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未経験でも社労士として開業したい!資金と売上と廃業の不安にお答えします

2021/07/27

(最終更新日:2022/12/12)

当社も創業から6年の決算を迎え、多くの事業主や職場に悩む個人から多数の相談を扱わせていただいてきましたが、最近は偉くなったもので、社会保険労務士としてこれから独立開業したいと考えている方や事務所経営で悩んでいる同業者からも相談が来るようになりました。

既に社労士法は制定50年を超え、数多おられる偉大なレジェンド先輩方とお話させていただくとまだまだ当職など足元にも及ばぬ小僧事務所と自認してはおりますが、それでもすでに当社は従業員も10人(2022年6月時点)の事務所になり、一般企業としては小規模零細企業に該当しますが、ほとんどが所長一人、またはパートさんだけの個人事業主が多い社労士事務所としては(これでも)上位10%程度の成功している眩しい事務所、私は勝ち組のカリスマ先生に見えるようです。

わずかな時間で苦難続きだった試験にも無事合格し、これからの進路として開業を検討する方たちの一番の悩みは、「どうやって売上を確保していくか」に尽きると思います。そして、儲かっている事務所はどんな事業を柱とし、どんな取り組みを行って成長したのか知りたいのです。そして、あわよくばパクリたいのも本音です。

誰もが一度は夢見る「一国一城の主」としての独立開業が甘いものではないことは皆さまよく理解しているかもしれませんが、開業する前に知っておけばもうちょっと楽ができたかもしれないことも多くあるはずです。不遜にも当事務所が開業希望者に行っているアドバイスの主なものをご紹介いたします。

 

無収入寿命を延ばす

あらゆる企業経営に共通することですが、事業はマイナスからのスタートであり、売上が無い赤字の状態を耐えぬく体力(資力)がどれだけあるかが極めて重要になります。そして、事業の収益が安定化するXデーまでには数年、長い場合であれば5年近くかかった事業所も「かなり多く」あります。無駄なものにカネを使っていればあっという間に寿命が尽き夭折しますし、また売上獲得のための広告宣伝費や消耗品関係など、事業活動に欠かせない経費をどれだけ抑えるかも経験の活かしどころです。放っておいても給料が振り込まれ続けた脱サラ組は特に事業計画が甘いので、無収入状態でどれくらい生きることができるか、厳しめの資金計画を立てて、先輩経営者にチェックしてもらいましょう。なお、社労士のような無形サービス事業者は大きな設備投資を要しないメリットがある一方で、金融機関の融資も受けにくい側面があります。ということは、融資に頼らない自己資金だけで耐えなければならないのが基本です。

効果的な集客手法について

開業2年程度までは、暇で不安な事業主の心の隙間を突く「ヒヨコ食い」ビジネスが日夜激しく営業をかけてきます。「ビジネスマッチングサイト」や「有名人との対談」、「書籍の制作」や「セミナーや会合への参加」等、高い集客効果を謳って費用を集(たか)ってきます。中には効果があるものもあると思いますが、経営の基本として「他力に依存する集客モデルはいずれ必ず破綻する」ことを理解しておかなければなりません。

地道なチラシ撒きやホームページ集客、SNSやブログの更新などをせっせと行ってもさっぱり反響が無く苦しいため、すぐに効果がでる方法を求める心理は理解できますが、地道な努力だけが盤石な経営基盤を築くことと信じて苦しい日々を続けるしかありません。特に士業事務所に「一攫千金」はありませんので、売上が苦しくても知らない他人の養分にならないよう、飢えに耐える精神力を鍛えましょう。

 

メインとする事業について

国家資格である社会保険労務士はその資格でしか扱うことのできない独占業務の範囲が広いため、事務所の収益となりえる業務は多岐に渡ります。近年は「給与計算や届出関係の1号・2号業務(事務代行)はオワコン!これからはコンサルや!」と言われて久しいですが、当社の知るところ開業1年目から事務代行だけで立派に生計を立てている事務所は数限りなくありますが、まともなコンサルだけで社員を養えるようになった会社は聞いたことがありません。何をメインにしていくかは開業前と直後は悩みますし、何をやってもうまくいかない開業直後はいろいろなことにチャレンジすることも悪くありませんが、収益性の高さよりも「得意を仕事に」の初心で続けていくことが苦しみを乗り越えるポイントかと思います。「面白くない・クレーム多い・儲からない」のセットは地獄ですし、そういう事業は長続きしません。

