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2019年雇用動向調査結果が公表!今後の労働市場はどう動く?

2019/08/22

6年連続の入職超過状態で好景気動向は続く

2019年(令和元年)8月21日、厚生労働省による2018年(平成30年度)雇用動向調査結果の概要が発表されました。

全国で16大産業を対象に5人以上の常用労働者を雇用する事業所のうち無作為に抽出した15,291事業所と入職者59,622人、離職者78,212人を対象に郵送またはオンラインで調査を実施しています。

注目

✅今後も人材不足状況は続く!?

✅転職の限界ラインは49歳まで!?

✅職場環境改善に取り組まない企業は女性社員に逃げられる!

✅転職加速で労働環境向上に遅れた企業は競争力低下

【事業所調査】

1⃣事業所の属性及び企業全体の常用労働者数

2⃣性、雇用形態及び就業形態別常用労働者の移動状況

3⃣性、年齢階級及び就業形態別常用労働者数

4⃣職業及び就業形態別常用労働者数並びに未充足求人数

【入職者調査】

1⃣属性に関する事項

(性、年齢、最終学歴及び卒業した年)

2⃣入職に関する事項

(インターネット利用の有無、入職経路、就業形態、職業、前職の有無、入職前の勤め先の所在地又は入職前の居住地及び現在の勤めの有無)

3⃣前職に関する事項

(地位、離職期間、企業規模、前勤務先の離職理由、現在の勤務先を選んだ理由及び転職による賃金変動状況)

【離職者調査】

1⃣属性に関する事項

2⃣離職直前の雇用状況に関する事項(就業形態、職業、勤続期間及び離職理由)

入職と離職の推移

一年間の入職者数は766万人、離職者数は724万人の差引42万人の入職超過

一般労働者(正社員)は424万人、離職者数は414万人で差引9万6千人の入職超過、パートタイムは入職者342万人、離職者は309万人で差引32万8千人の入職超過となっている。

入職率、離職率をみると、入職率は15.4%、離職率は14.6%で入職超過率は0.8%、前年比で入職率が0.6%、離職率が0.3%それぞれ減少、入職超過率は縮小した。

うち男性の入職者は12.9%、離職率12.5%、女性の入職者は18.5%、離職率17.1%

雇用形態別では、入職者のうち、雇用期間の定めなしが296万人、定めありが128万人、パート労働者では定めなしが138万人、定めありが203万人、離職者では定めなしが296万人、定めありが118万人、パートタイムでは定めなしが73万人、定めありが236万人となり、前年比で一般、パートともに、「定めなし」が入職者、離職者ともに減少し、「定めあり」は入職者、離職者ともに増加しています。

職歴別入職者数、入職率の状況

入職者の職歴によると、転職者は495万人で10%、未就業入職者は271万人(新卒122万人)で5%を占め、前年比では転職者で0.2%、未就業者で0.3%それぞれ低下している。

産業別の入職・離職

産業別の入職と離職指数をみると、入職者数は宿泊業・飲食サービス業が127万人ともっとも多く、次いで卸売業・小売業が122万人、医療・福祉離職者数が119万人と続く。離職者数は卸売業・小売業が121万人と最も高く、次いで宿泊業・飲食サービス業の117万人、医療・福祉が113万人と続く。

前年比では入職者数はサービス業が12万人減少と最も減少幅が大きく、次いで製造業10万人減少と続く。離職者数は医療、福祉で16万人と最も増加幅が大きく、次いでサービス業で10万人減少と続き、宿泊業、飲食サービス業が25万人と最も減少幅が大きく、次いで運輸業、郵便業が8万人減少と続く。入職率、離職率ではいずれにおいても宿泊業、飲食サービス業が最も高く(入職率29.3%、離職率26.9%)、生活関連サービス業・娯楽業で入職率28.1%、離職率23.9%と続く。

入職率、離職率の双方が高い場合は人材定着性の低さを表しており、人材定着性の低さはサービスや品質レベルの低下による競争力の弱体化を招きます。きついといわれる職種では指数上も如実に表れています。

性別、年齢階級別の入職・離職

性、年齢階級別の入職と離職を見ると、男女ともに入職率は24歳以下が他の階級に比べて高く、離職率は29歳以下に加えて60歳以上も高くなっている。入離職の大小では男女共に24歳以下は入職率が高く、60歳以上では離職率の方が高くなっている。

入職者に占めるパートタイム労働者の割合

パートタイムの割合をみると、20~24歳以降の女性は年齢が上がるとともに高くなり、35歳~39歳で5割を超え(男性1割)、60歳で7割(男性4割)、65歳以上では9割(男性7割)を超えている。

