明るい職場応援団(日能研関西ほか事件大阪高裁平成24年4月6日判決)

判例③:新入社員が極度の長時間労働と上司の叱責により自殺 → 企業に高額賠償命令

広告代理店に勤務していた新入社員が、極度の長時間労働と上司の叱責により自殺。会社は職場環境の改善措置を講じておらず、裁判所は安全配慮義務違反を認めました。最終的に遺族への和解金として約1億6,800万円が支払われました。
教訓:ハラスメントだけでなく「長時間労働」「業務量の過重」も含めた再発防止計画が必要です。
出典:厚生労働省 明るい職場応援団(電通事件 東京高裁 平成12年10月20日判決)

■ 再発防止計画に盛り込むべき要素

再発防止は「研修を1回やった」で終わらせてはいけません。
計画的に取り組むことで、初めて効果が実感できます。主な要素は以下のとおりです。

  1. 教育・研修の実施
     - 管理職・一般職双方への再発防止研修
     - ケーススタディやロールプレイで「言い方」「伝え方」を学習

  2. コミュニケーション改善
     - 1on1や定期面談の導入
     - アサーティブ・傾聴トレーニングの併用

  3. 相談体制の強化
     - 外部相談窓口の設置
     - 匿名アンケートで風土を可視化

  4. 職場環境のモニタリング
     - 部署ごとのリスクアセスメント
     - 定期的なフォローアップ調査

  5. 検証と改善サイクル
     - 研修・施策後の変化を確認
     - 年次の「再発防止措置報告」として記録

 


■ 再発防止プログラム例(モデル)

※以下は一例です。業種・事案内容に応じてカスタマイズ可能です。

時期 実施内容 担当
1か月以内 事案直後の緊急研修(全社員)+管理職ヒアリング 人事部+外部講師
3か月以内 被害者・加害者・部署全体のフォロー面談/匿名アンケート 人事部
半年以内 再発防止研修(ロールプレイ型)+就業規則・社内ルールの改訂 人事部+法務
1年以内 職場風土調査の実施・改善報告書の作成 経営層+人事部

※重大事案の際は万が一同様の事案が発生した際に企業は強く非難を受ける可能性がありますので、再発防止計画はより詳しく、詳細や計画の進捗状況まで記録することが求められます。

 

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■ 報告書に使える表現例

行政や社内のほか利害関係者への「再発防止措置報告書」に記載する際には、以下のような表現が有効です。

  • 「再発防止のため、管理職および一般社員向けに研修を実施した」

  • 「匿名アンケートを実施し、心理的安全性の改善を確認した」

  • 「外部相談窓口を設置し、社員が安心して相談できる体制を整えた」

  • 「再発防止策を規程に反映し、全社員に周知した」

 


■ よくある誤りと注意点

  • 加害者処分だけで終了 → 組織文化の改善につながらない

  • 研修を単発で終える → 継続的な取組みでなければ効果が薄い

  • 加害者と被害者を引き離すだけ → 職場の不安は残り、根本解決にはならない

➡ 再発防止は「継続的・組織的」な取り組みでなければなりません。


■ よくあるご質問(FAQ)

Q. 再発防止計画は義務ですか?
→ 法律で明確に義務付けられてはいませんが、裁判や是正勧告では「組織としての再発防止策の有無」が強く評価されます。実務的には必須と考えるべきです。

Q. 計画は社内だけで作成してもよいですか?
→ 可能ですが、法的観点や最新判例を踏まえるために、外部の社労士や弁護士と協働することをおすすめします。

Q. 被害者・加害者以外の社員にも影響はありますか?
→ 大きく影響します。沈黙や分断が残ると職場全体の雰囲気が悪化し、離職や生産性低下につながります。

Q. 外部相談窓口は本当に必要ですか?
→ はい。内部だけでは相談しづらいケースが多いため、外部窓口を設けることは再発防止策として非常に有効です。

Q. 被害者が退職してしまった場合でも再発防止計画は必要ですか?
→ はい。被害者が退職しても「組織としての改善」が残されているかどうかが問われます。退職で終わらせると再発リスクが高まります。

Q. 再発防止計画を策定したら、従業員への周知は必要ですか?
→ はい。計画は“社内周知”がなければ実効性がないと評価されます。報告書だけでなく、職場単位で説明する機会を設けることが推奨されます。


■ まとめ

ハラスメントの再発防止は、「個人の問題」ではなく「組織全体の仕組みと文化の改善」 によって実現されます。

  • 継続的な研修で「言い方・伝え方」を見直す

  • 外部相談窓口で安心して声を届けられる環境を整える

  • 職場アンケートやルール整備で改善を“形”にする

これらを組み合わせてこそ、社員の安心と企業の信頼回復につながります。

「何から始めればよいかわからない」という方は、まずは 外部専門家による再発防止研修や外部相談窓口の導入 から検討するのがおすすめです。

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再発防止の取り組みは、“形だけ”にしてしまうと逆にリスクを高めます。社外の専門家を交えて、実効性ある計画を作りましょう。

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