なお、当社は独占業務以外のコンサルティング(いわゆる3号業務)をメインに行っておりますが、給与計算や社会保険の得喪など1・2号の事務代行は経験値とノウハウの不足により客が取れなかっただけで、お客様の要望があれば1号・2号業務もしっかり行っています。

 

運転資金の相談

経営に運転資金の悩みは付きものですが、経験の浅い社労士事務所は創業して間もなく運転資金が枯渇した時に金融機関から資金調達することは困難です(経験済み)。開業前から政策金融公庫で融資計画を相談しておくほか、あっさり無くなる運転資金のつなぎ方法について、家族や親せきから借入の可能性も含めて準備しておく必要があります。場合によってはプライドを捨ててアルバイトで食いつなぐことも選択肢のひとつです。

社労士だけに限らず、税理士や行政書士など独占業務で強い権限を国から与えられて儲かっているように見える士業事務所ですが、実態としては債務超過・経営不振に陥っている事務所も多く、今回のコロナで実施された「持続化給付金」、「雇用調整助成金」、「●●支援金」の報酬欲しさに不正に加担してしまった事件は報道の通りですが、刑事罰だけでなくせっかく苦労して取得した資格は使えなくなりますし、不名誉な理由でネットに氏名が掲載されればまともな仕事を取るのは絶望的です(元士業に仕事を頼む会社はありません)。自分の貯金だけでなく、借入や補助金を活用して事務所の「現金」に余裕を持たせるためには、余裕を持たせようという意思が必要です(いわゆるダム式経営ですね)。運転資金が底をついてから盛り返すのは大変しんどいです!(経験済み!!)

 

新規開拓の営業手法について

社労士事務所に限らず、会社経営は「営業」が最も重要です。売上のない事業所はどんなに立派な肩書であっても全く意味が無く、社会に必要とされていない疎外感はものすごく苦しいものです。しかしご安心を。公認会計士や弁護士先生など、超難易度の試験を突破した超優秀(?)な人は、プライドが高すぎて営業しない・できない人ばかりです。紹介やホームページの集客だけで成り立つような時代ではありませんし、他事務所は営業がめちゃくちゃへたくそなので、努力で何とかなります。口下手の方が相手の悩みや本音を聞き出しやすい面もありますし、おしゃべり好きで立派なことを言える人より口下手でも実直なほうが経営者相手なら信用されることもあります。とにかく、士業事務所は営業能力ゼロ、しかも先生と呼ばれる勘違いでサービス業としてあり得ないレベルの横柄な人間も多いので、謙虚で営業方法を少しでも気にしている時点で優位性があります。社労士は食えないと言っている人は独立したことが無い人か、偉いと勘違いして営業せず失敗した生涯敗者なので気にする必要はありません。どんな業種でも起業は厳しいですが、資格は確実にアドバンテージになります。人と会うのが苦手ならメールだけでもいいですし、会わないことを徹底すれば生産性の高い効率的な経営が可能です。コロナでオンラインが普及したおかげで、遠方の仕事も工夫次第で受注できます。当事務所もほとんどオンラインです。

夢の年収1,000万円越えは本当に可能か

新規登録者向けの開業セミナーに参加すると、売上目標設定の重要さと、まずは『3年で売上1,000万円』を目指すことをアドバイスされるようです。さて、その売上1,000万円を目指す前に会計の基礎知識を学んでおきましょう。個人事業の税務において収入とは、1月1日からの一年間で得たお金や物品など全ての合計をいいます。つまり、個人事務所の年収は、法人でいうところの売上+雑収入を指しており、広告宣伝費をかければ年収1,000万だろうと一億だろうと誰でもあげることができます。事業主として大事なのは、経費を差し引いた利益。個人ならば所得です。素人相手の商売はポピュリズムが必要で、わかりやすい指数を用いたほうが説明が楽なのかもしれませんが、「売上」を目標に定める時点でナンセンスです。経営者的感覚があれば個人事業者の年収など全くどうでもよく、利益はどやねんと聞きたいところですが、自分を大きく見せたい講師が自事務所の利益を公表するはずがありませんね。会社員の年収1,000万と、事業主の年収1,000万は全く違います。マッチングアプリの年収には気を付けましょう。