転職入職者の状況

年齢階級別転職入職率

転職入職率を性、年齢階級別にみると、女性は19歳以下と60歳以上を除き各年齢階級で男性より比率が高い。就業形態別にみても19歳以下を除いた各年齢階級でパートタイム労働者の割合が高い。雇用形態感の移動状況では、「雇用期間の定めなしから雇用期間の定めなしへ移動」は45%、「定めなしから定めあり」は15%、「定めありから定めなし」は9%、「定めありから定めあり」は27%となっている。前年比では「定めなしから定めなし」は3.8ポイント低下、「定めありから定めあり」は4.4%の上昇となっている。

離職理由

前職を辞めた理由をみると、男性は「定年・契約期間の満了」が16.9%と最も高く、次いで「給料等収入が少なかった」が10%、女性では「定年・契約期間の満了」が14%に次いで、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が13%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11%と続いている。特に前年と比べて上昇幅が大きいのは、「職場の人間関係が好ましくなかった」が0.5%上昇している。

女性が離職する理由の上位には『給与等収入が少なかった』を上回って『労働時間、休日等の労働条件』、『職場の人間関係』がランクインしています。つまり、女性の従業員を多く雇用したいと計画するならば、ハラスメントの防止やインターナルコミュニケーションの施策に取り組み、労働時間の短縮や休日増加に取り組めば成功するといえます。多くの職場では給与重視の『男性向き労働環境』ともいうべき状態であり、人材不足を補う人事戦略を行う際には男女兼用ジェンダーレスの労働環境へ見直しを行うことが効果的です。

結婚、出産、育児を理由とする離職(女性)

結婚を理由とした離職は25~29歳で最も高く、すべての年齢でパートタイムを一般が上回っている。また、出産・育児を理由とした離職は30~34歳が最も高く、20~34歳までの年齢階級で一般をパートタイムが離職率で上回っている。

転職者の賃金変動状況

前職の賃金と比べ増加した割合は37%、減少した割合は34%、変わらないは27%になっている。うち1割以上増加は25%、1割以上減少は26%となっており、前年比では増加割合で0.6%、減少割合で0.1%低下しており、割合の差は増加が減少を2.8%上回っている。

転職後の賃金(%) 増加 減少
19歳以下 48.5 19.3 29.2
20-24歳 48.6 25.4 23.2
25-29歳 46.6 27.8 18.8
30-34歳 44.7 29.2 15.5
35-39歳 39.5 29.6 9.9
40-44歳 41.4 24.3 17.1
45-49歳 38.9 29.5 9.4
50-54歳 26.9 37.7 -10.8
55-59歳 24.9 46.3 -21.4
60-64歳 14.2 70.5 -56.3
65歳以上 20.4 43.8 -23.4

昨年の調査で比較可能な2004年調査以降過去最高水準となった「転職によって賃金が増加した人の割合」は本年の調査でも過去最高水準を更新しており、転職の限界といわれていた35歳を過ぎた40~44歳区分でも41%を超えた好条件で転職する人が増えており、転職の限界ラインは大きく引きあがっていることが期待できます。会社員にとって最終カードである退職届についても、清水の舞台から飛び降りるほどの心理的ハードルは一気に下がり、ますます転職率は加速するものと思われます。人手不足によって優秀な人材を確保するために賃金を引き上げする企業も多く、他社との待遇競争に多くの企業が動いています。50歳以上では賃金が下がっている割合が高い裏には、「定年を意識する年齢となっても転職にチャレンジする高齢者が増えている」ことも考えられます。

雇用動向調査のまとめ

☑若年層ほど転職で給与が上がる可能性が高く、転職の限界ラインは49歳まで

☑正社員とパートを問わず、人手不足により全体の賃金は増加している

☑男性に比べて女性は給与より待遇を重視している

以上のことが大枠読み取れます。今後経済不況となるような大きな事件が無い限り現状の推移は続くと思われるため、企業側では待遇改善、給与アップなどの職場環境改善やワークライフバランスの充実など、あらゆる労働施策への取組で競争力を高めなければ人材不足・採用難から脱することはできません。定着率が低く短期入退社を繰り返し、サービス・品質レベルの低下によって競争力を失えば厳しい社会で生き残ることはできないため、職場環境改善は経営上も極めて重要な施策として取り組むことが必要です。

 

出典参考資料:厚生労働省平成30年度雇用動向調査(2019.8.21公表)

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