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社会保険労務士として開業したい!不安な相談に真実をお伝えします

2021/07/27

当社も創業から5年の決算を迎え、多くの事業主や職場に悩む個人から多数の相談を扱わせていただいてきましたが、最近は偉くなったもので、社会保険労務士としてこれから開業したいと考えている方からも相談が来るようになりました。

既に社労士法は制定50年を超え、数多おられる偉大なレジェンド先輩方とお話させていただくとまだまだ当職など足元にも及ばぬ小僧事務所と認識してはおりますが、それでもすでに当社は従業員も10人程度の事務所になり、一般企業としては小規模零細企業に該当しますが、ほとんどが所長一人、またはパートさんだけの個人事業主が多い社労士事務所としては(これでも)上位10%程度の成功している眩しい事務所に見えるようです。

わずかな時間で苦難続きだった試験にも無事合格し、これからの進路として開業を検討する方たちの一番の悩みは、「どうやって売上を確保していくか」に尽きると思います。そして、儲かっている事務所はどんな事業を柱とし、どんな取り組みを行って成長したのか知りたいのです。そして、あわよくばパクリたいのも本音です。

そんな有望な将来のライヴァル達の芽を摘み、思い上がりを徹底的に叩きのめすため、不遜にも当事務所が開業希望者に行っているアドバイスから僅かなエッセンスを汲み取りさらに薄めたものの一部をご紹介いたします(自他認める吝嗇事務所)。

 

無収入寿命を延ばす

あらゆる企業経営に共通することですが、事業はマイナスからのスタートであり、売上が無い赤字の状態を耐えぬく体力(資力)がどれだけあるかが極めて重要になります。そして、事業の収益が安定化するXデーまでには数年、長い場合であれば5年近くかかった事業所も「かなり多く」あります。無駄なものにカネを使っていればあっという間に寿命が尽き夭折しますし、また売上獲得のための広告宣伝費や消耗品関係など、事業活動に欠かせない経費をどれだけ抑えるかも経験の活かしどころです。放っておいても給料が振り込まれ続けた脱サラ組は特に事業計画が甘いので、無収入状態でどれくらい生きることができるか、厳しめの資金計画を立てて、先輩経営者にチェックしてもらいましょう。

効果的な集客手法について

開業2年程度までは、暇で不安な事業主の心の隙間を突く「ヒヨコ食い」ビジネスが日夜激しく営業をかけてきます。「ビジネスマッチングサイト」や「有名人との対談」、「書籍の制作」や「隣接士業のグループ」が、高い集客効果を謳って費用を集(たか)ってきます。中には効果があるものもあると思いますが、経営の基本として「他力に依存する集客モデルはいずれ必ず破綻する」ことを理解しておかなければなりません。

地道なチラシ撒きやホームページ集客、SNSやブログの更新などをせっせと行ってもさっぱり反響が無く苦しいため、すぐに効果がでる方法を求める心理は理解できますが、地道な努力だけが、盤石な経営基盤を築くことと信じて苦しい日々を続けるしかありません。特に士業事務所に「一攫千金」はありませんので、売上が苦しくても知らない他人の養分にならないよう、飢えに耐える精神力を鍛えましょう。

 

メインとする事業について

国家資格である社会保険労務士はその資格でしか扱うことのできない独占業務の範囲が広いため、事務所の収益となりえる業務は多岐に渡ります。近年は「給与計算や届出関係の1号・2号業務(事務代行)はオワコン!これからはコンサルや!」と言われて久しいですが、当社の知るところ開業1年目から事務代行だけで立派に生計を立てている事務所は数限りなくありますがコンサルだけで社員を養えるようになった会社はほとんど聞いたことがありません。何をメインにしていくかは開業前と直後は悩みますし、何をやってもうまくいかない開業直後はいろいろなことにチャレンジすることも悪くありませんが、収益性の高さよりも「得意を仕事に」の初心で続けていくことが苦しみを乗り越えるポイントかと思います。「面白くない・クレーム多い・儲からない」のセットは地獄ですし、そういう事業は長続きしません。

なお、当社は独占業務以外のコンサルティング(いわゆる3号業務)をメインに行っておりますが、1・2号の事務代行は経験値とノウハウの不足により単に客が取れなかっただけで、お客様の要望があれば1号・2号業務もしっかり行っています。

 

運転資金の相談

経営に運転資金の悩みは付きものですが、経験の浅い社労士事務所は創業して間もなく運転資金が枯渇した時に金融機関から資金調達することは困難です(経験済み)。開業前から政策金融公庫で融資計画を相談しておくほか、あっさり無くなる運転資金のつなぎ方法について、家族や親せきから借入の可能性も含めて準備しておく必要があります。場合によってはアルバイトで食いつなぐことも選択肢のひとつです。

社労士だけに限らず、税理士や行政書士など独占業務で強い権限を国から与えられて儲かっているように見える士業事務所ですが、実態として債務超過・経営不振に陥っている事務所も多く、今回のコロナで実施された「持続化給付金」、「雇用調整助成金」、「●●支援金」の報酬欲しさに不正に加担してしまった事件は報道の通りですが、刑事罰だけでなくせっかく苦労して取得した資格は使えなくなりますし、不名誉な理由でネットに氏名が掲載されればまともな仕事を取るのは絶望的です。自分の貯金だけでなく、借入や補助金を活用して事務所の「現金」に余裕を持たせるためには、余裕を持たせようという意思が必要です(いわゆるダム式経営ですね)。運転資金が底をついてから盛り返すのは大変しんどいです!(経験済み!!)