年収1,000万円を夢見る前に、高い利益率を狙える士業事務所が売上だけを目標にしたり、他人の売上を比較するのは惨めになるだけなのでやめましょう。セミナーの先生が熱弁される売上より大事なことがあります。労務の専門家を名乗るなら、わき目もふらずに馬車馬のように働いて利益を出して、いっぱい社員を雇用して、給与も休みもいっぱい出して、いっぱい納税する。これが正しい目標です。

報酬の設定について

社労士に限らず、士業事務所は報酬制限が撤廃され、出資法などに抵触しない限りは基本的に報酬は自由です。つまり、支払いする側が納得してくれるならばいくらでもかまいません。ここで、価格競争や顧客の押しに負けて安請け合いしてしまうことがあるかと思います。また、受託したはいいけれど、あまりにも工程が多すぎて全く利益がでない仕事もあるかもしれません。経験と自分を納得させられるならばタダで仕事を受けてもいいと思いますが、従業員を雇うとそういうわけにはいきません。なぜなら、直接事業所経営に関与する従業員がいる以上、勝手にタダで仕事を引き受けるということは、従業員が得られる報酬を事業主が勝手に放棄していることと同じだからです。未熟な間の勉強代や専門知識を活用したボランティア活動(プロボノ)と考えることも時には必要ですが、事業所が損をするような仕事は単発以外では引受してはいけません。自分のノウハウや労務の提供によって付加価値を提供し十分利益が出る仕事だけを選別する習慣は、早い段階から身に付けなければなりません。失敗してしまった値決めは容易には挽回できず、いつまでも足を引っ張られます。

 

スポットの依頼は儲かるのか

継続的・安定的な収入を見込める顧問先を獲得したいのは誰でも同じですが、顧問契約ではなくスポットの依頼はどうなのか、気になる方も多いようです。まず、スポットの依頼は請負であり、例えば就業規則の作成や助成金申請業務が挙げられます。「スポット業務から顧問契約につながるか」というご質問は多くいただきますが、当社としては顧問契約につながったことはほとんどありません(ゼロだと思います)し、仲の良い同業他社に伺ってもスポットから顧問契約につながることは稀なようです。スポット業務は事務所の収益としてはあまり期待せず、お小遣い程度と割り切るのがよさそうです。コロナ禍ではスポットとはいえ雇用調整助成金の特需依頼が爆裂した事務所が多くありましたが、二度とないと思います。なお、経済産業省関連の補助金サポートはかなり勉強しなければ採択されませんが、何度も立ち上がってチャレンジし続けていればスポットでも単価が大きいため結構儲かるようになります。

 

社労士事務所向け規則類ひな型パッケージを販売しています

試験にも合格し、これから社会保険労務士として開業しようとしているけれども、売る商品が無い。というのはよくあるお悩み。特にスポット業務で頻繁に依頼のある「規則類の作成」は創業時の事務所経営を支える大きな収益源になります。とはいえ、一から事務所オリジナルの就業規則を作成するのは現実的ではありません。当事務所では同業の社労士事務所だけでなく、税理士事務所、行政書士、コンサル会社にも規則類ひな型のパッケージ販売を行っております。なお、当事務所も開業時に先輩事務所から高額な規則を購入し研究しましたので恥ずかしいなどと思わず、どんどん買ってください(使い方や再販価格は自由です)。

➡就業規則パッケージの詳細はこちらのページへ

その他の収益事業として「採用代行コンサルティング業務」や「ハラスメント防止研修講師」など、高収益も可能な3号業務にもチャレンジしたいという方には、僭越ながら同業者にも指南させていただいております(これこそヒヨコ喰い。コンサル料は超高いです)。

 

おわりに(締めのごあいさつ)

これから社会保険労務士として開業を考えている皆様は今どのような心境でしょうか。勇気づけられてやる気が増したのか、自分にはとても無理だと諦めかけているのか、いずれか知る由もありませんが、開業している全ての事業主・経営者は全員が今の皆様と同じ心境を経由し踏み出した方々です。一度きりの人生、死ぬ気になれば何でもできるなどと言えば起業の勇気が湧いてくるものでもありませんが、失敗しても死ぬことも殺されることも無くなった世の中で、勉強できる恵まれた環境に育ったからには、いつかは好きな仕事で独立開業にチャレンジしてみたいですね。トライトライ!

 

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