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【コラム】社内調査と外部調査の違い|第三者ヒアリングが選ばれる理由

2025/09/29

ハラスメント事案が発生したとき、最初に必要となるのが「事実確認のためのヒアリング」です。
ところが、調査を社内だけで完結させようとすると、いくつもの壁にぶつかります。これは社内担当者がハラスメント対策に詳しく優秀であっても、また人望が厚い担当であっても同じように起こります。

  • 報復を恐れて本当のことを言えない

  • 調査担当者と当事者の利害関係が強く、公平性が疑われる

  • 記録の取り方や質問方法が不適切で、後に裁判や労基署対応で不利になる

こうした課題から、近年は 外部の専門家による第三者ヒアリング代行 を導入する企業が増えています。厚労省のパワハラ防止指針でも、調査の中立性・適正性の確保が求められています。


社内調査の特徴と限界

社内調査のメリットは、スピードとコストです。
担当部署やコンプライアンス部門で即時対応できるため、緊急時には迅速な初動が可能です。

しかしその一方で、

  • 被害者が「人事部に話しても会社に不利益になるから握りつぶされるのでは」と疑念を抱く

  • 行為者から「公平な機会が与えられていない」と反発される

  • 担当者自身が無意識に誘導的な質問をしてしまう

といったリスクが高く、調査結果の信頼性が揺らぐケースも少なくありません。

社内調査と外部調査の違い(比較表)

項目 社内調査 外部調査(第三者ヒアリング)
中立性 社内人事・上司が担当するため利害関係が発生しやすい 利害関係のない外部専門家が担当するため公平性が担保される
守秘性 情報が社内で流出するリスクがある 社労士法21条・個人情報保護法等に基づき厳格に守秘義務を徹底
証拠性 記録が不十分で裁判・労基署対応で弱いことがある 適切な質問・記録により証拠性の高い資料を作成可能
心理的安全性 被害者が「正直に話せない」ケースが多い 中立性が担保され安心して発言できる
コスト 低コストで迅速に対応可能 一定の費用が発生するが信頼性の高い結果が得られる

外部調査(第三者ヒアリング)の特徴

一方で、外部専門家による調査は 「中立性」「守秘性」「証拠性」 の3点に強みがあります。

  • 中立性:当事者と利害関係のない立場で聴き取りを行うため、公平な調査が可能

  • 守秘性:社労士法21条などの法令に基づき、調査内容を厳格に管理

  • 証拠性:適切な質問手法と記録方法により、後の説明責任や紛争対応に耐えうる資料が残る

また、心理的安全性に配慮した面談を行うため、被害者・行為者ともに安心して発言できることが多く、結果として「真実に近い事実」が浮き彫りになります。


第三者ヒアリングが選ばれる理由

最近の傾向として、労基署の是正勧告や裁判では 「企業がどのように調査を実施したか」 が重視されます。
社内調査のみでは「不十分」と判断されることもあり、第三者調査を併用することが有効なリスク管理策となっています。

実際に当事務所が支援した事例でも、

  • 社内調査では「相談ゼロ」とされていた職場で、外部ヒアリングにより複数の本音が明らかになった

  • 行為者にも十分な発言機会を与えることで、懲戒処分の適正性を担保できた

  • 報告書をそのまま労基署や顧問弁護士に引き継ぎ、迅速な対応につながった

といった効果が得られています。


まとめ

ハラスメント事案の調査は、単に「話を聞いた」という事実だけでは不十分です。
中立的・守秘的・証拠性のある方法で聴き取りを行うこと が、再発防止や企業の説明責任を果たすために欠かせません。

社内調査のスピードと、外部調査の中立性をうまく組み合わせることが、これからの企業に求められるハラスメント対策のスタンダードといえるでしょう。

→ 詳しくは [ハラスメント調査・ヒアリング代行サービス] ページをご覧ください。


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