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【2025年対応版】就業規則に入れるべきハラスメント防止条文完全ガイド|社労士監修
2025/10/07
はじめに|就業規則でハラスメント防止を明文化する重要性
パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラ…。
現代の職場で「ハラスメント防止規程」は欠かせないルールとなりました。
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改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、全企業にハラスメント防止措置が義務化
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厚労省指針でも「就業規則への明記」を推奨
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就業規則に条文がない場合、労基署調査・裁判で不利になる可能性
そのため、就業規則には 明確で実効性あるハラスメント防止条文 を盛り込む必要があります。
1. ハラスメント防止条文を入れるべき背景
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労働施策総合推進法(第30条の2):職場のパワハラ防止措置が全企業に義務化
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男女雇用機会均等法:セクハラ防止規程の整備義務
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育児・介護休業法:妊娠・育児を理由とする不利益取扱い禁止(マタハラ防止)
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公益通報者保護法:通報者への不利益取扱い防止
- 労働契約法第5条:職場環境配慮義務
→ 違反すれば、是正勧告・企業名公表・損害賠償請求につながる可能性があります。
2. 就業規則に盛り込むべき具体的な条文例
(1)ハラスメントの禁止
「職場において、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、カスタマーハラスメントその他あらゆるハラスメント行為を禁止する。」
(2)相談窓口の設置
「従業員は、ハラスメントに関する相談・苦情を会社の相談窓口に申し出ることができる。会社は秘密を保持し、相談したことを理由とする不利益取扱いを行わない。」
(3)調査・是正措置
「会社は、相談を受けた場合、迅速かつ適正に事実関係を調査し、必要な是正措置を講じる。」
(4)懲戒事由としての明記
「ハラスメント行為を行った者は、就業規則の懲戒規程に基づき、懲戒処分の対象となる。」
3. よくある不備と失敗事例
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禁止条文が抽象的すぎる
→「ハラスメントを禁止する」とだけ記載では裁判で無効リスク。 -
相談窓口が未整備
→ 形だけの規程で機能不全。使用者責任を問われた事例あり。 -
懲戒規定とリンクしていない
→ 処分が無効となり、加害者が復職命令を受けた判例あり。 -
通報者への不利益取扱い未記載
→ 公益通報者保護法違反で企業名公表のリスク。
4. 判例から学ぶハラスメント規程の必要性
東芝柳町工場事件(東京地裁 昭和61年)
セクハラ行為に対する懲戒解雇が「懲戒規定に明記されていなかった」として無効とされた。
→懲戒事由にハラスメント行為を明示する必要がある。
大和銀行事件(大阪地裁 平成9年)
セクハラ被害者の配置転換が「不利益取扱い」とされ、使用者責任を認定。
→相談者保護・不利益取扱い禁止の条文が必須。
5. 就業規則改定のステップ
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現行規則にハラスメント防止規程があるか確認
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法令・厚労省指針に沿った条文に修正
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懲戒規定と整合性をチェック
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労働者代表と協議のうえ労基署へ届出
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相談窓口・研修など実効性ある運用体制を整備
6. FAQ(よくある質問)
Q1. モデル就業規則の条文をそのまま使って大丈夫?
A. モデル条文は抽象的で最低限の内容です。トラブル対策や裁判に耐えるには行為の具体例が不足しているため、自社に合わせた修正が必要です。
Q2. 就業規則だけでハラスメント防止義務を果たせますか?
A. 不十分です。規則に加えて相談窓口設置・研修・周知徹底が求められます。
Q3. 小規模事業者でも必要ですか?
A. 全企業に義務化されています。規模を問わず就業規則での明文化が必須です。
まとめ|「条文なし」は致命的リスク
ハラスメント防止条文を就業規則に盛り込まないことは、今や経営上の重大リスクです。
実際に裁判例でも「懲戒規定に禁止行為が明記されていなかったため、懲戒処分が無効とされた」ケースが存在します
→ 自作や古い就業規則に不安がある場合は、社労士による点検・改定サポートをご利用ください。
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