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【最新判例の視点で実務対応】パワハラと指導の違い|管理職が押さえる境界線(実務ガイド完全版)
2025/09/17
はじめに|このページの狙い
本ページは「判例カタログ」ではなく、管理職が今日から現場で使える実務ツール集 です。
近時の裁判例の傾向を踏まえつつ、会話例・面談進行・記録様式・運用チェックリスト に落とし込みました。
※セクハラ・マタハラ・SOGIなど他類型の判例は別ページ(総論記事)にまとめています。
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1.境界線の4原則(パワハラ/適正指導)
原則1:目的
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適正指導=業務改善・育成が目的(合意形成と支援策がセット)
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パワハラ=感情のはけ口・制裁・見せしめ
原則2:方法
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適正指導=事実ベース(数字・行動・頻度)+具体策+期限
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パワハラ=大声・人格否定・長時間にわたる一方的な指導(叱責)・公開での叱責(いわゆる「晒し」)
原則3:継続性・頻度
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適正指導=必要回数に限定、フォローで終結
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パワハラ=執拗、反省や合意なく繰り返す
原則4:影響
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適正指導=改善行動・再発防止につながる
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パワハラ=就業環境を害し、不眠・退職・休職へ
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2.“NG→OK”言い換えフレーズ集(即実務で使える10例)
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「給料泥棒」 → 「期待役割と成果にギャップがあります。今週は○○を目標にしましょう」
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「辞めてしまえ」 → 「配置や支援で改善できるか一緒に考えたい。まず○○を試しましょう」
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「人間として失格」 → 「業務上のこの行動が問題です。改善手順は○○、期限は○日です」
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「使えない」 → 「強みは○、課題は○。課題を○で補いましょう」
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「常識がない」 → 「このルールは○の安全・品質に直結します。次回からは○の手順で」
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「何回言わせる」 → 「前回の合意は○○でした。実行に障害がありましたか?」
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「恥を知れ」 → 「顧客影響は○、社内影響は○。再発防止の要点は○です」
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「皆の前で叱責」 → 「1対1で事実確認→合意→フォローで進めます」
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「人格/家庭への言及」 → 「業務と無関係な話題は避けます。行動と結果に絞ります」
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「延々と説教」 → 「30秒面談→記録→次回フォロー設定で終了します」
3.30秒面談フォーマット(5ステップ)
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事実提示:客観データのみ(例:納期×2回遅延)
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影響共有:顧客・チームへの具体影響(例:追加工数2時間)
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期待・基準:望ましい行動を具体化(例:報告は当日17時まで)
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支援提案:障害把握と支援(例:ツール設定支援)
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合意・期限:やること・期限・フォロー日(例:金曜15時に確認)
→ 「私が言った/言ってない」を避けるため、その場で簡潔にメモ化。
4.指導記録テンプレ(紛争対応も想定)
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日時/場所/同席者
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対象業務・事実(数字・行動)
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指導内容(期待行動・基準・期限)
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会社側支援(研修・ツール・人員調整)
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合意事項(相互確認)
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次回フォロー日時
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所要時間(15分以内推奨)
※人格評価は書かない。事実・合意・支援に限定。
5.エスカレーション基準(段階的対応)
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レベル1:軽微な不備 → 上長が30秒面談+記録
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レベル2:再発・影響大 → 上長+人事で合同行動計画
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レベル3:改善意思乏しい → 評価反映/懲戒検討(就業規則・手続を厳守)
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レベル4:上長自身が不適正対応 → 人事・外部相談窓口が主導
6.ありがちな“誤解”と回答(ミニQ&A)
Q:1回の暴言でもパワハラになる?
A:内容が悪質であれば1回でも認定され得ます。
Q:「高い目標」はパワハラか?
A:達成可能性+支援策があれば適正管理。支援なし+叱責はリスク。
Q:在宅勤務での注意は?
A:密室化(個別電話のみ)や晒し(公開チャット叱責)はリスク。1対1で事実確認・合意・記録が原則。
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7.近時の裁判例の傾向(要約)
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人格否定語・見せしめ叱責はリスク高
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「事実→改善→支援→合意」のプロセスは適正指導として評価されやすい
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メンタル不調・退職等の結果が出ると認定されやすい
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記録がなければ「言った/言わない」で会社不利
※判例詳細は総論記事に集約しています(→他類型や有名判例はこちら)。
8.ケーススタディ(現場での線引き)
ケースA:売上未達の叱責
NG:朝礼で大声・名指し叱責
OK:個別面談→数字分析→改善計画→フォロー設定
ケースB:遅刻の続く新人
NG:グループチャットで晒す/家庭への言及
OK:就業規則基準の説明→通勤経路の工夫→改善観察
ケースC:報連相不足
NG:「空気を読め」「やる気がない」
OK:報告定義を明文化→テンプレ配布→初回同行で習熟
9.運用チェックリスト(管理職用)
□ 指導の目的が「改善・育成」になっている
□ 事実で伝え、人格に触れていない
□ 言い換えフレーズを使った
□ 合意事項・期限・支援を記録した
□ フォロー日を設定した
□ 面談時間は15分以内
□ 外部相談窓口の案内を伝えた
10.関連情報(内部リンク)
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他類型(セクハラ/マタハラ/SOGI)の最新判例まとめはこちら
→ 「最新判例でわかる!ハラスメントのアウト/セーフ判定ライン【2025年版】」
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11.FAQ(抜粋)
Q:厳しい口調は全部アウト?
A:事実+短時間+合意+支援があれば適正指導。人格否定・晒し・長時間は避けてください。
Q:記録は最低限でよい?
A:簡潔でも「事実・合意・支援・期限・フォロー」を残すことが重要です。
Q:改善しない部下への対応は?
A:合意→フォロー→配置・OJT→評価反映の順。懲戒は規程と手続厳守が前提です。
12.まとめ|“厳しさ”ではなく“合意と支援”で動かす
強い言葉より、事実→改善策→支援→合意→記録 のプロセスこそが職場を変え、法的リスクを下げます。
線引きは個人感覚ではなく、組織の仕組み で担保しましょう。
当事務所は、研修・外部窓口・規程整備まで一気通貫で支援します。
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