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【2025年対応版】中小企業の定着率向上策まとめ|採用後3年で辞めない職場づくり
2025/09/22
はじめに|「採用できても続かない」深刻な現実
中小企業の人材課題は「採用難」だけではありません。せっかく採用しても、1年以内に辞めてしまう若手社員や、新卒入社後すぐの離職が増えています。
厚生労働省『雇用動向調査 令和6年(2024年)』の調査によると、新規学卒就職者の3年以内離職率は約30%前後で推移しており、中小企業に限るとさらに高い傾向があります。業種別では、宿泊・飲食サービス業で約50%、小売業で40%近くが3年以内に離職しています。
また近年は「退職代行サービス」の利用が増加し、入社して数か月〜1年以内に突然辞めるケースも企業の現場で問題となっています。
採用に多額の広告費や労力を投じても、早期離職が続けば企業は常に人材不足の悪循環に陥ります。
本記事では、中小企業が取り組むべき 「定着率向上策」 を多角的に整理し、成功と失敗の事例を交えて解説します。
定着率が低い企業の特徴
離職率の高い企業には、いくつかの共通する問題があります。
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求人票と実態のギャップ
「残業少なめ」と記載しているのに実際は月40時間超。結果、若手が「だまされた」と感じて退職。 -
教育・オンボーディング不足
入社後のフォローがなく放置状態。仕事を覚える前に「自分は不要」と感じて辞める。 -
人事評価制度の不透明さ
昇給基準や評価基準が曖昧で、将来像が見えない。 -
長時間労働・休日不足
ワークライフバランスが崩れ、1年も持たずに退職。 -
ハラスメント・人間関係の悪化
パワハラ・セクハラに加え、最近は「カスハラ(カスタマーハラスメント)」による退職も増加。
業種別・中小企業の離職率(簡易版)
業種区分 | 中小企業の離職率(3年以内) | 特徴・傾向 |
---|---|---|
宿泊・飲食サービス業 | 約50% | 離職率が最も高い。シフト制・低賃金・労働時間の長さが要因。 |
小売業 | 約40% | 若年層中心に離職が多い。キャリアパス不明確さが課題。 |
医療・福祉 | 約35% | 人手不足と過重労働が要因。新卒・若手の早期離職が目立つ。 |
建設業 | 約30% | 技能承継の難しさ・体力的負担で若年層の定着が課題。 |
製造業 | 約25% | 他業種より安定。ただし中小企業は処遇格差により離職が発生。 |
情報通信業 | 約25% | プロジェクト単位の勤務負荷やミスマッチで早期退職が増加。 |
サービス業(その他) | 約30% | 多様な職種で差が大きい。人間関係・評価制度不備が影響。 |
(出典:厚生労働省「雇用動向調査 令和6年(2024年)」を基に当社作成)
※宿泊・飲食業は2人に1人が3年以内に辞める
※全産業平均=約30%
【データ補足】
上表のとおり、宿泊・飲食業では2人に1人が3年以内に離職し、小売業・医療福祉でも高い傾向が見られます。
一方で製造業や情報通信業は比較的安定していますが、中小企業では「処遇格差」や「教育不足」により離職が発生しており、業種特性に応じた対策が不可欠です。
中小企業が実践できる定着率向上策
(1) 求人票と実態の一貫性
求人票は「入社後の約束書」です。誇張表現や曖昧な記載はトラブルの元。
実態を正しく伝え、魅力を見せる表現に変えるだけで、入社後のミスマッチを防げます。
(2) オンボーディング(入社初期フォロー)
入社1年以内に辞める社員の多くは「孤立感」を原因としています。
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初日から専任のフォロー担当者を配置
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マニュアル・研修の整備
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3か月・6か月・1年面談の実施
これらを徹底することで、「定着する最初の1年」を乗り越えやすくなります。
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(3) キャリアパス・人事評価制度の明確化
「頑張ればどう評価されるのか」を見える化しなければ、若手は辞めてしまいます。
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賃金規程や評価制度を整備
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昇進・昇給ルールを透明化
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面談を通じてキャリアプランを共有
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(4) 職場環境の改善
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長時間労働の是正(36協定順守)
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有休取得率アップ(厚労省調査:中小企業の有休取得率は平均56%前後と低水準)
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フレックスタイム・リモートワーク導入(業種に応じて)
(5) 福利厚生と心理的安全性
大企業のような豪華な制度は不要です。
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健康診断、産業医面談、ストレスチェック
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社員アンケートによる職場改善
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外部相談窓口の設置(ハラスメント対策)
安心できる環境が「辞めない理由」につながります。
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成功事例
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サービス業(従業員30名)
シフト制度を見直し「月2回の連休」を導入。離職率30% → 10%に改善。 -
医療業(歯科医院・従業員5名)
新人教育プログラムを導入。1年以内離職ゼロを達成。 -
製造業(従業員50名)
評価制度を刷新し、若手社員の昇給基準を明確化。採用応募数が増加し、定着率も改善。
失敗事例から学ぶ
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福利厚生だけ拡充 → スポーツジム補助を導入したが、利用者が少なく離職に歯止めかからず。
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教育研修に投資 → 研修後の評価制度が曖昧で「頑張っても報われない」と離職。
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給与アップのみ → 人間関係やハラスメントに対応せず、退職代行で一斉退職に発展。
➡ 「給与・制度・人間関係・理念」すべてのバランスが必要。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 定着率はどう測定すればいい?
→ 「入社1年以内離職率」「3年以内離職率」で確認。厚労省統計と比較すると現状が見える。
Q2. 低賃金業種でも改善できる?
→ 給与水準だけでなく「休暇制度」「職場環境改善」で応募・定着率は改善可能。
Q3. 若手社員の離職率対策は?
→ 入社初期のオンボーディングとキャリアパス提示がカギ。1年目を支える仕組みづくりが重要。
Q4. 福利厚生と評価制度、どちらを優先すべき?
→ 評価制度の整備が先。給与・昇給基準が不透明だと、福利厚生だけでは離職は防げない。
Q5. 外部支援を依頼するメリットは?
→ 社労士による制度点検・就業規則整備・外部相談窓口設置などを通じ、法令遵守+定着率向上を一体で進められる。
Q6. 退職代行で突然辞められるのを防ぐには?
→ 入社初期のフォロー(オンボーディング)と相談窓口の設置が有効です。「声を上げやすい環境」がないと、社員は外部に頼って退職を選んでしまいます。
まとめ|「採用=定着」までがゴール
中小企業の採用活動は「入社まで」では終わりません。
定着率の改善こそが採用コスト削減と企業成長の両立に直結します。
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求人票と実態の整合性を徹底
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入社1年目の支援体制を整える
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評価制度・キャリアパスを透明化
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働きやすい環境と心理的安全性を確保
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