 

新規開拓の営業手法について

社労士事務所に限らず、事業経営は営業が最も重要です。売上のない事業所はどんなに立派な肩書であっても全く意味が無く、社会に必要とされていない疎外感はものすごく苦しいものです。しかし、ご安心を。公認会計士や弁護士先生など、超難易度の試験を突破した優秀(?)な人は、プライドが高すぎて営業しない・できない人ばかりです。紹介やホームページの集客だけで成り立つような時代ではありませんし、他事務所は営業がめちゃくちゃへたくそなので、努力で何とかなります。口下手の方が相手の悩みや本音を聞き出しやすい面もありますし、おしゃべり好きで立派なことを言える人より口下手でも実直なほうが経営者相手なら信用されることもあります。とにかく、士業事務所は営業能力ゼロ、しかも先生と呼ばれる勘違いでサービス業としてあり得ないレベルの横柄な人間も多いので、謙虚で営業方法を少しでも気にしている時点で優位性があります。良かったですね。社労士は食えないと言っている人はやったことが無い人か、偉いと勘違いしていて営業ができない生涯敗者なので気にする必要はありません。人と会うのが苦手ならメールだけでもいいですし、会わないことを徹底すれば生産性の高い効率的な経営が可能かと思います。

 

夢の年収1,000万円越えは本当に可能か

まず、会計の基礎知識が必要です。個人事業の税務において収入とは、1月1日からの一年間で得たお金や物品など全ての合計をいいます。つまり、個人事務所の年収は、法人でいうところの売上+雑収入を指しており、広告宣伝費をかければ年収1,000万だろうと5,000万だろうと誰でもあげることができます。事業主として大事なのは、経費を差し引いた利益。個人ならば所得です。経営者的感覚があれば個人事業者の年収など全くあてにならず利益はどやねんと聞くところですが、自分を大きく見せたいに人たちが利益を公表するはずがありませんね。会社員の年収1,000万と、事業主の年収1,000万は違います。マッチングアプリの年収には気を付けましょう。

年収1,000万円を夢見る前に、高い利益率を狙える士業事務所が他人の売上を比較するのは無意味に惨めになるだけなのでやめましょうね。いくら稼いだかより大事なことがあります。労務の専門家を名乗るなら、わき目もふらずに馬車馬のように働いて利益を出して、いっぱい社員を雇用して、給与も休みもいっぱい出して、いっぱい納税する。これが正しい経営です。

報酬の設定について

社労士に限らず、士業事務所は報酬制限が撤廃され、出資法などに抵触しない限りは基本的に報酬は自由です。つまり、支払いする側が納得してくれるならばいくらでもかまいません。ここで、価格競争や顧客の押しに負けて安請け合いしてしまうことが多くあるかと思います。また、受託したはいいけれど、あまりにも工程が多すぎて全く利益がでない仕事もあるかと思います。経験と自分を納得させられるならばタダで仕事を受けてもいいと思いますが、従業員を雇うとそういうわけにはいきません。なぜなら、直接事業所経営に関与する従業員がいる以上、勝手にタダで仕事を引き受けるということは、従業員が得られる報酬を事業主が勝手に放棄していることと同じだからです。未熟な間の勉強代や専門知識を活用したボランティア活動(プロボノ)と考えることも時には必要ですが、事業所が損をするような仕事は単発以外では引受してはいけません。自分のノウハウや労務の提供によって付加価値を提供し十分利益が出る仕事だけを選別する習慣は、早い段階から身に付けなければなりません。失敗してしまった値決めは容易には挽回できません。

 

スポットの依頼は儲かるのか

継続的・安定的な収入を見込める顧問先を獲得したいのは誰でも同じですが、顧問契約ではなくスポットの依頼はどうなのか、気になる方も多いようです。まず、スポットの依頼は請負であり、例えば就業規則の作成や助成金申請業務が挙げられます。スポット業務から顧問契約につながるか、ですが、当社としては顧問契約につながったことはほとんどありません(ゼロだと思います)し、仲の良い同業他社に伺ってもスポットから顧問契約につながることは稀なようです。スポット業務は事務所の収益としてはあまり期待せず、その時々のニーズに合わせた自己研鑽と割り切るのがよさそうです。コロナ禍ではスポットとはいえ雇用調整助成金の特需依頼が爆裂した事務所が多くありましたが、二度とないと思います。なお、経済産業省関連の補助金サポートはかなり勉強しなければ採択されませんが、何度も立ち上がってチャレンジし続けていれば結構儲かるようになります。あと3年くらいは食えそうです。

 

おわりに(締めのごあいさつ)

これから社会保険労務士として開業を考えている皆様は今どのような心境でしょうか。勇気づけられてやる気が増したのか、自分にはとても無理だと諦めかけているのか、いずれか知る由もありませんが、開業している全ての事業主・経営者は全員が今の皆様と同じ心境を経由し踏み出した方々です。一度きりの人生、死ぬ気になれば何でもできるなどと言えば起業の勇気が湧いてくるものでもありませんが、失敗しても死ぬことも殺されることも無くなった世の中で、勉強できる恵まれた環境に育ったからには、いつかはチャレンジしてみたいですね。

 

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