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【2025年版】採用難の解消にはまず定着管理(リテンション・マネジメント)から

2020/01/22

(最終更新日:2025/09/18)

1. 採用難時代に求められる「定着管理」

中小企業の経営者や管理職からは「人材不足」という声が絶えません。
しかし採用を考える前に、「従業員の定着管理(リテンション・マネジメント)」が十分に行われているでしょうか。

いくら採用を重ねても、離職率が高ければ「穴の空いたバケツ」と同じです。
少子高齢化による労働人口減少が続くなか、「補充すれば解決する」という発想はもはや通用しません。
今いる従業員の疲弊や離職リスクを軽視したままでは、人手不足は解消できないのです。


2. 賃金だけでは定着しない

定着率改善=賃金アップと考えがちですが、それは手段の一つにすぎません。
「高収入」をアピールする求人が氾濫していても、仕事のやりがいや働きやすさを重視して職場を選ぶ人は少なくありません。

つまり、定着管理は 賃金以外の要素 にもしっかり目を向ける必要があります。

最低賃金×助成金に頼らない吸収策|人件費上昇を乗り切る実務対応(社労士監修)


3. 定着管理の具体策

(1) 公平な評価制度

  • 誰に評価されるのか明確化する

  • 評価基準の公開と透明性確保

  • 評価者の訓練を行う

評価制度に完璧はありませんが、従業員が「公平に見てもらえている」と感じることが信頼につながります。


(2) 心理的安全性の高い職場

Googleの研究でも「心理的安全性のあるチームは成果が高い」とされています。
失敗や疑問を口にしても不利益を受けない環境は、離職防止に直結します。

狭い個室での面談や形式的なアンケートでは本音は引き出せません。
経営者や管理職が目線を合わせ、日常の会話の中で安心感を醸成することが重要です。


(3) キャリアパスと柔軟な働き方

  • 昇進・昇給の基準を明確にする

  • ジョブディスクリプション(職務記述書)の整備

  • 育児・介護・自己実現に対応できる働き方(時短勤務・副業・休職制度)の選択肢を用意する

これにより、貴重な人材の早期離職を防ぐことができます。


(4) 教育訓練と能力開発

  • 新入社員から管理職まで段階的な教育を実施

  • 管理職にはハラスメント防止研修や労務コンプライアンス研修を導入

  • 外部専門家による講師派遣で効果的な学びを提供

教育はコストではなく投資です。


(5) 法令知識と説明責任

  • 有給休暇、残業、社会保険料など基本的なルールを従業員に説明できる体制が必要

  • 不明確なルールや誤解が、職場への不信感や訴訟リスクを招きます

  • 法令違反が見つかった場合は迅速に是正する姿勢が信頼を生みます


(6) 信頼関係の構築

経営者と従業員の信頼関係は定着の根幹です。
待遇・福利厚生・評価制度・情報公開を通じて「会社は自分たちを大切にしている」と実感できる環境が不可欠です。


4. まとめ|採用より先に「定着」を

「どう採用するか」の前に「どう定着させるか」を考えることが、採用難時代の企業経営における必須戦略です。

従業員が安心して働ける職場は生産性が高まり、自然に応募も集まります。
求人が集まらないときこそ、自社の労働環境を客観的に見直すタイミングです。


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